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点群の植生除去で地形を読みやすくする5つの工夫

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

点群で植生除去が必要になる理由を整理する

工夫1 地表面と植生を分ける前に取得条件を確認する

工夫2 段階的な分類で地形の輪郭を残す

工夫3 地形の起伏に合わせて処理単位を変える

工夫4 除去後の点群を断面と陰影で確認する

工夫5 現地情報と合わせて読み違いを防ぐ

点群の植生除去を実務で使いやすくする考え方

まとめ


点群で植生除去が必要になる理由を整理する

点群は、現地の形状を三次元的に把握できる便利なデータです。地面、構造物、樹木、草、法面、道路、排水施設などが点の集まりとして記録されるため、平面図や写真だけでは見えにくい高低差や形状の変化を確認しやすくなります。特に山林、河川沿い、造成地、法面、農地、道路脇の斜面などでは、地形の読み取りに点群を使う場面があります。


しかし、点群には現地に存在するものがまとめて入ります。樹木の枝葉、低木、雑草、笹、竹、落ち葉、伐採材、仮置き資材なども点として記録されるため、そのまま表示すると地表面の形が見えにくくなることがあります。植生が多い場所では、点群を上から見ても地面ではなく樹冠や草の表面を見ている状態になり、実際の地形とは違う印象を受けることがあります。


たとえば、谷筋を確認したいのに低木の点が残っていると、排水の流れが読み取りにくくなります。法面の変状を見たいのに草の点が多く残っていると、地山の凹凸なのか植生の厚みなのか判断しづらくなります。造成前後の地盤差を比較したい場合も、片方のデータだけに草木が多く入っていると、実際には地盤が変わっていない場所まで差分が出ているように見えることがあります。


このような誤読を減らすために行うのが、点群の植生除去です。植生除去とは、点群の中から地表面の把握を妨げる草木などの点を分類し、非表示にしたり、地表面モデルの作成対象から外したりする作業です。ただし、単純に上にある点を消せばよいという作業ではありません。地形そのものにも起伏があり、急な法面や段差、岩、根株、石積み、排水溝、擁壁など、地表に近い重要な形状も含まれます。処理を強くしすぎると、植生だけでなく地形の手がかりまで消してしまうことがあります。


実務で大切なのは、植生をきれいに消すことだけではなく、地形を読みやすくすることです。見た目がすっきりしていても、必要な地形情報が失われていれば判断材料としては不十分です。逆に、植生が少し残っていても、谷筋、尾根、法尻、法肩、段差、排水方向、造成境界などを正しく読める状態であれば、実務上は十分に使える場合もあります。


そのため、点群の植生除去では、最初に目的を明確にすることが重要です。地形図を作るためなのか、土量を概算するためなのか、災害後の変状を確認するためなのか、法面管理に使うためなのか、排水計画の検討に使うためなのかによって、必要な処理の強さや確認すべき場所は変わります。同じ点群でも、目的が違えば残すべき点と除くべき点が変わります。


工夫1 地表面と植生を分ける前に取得条件を確認する

点群の植生除去を始める前に、まず確認したいのが点群の取得条件です。植生除去は後処理の作業ですが、後処理だけで全てを解決できるわけではありません。取得時の条件によって、地表面の点が十分に取れている場合もあれば、樹木や草に遮られて地面の点がほとんど入っていない場合もあります。地面の点が少ないデータでは、どれだけ丁寧に処理しても、地形の復元や推定には限界があります。


特に植生が密な場所では、点群の中に地表面の点がどれだけ含まれているかを確認する必要があります。樹冠や草の表面ばかりが取得されていると、植生を除去した後に点が大きく欠けることがあります。その欠けた部分を補間して地表面のように見せることはできますが、補間された面は実測された地面そのものではありません。実測点が少ない場所では、判断の確度が下がることを前提に扱う必要があります。


取得時期も重要です。草が伸びている時期、落葉している時期、雨の後で地面が濡れている時期、積雪や落ち葉がある時期では、同じ場所でも点群の見え方が変わります。樹木が多い場所では、葉が多い時期よりも葉が少ない時期の方が地表面を捉えやすい場合があります。低草地では、刈り払いの前後で地表面の見え方が大きく変わります。過去データとの比較を行う場合は、取得時期の違いが差分に影響していないかを確認することが欠かせません。


