top of page

土地改良工事の熱中症を防ぐ暑熱管理5つの対策

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均7分で読めます
​
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

• 土地改良工事で暑熱管理が重要になる理由

• 対策1 WBGTを測定して作業可否を判断する

• 対策2 作業時間と施工工程を暑さに合わせて調整する

• 対策3 休憩場所と水分・塩分補給の環境を整える

• 対策4 作業員の体調と暑熱順化を毎日確認する

• 対策5 異常の発見から搬送までの手順を明確にする

• 土地改良工事の作業別に押さえたい注意点