取得方法による違いもあります。上空側から取得した点群では、樹冠や草の上面が多く入りやすく、地表面が隠れやすいことがあります。一方、地上側から取得した点群では、道路脇や法面の下部、構造物まわりを細かく捉えやすい反面、見通しの悪い場所や背後に隠れた部分は欠測しやすくなります。どちらが優れているという単純な話ではなく、読み取りたい地形に対して必要な視点から点が取れているかを見ることが大切です。


点群密度も確認すべき項目です。点の間隔が粗い場合、小さな水みち、浅いくぼみ、法肩の丸み、細い溝などは表現されにくくなります。植生除去後に地形を読みやすくするには、地表面付近に必要な点があることが前提になります。密度が高ければ必ず正確というわけではありませんが、地形の細かな変化を見たい場合には、目的に対して十分な密度があるかを確認する必要があります。


また、座標系や高さ基準の確認も後回しにしないことが重要です。植生除去そのものは見た目の処理に見えますが、除去後の点群を断面化したり、等高線化したり、設計データと重ねたりする場合は、位置と高さの基準が判断に直結します。複数時期の点群を比較する場合、座標系や高さ基準がそろっていないと、植生の影響ではなく基準の違いによるズレを地形変化と誤解するおそれがあります。


取得条件の確認は、植生除去の精度を高めるだけでなく、処理結果の限界を説明するためにも役立ちます。地表面の点が少ない場所、植生が密だった場所、取得方向の影響を受けた場所、時期差の影響がある場所をあらかじめ把握しておけば、成果物を見る人に対しても「この範囲は参考扱いです」「この谷筋は現地確認が必要です」と説明しやすくなります。点群を実務で使ううえでは、きれいな図を作ることよりも、判断できる範囲と判断しにくい範囲を分けて扱うことが大切です。


工夫2 段階的な分類で地形の輪郭を残す

植生除去では、点群を地表面、低い植生、高い植生、構造物、ノイズなどに分類していく考え方が基本になります。ただし、実務で注意したいのは、一度の処理で植生をまとめて消そうとしないことです。強い条件で一気に除去すると、草や枝葉だけでなく、地形の段差や法面の折れ点、石積み、排水溝の縁、土砂の堆積形状などまで消えてしまうことがあります。


特に山地や法面の点群では、地表面の高さが短い距離で大きく変化します。平坦地向けの感覚で処理すると、急な斜面の点が地表面ではなく異常点のように扱われることがあります。逆に、緩い設定にしすぎると、低い草や灌木が地表面として残り、地形が膨らんで見えることがあります。植生除去は、強すぎても弱すぎても地形の読み取りを誤らせるため、段階的に進めることが有効です。


まずは、地表面らしい点を広く拾う粗い分類を行い、地形の大きな起伏をつかみます。この段階では、谷、尾根、平場、斜面、道路、造成面などの全体像を確認します。次に、低い植生が多く残っている場所を見つけ、範囲を絞って追加処理を行います。最後に、断面や拡大表示で重要箇所を確認し、消しすぎた部分がないかを見ます。このように段階を分けることで、地形の輪郭を保ちながら不要な点を減らしやすくなります。


低い植生の扱いは特に難しい部分です。背の高い樹木は地表面から離れているため比較的分けやすい一方、草や笹、低木は地面に近く、点群上では地表面との区別がつきにくいことがあります。草が厚く生えている場所では、地表面より数十センチ高い位置に点が集まり、実際の地盤が盛り上がっているように見えることがあります。土量計算や排水勾配の確認では、この差が判断に影響する場合があります。


一方で、根株や倒木、石、段差、土のう、既設構造物などを単純に植生として消してしまうと、現場に存在する重要な障害や地形要素が見えなくなることもあります。たとえば、法尻付近に堆積した土砂を草と一緒に消してしまうと、崩れや洗掘の兆候を見落とす可能性があります。排水溝の縁や小さな水みちを消してしまうと、実際の水の流れを読み違えることがあります。


そのため、植生除去では分類結果をそのまま信じるのではなく、目的に応じて残す点を判断する姿勢が必要です。地形を読むために不要な点は除きますが、地形の変化を示す点まで除いてはいけません。処理結果を確認するときは、地表面だけを表示した状態と、植生を含む元の点群を切り替えて見比べると効果的です。元の点群で見えていた段差や線状の地形が、除去後に消えていないかを確認できます。


分類の記録を残すことも実務では重要です。どの範囲をどの程度処理したのか、どの分類を表示対象から外したのか、手動で修正した箇所があるのかを記録しておくと、後から結果を説明しやすくなります。点群処理は見た目の判断が入りやすい作業です。担当者が変わったときや、数か月後に同じ場所を再確認するときに、処理の考え方が残っていないと、結果の比較が難しくなります。


植生除去の目的は、点を減らすことではなく、地形判断に使える点を整理することです。段階的に分類し、元データと見比べ、必要な地形の輪郭を残す。この流れを意識するだけで、点群から読み取れる情報の信頼性は大きく変わります。


工夫3 地形の起伏に合わせて処理単位を変える

点群の植生除去では、同じ設定を全体に一律でかけると、場所によって処理の過不足が出やすくなります。平坦な造成地、急な法面、谷筋、尾根、林道脇、河川沿い、農地の畦畔まわりでは、地形の特徴も植生の付き方も異なります。そのため、対象範囲をいくつかの地形単位に分け、それぞれに合った見方で処理することが大切です。


平坦地では、地表面の高さ変化が比較的小さいため、上に飛び出した草や枝葉を見つけやすい傾向があります。ただし、背の低い草が広く残っている場合は、全体が少し高く見えることがあります。見た目にはなだらかな面に見えても、実際の地盤より植生の表面を拾っていることがあるため、既知の高さ、マンホール周辺、舗装端部、構造物基礎など、地面の高さが確認しやすい場所と比べると判断しやすくなります。


急な法面では、処理の考え方が変わります。斜面では、点の高さが短い距離で大きく変わるため、植生と地表面の分離が難しくなります。法肩や法尻は地形の折れ点として重要ですが、処理条件によっては滑らかに補間され、折れが弱く見えることがあります。法面の小段、排水溝、張り出した岩、洗掘跡なども、地形の一部なのか植生やノイズなのかを慎重に確認する必要があります。


谷筋や沢地形では、低い位置に水みちや堆積物があり、周囲に植生が密集していることが多くなります。このような場所では、地表面の点が途切れやすく、除去後のデータに穴が生じることがあります。穴を補間すると、谷底が実際より浅く見えたり、流路の位置があいまいになったりします。排水計画や災害リスクの確認に使う場合は、谷筋を単なる滑らかな面として見るのではなく、断面や陰影を使って線状の低まりが残っているかを確認することが重要です。


尾根や盛土の肩のように高く張り出した地形では、植生の点と地形の張り出しを混同しないようにします。尾根上の低木を地形として残すと、尾根が実際より太く高く見えることがあります。逆に、処理を強めすぎると尾根の細い稜線が消え、丸い地形に見えてしまうことがあります。尾根や肩は、水の分かれ方や斜面の安定性を読むうえで重要な要素です。地形の線がぼやけていないかを確認しながら処理する必要があります。


農地や造成地では、畦畔、排水溝、段差、法面、仮設の盛土など、小さな地形差が実務上の判断に関わります。植生があるからといって一括で消すと、畦畔や小段まで見えにくくなることがあります。特に水はけを確認する場合は、わずかな高低差が重要になります。植生除去後に全体がきれいな面になっていても、排水方向や滞水しやすい低まりが読み取れなければ、使いやすい地形データとはいえません。


処理単位を変えるときは、広い範囲を一度に見るだけでなく、地形の役割ごとに範囲を分けると効果的です。たとえば、道路面、道路脇の側溝、法面、法尻、下部の平場を分けて確認すれば、それぞれで残すべき形状が見えてきます。河川沿いであれば、堤防天端、法面、護岸、河道、植生帯を分けて見ることで、処理の強さを調整しやすくなります。


また、広域の地形把握と局所の形状確認では、必要な見方が異なります。広域では、谷や尾根、傾斜の向き、造成範囲などが読めれば十分な場合があります。一方、局所では、排水溝の縁、法肩の位置、段差の高さ、崩れの境界などを細かく見る必要があります。最初から全てを同じ精度で処理しようとすると作業が重くなり、かえって判断が散らかることがあります。目的に応じて、広く見る範囲と細かく見る範囲を分けることが実務的です。


点群は範囲が広くなるほど、表示も処理も複雑になります。だからこそ、地形の起伏や用途に合わせて処理単位を変える工夫が効いてきます。一律処理で見た目を整えるのではなく、地形の意味に合わせて必要な情報を残すことが、読みやすい点群につながります。


工夫4 除去後の点群を断面と陰影で確認する

植生除去後の点群は、平面表示だけで確認すると見落としが出やすくなります。上から見るときれいに整理されているように見えても、断面で見ると草の点が残っていたり、逆に地表面の点が消えすぎていたりすることがあります。地形を読みやすくするためには、除去後の点群を複数の見方で確認することが重要です。


まず有効なのが断面確認です。断面で見ると、地表面、草木、構造物、ノイズの関係が分かりやすくなります。平面では重なって見える点も、断面では高さ方向に分かれて見えるため、植生が地表面よりどの程度上に残っているかを確認できます。法面では、法肩から法尻までの形状が連続しているか、小段や水みちが消えていないかを確認できます。谷筋では、谷底の低まりが残っているか、補間で不自然に埋まっていないかを見られます。


断面を取る位置は、読み取りたい地形に合わせて決めます。道路や水路を横断する断面、法面を上下に切る断面、谷筋に直交する断面、造成面の端部をまたぐ断面など、目的に応じて複数の断面を確認すると判断しやすくなります。ひとつの断面だけで全体を判断すると、局所的な欠測や植生残りを見落とすことがあります。特に植生が不均一な場所では、数本の断面を比べることで、処理の傾向が見えてきます。


次に有効なのが陰影表示です。地表面として整理した点群やそこから作成した面を陰影で表示すると、微地形が視覚的に読みやすくなります。尾根、谷、段差、盛土、切土、排水方向などは、色だけで見るより陰影を加えた方がつかみやすい場合があります。植生除去が適切にできていれば、地形の連続性が自然に見えます。逆に、植生が残っている場所では、細かいざらつきや不自然な盛り上がりとして見えることがあります。


ただし、陰影表示には注意も必要です。陰影は地形の凹凸を強調するため、実際より変化が大きく見えることがあります。表示角度や強調の仕方によって印象が変わるため、陰影だけで変状や危険箇所を断定するのは避けた方が安全です。陰影はあくまで気づきを得るための表示であり、重要箇所は断面や元点群、現地情報と合わせて確認する必要があります。


等高線や標高段彩を併用することも有効です。植生除去後の地表面に等高線を重ねると、地形の流れや勾配の変化を読み取りやすくなります。標高段彩では、低い場所と高い場所の関係が把握しやすくなります。ただし、地表面の点が少ない場所では、等高線が補間の影響を受けることがあります。等高線が滑らかだからといって、必ずしも現地の地形が滑らかとは限りません。点の分布と合わせて確認することが大切です。


除去前後の比較も欠かせません。元の点群と植生除去後の点群を切り替えて見ると、どの点が消えたのか、どの地形が残ったのかが分かります。除去後だけを見ると自然に見える場所でも、元データと比べると重要な段差や構造物が消えていることに気づく場合があります。反対に、除去前の点群では植生で見えなかった谷筋や法尻が、除去後にはっきり見えることもあります。この比較作業は、処理結果の妥当性を判断するうえで有効です。


また、点群密度を確認する表示も役立ちます。植生除去後に地表面点が十分に残っている場所と、ほとんど点がない場所を区別できれば、読み取りの信頼度を分けて考えられます。地表面点が少ない場所では、断面や陰影がきれいに見えても、実際には補間に頼っている可能性があります。成果物として地形図や断面図を作る場合は、地表面点の少ない範囲を把握し、必要に応じて注記や現地確認につなげると安全です。


植生除去後の確認では、見た目の美しさよりも、地形の意味が正しく残っているかを見ます。谷が谷として読めるか、法肩と法尻が分かるか、水の流れが追えるか、造成面の境界が確認できるか、局所的な盛り上がりが植生なのか地形なのかを判断できるか。このような観点で断面、陰影、等高線、元点群比較を組み合わせると、点群は単なる三次元データではなく、現場判断に使いやすい資料になります。


工夫5 現地情報と合わせて読み違いを防ぐ

点群の植生除去は、画面上の処理だけで完結させないことが大切です。点群は現地を記録したデータですが、全ての状況を完全に説明してくれるわけではありません。植生、湿地、落ち葉、倒木、ぬかるみ、影、反射しにくい面、見通しの悪い場所など、取得時の条件によって点群の表れ方は変わります。処理結果を正しく読むには、現地写真、メモ、測点、既存図面、管理記録などと合わせて確認する必要があります。


現地写真は特に有効です。点群上で不自然な盛り上がりが見つかったとき、それが草なのか、土砂なのか、資材なのか、岩なのかを写真で確認できる場合があります。植生除去後に地表面が欠けている場所も、写真を見れば樹木が密だったのか、急斜面で見通しが悪かったのか、立入できなかったのかが分かることがあります。点群と写真を別々に保管するのではなく、位置や撮影方向と一緒に整理しておくと、後の確認がしやすくなります。


現地で確認した高さや位置の情報も重要です。基準点、境界標、マンホール、舗装端、構造物の天端、側溝の縁など、位置や高さの手がかりになるものがあれば、植生除去後の地表面と照合できます。点群だけで判断すると、低い草が残って地盤が高く見えていることに気づきにくい場合があります。現地で確認できる固定物と比べることで、地表面の高さが妥当かどうかを確認しやすくなります。


既存図面や過去データとの比較も役立ちます。過去の地形図、施工図、造成図、管理図、過年度の点群などがあれば、植生除去後の地形が過去の地形と大きく矛盾していないかを見られます。ただし、既存図面が古い場合や、現地が改変されている場合もあります。そのため、既存図面と違うから点群が間違っている、点群と違うから図面が間違っている、とすぐに決めつけるのではなく、差が出た理由を整理することが大切です。


現地情報と合わせるときに注意したいのは、植生除去後のデータを地表面そのものとして過信しないことです。処理後のデータは、取得された点群をもとに地表面らしい点を抽出した結果です。植生が密な場所や地表面点が少ない場所では、実測点の不足を補間で補っている場合があります。補間された面は見た目が自然でも、細かな地形を保証するものではありません。土量、排水勾配、構造物との取り合いなど、判断の影響が大きい用途では、必要に応じて現地測位や追加確認を行うことが望ましいです。


また、植生除去の結果を関係者に共有するときは、どの範囲が確認しやすくなったのか、どの範囲に不確実さが残るのかを説明できる形にしておくと安心です。たとえば、地表面点が少ない林内、草が厚かった平場、急斜面で欠測が多い場所、元データにノイズが多い場所などは、判断時に注意が必要です。成果物に注記を入れたり、現地確認候補として整理したりすることで、点群を見慣れていない人にも伝わりやすくなります。


植生除去は、現地確認を省くための作業ではありません。むしろ、現地確認すべき場所を絞り込み、判断材料を整理するための作業です。点群で広く地形を読み、気になる場所を写真や現地測位で確認し、その結果を再び点群上に反映する。この循環を作ることで、点群はより実務に使いやすい情報になります。


点群の植生除去を実務で使いやすくする考え方

点群の植生除去を実務で使うときは、処理そのものよりも運用の流れを整えることが重要です。点群処理は専門的な作業に見えますが、現場で必要なのは、処理担当者だけが分かるきれいなデータではなく、関係者が同じ地形を見て判断できる資料です。そのためには、目的設定、取得条件の確認、分類処理、結果確認、現地照合、成果物化までを一連の流れとして考える必要があります。


まず、点群を何に使うのかを明確にします。地形の全体把握なのか、法面の変状確認なのか、排水計画なのか、災害後の状況整理なのか、土量の概算なのかによって、必要な精度や確認範囲は変わります。目的があいまいなまま植生除去を行うと、どこまで処理すればよいのか判断できなくなります。きれいに見えるまで処理を続けるのではなく、業務判断に必要な地形が読める状態を目標にすることが大切です。


次に、元点群を必ず残しておくことです。植生除去後のデータだけを保存してしまうと、後から処理の妥当性を確認しにくくなります。元点群、分類済み点群、地表面のみの点群、作成した地形面、断面図や確認図を分けて管理しておくと、必要に応じて戻れる状態を保てます。点群はデータ量が大きくなりやすいため、ファイル名や管理ルールを決めておくことも重要です。


成果物として使う場合は、地表面点の不足や補間範囲を見える化する工夫も有効です。植生を除去した地形面だけを提示すると、見る人は全ての範囲が同じ確度で作られていると受け取りがちです。実際には、点が十分に残っている範囲と、補間の影響が大きい範囲があります。判断に影響する場所では、断面や元点群の確認図を添えると、説明の説得力が増します。


また、複数時期の点群を比較する場合は、植生条件をそろえる意識が必要です。ある時期は草刈り後、別の時期は草が伸びた状態という条件では、差分に植生の影響が混じります。植生除去を行っても、地表面点の取り方が時期によって違えば、完全に同じ条件にはなりません。変化量を読むときは、取得時期、天候、植生状態、点密度、座標基準、処理条件をあわせて確認することが大切です。


点群を現場管理に活かすには、処理後の地形を現地の位置と結びつけることも重要です。画面上で見つけた谷筋、法肩の変化、排水不良の可能性がある低まり、崩れの疑いがある箇所を、現地で確認できる位置情報に落とし込めると、次の行動につながります。点群で気づいた場所を現地で探せなければ、せっかくの分析結果が使いにくくなります。座標や写真、メモを一緒に扱える運用にしておくと、点群と現場の往復がしやすくなります。


植生除去は、点群の価値を高めるための下処理です。ただし、処理した時点で終わりではなく、その後の確認、共有、現地対応まで含めて初めて実務に生きます。地形を読みやすくするという目的を忘れず、必要な情報を残し、不要な情報を減らし、判断の根拠を説明できる形に整えることが大切です。


まとめ

点群の植生除去は、樹木や草を消して見た目を整えるだけの作業ではありません。地表面を読み取り、谷筋、尾根、法面、段差、排水方向、造成境界などの地形情報を判断しやすくするための作業です。植生を除去しすぎれば重要な地形まで失われ、除去が弱ければ草木を地形と誤解するおそれがあります。大切なのは、目的に合わせて必要な地形の手がかりを残すことです。


実務では、まず取得条件を確認し、地表面の点がどれだけ取れているかを把握します。次に、段階的な分類で植生を整理し、地形の輪郭を残します。さらに、平坦地、法面、谷筋、尾根、農地など、地形の特徴に応じて処理単位を変えることで、一律処理による読み違いを防ぎます。除去後は、断面、陰影、等高線、元点群との比較を使って、処理結果が妥当かを確認します。そして、現地写真や測位情報、既存図面と合わせることで、点群だけでは判断しきれない部分を補います。


点群は、現地の状況を広く立体的に把握できる資料です。一方で、植生が多い場所では、見えている点が地表面なのか、草木なのかを慎重に判断する必要があります。植生除去の結果を過信せず、確認できる範囲と不確実な範囲を分けて扱うことで、点群は地形判断に使いやすい資料になります。


現場で点群を活用するなら、画面上で地形を読むだけでなく、気になる場所を現地で確認し、写真や座標と結びつけて記録する流れが重要です。スマートフォンや測位機器を使って現地の位置確認や記録を手軽に行える環境を整えておくと、点群で見つけた地形の変化を現場対応へつなげやすくなります。


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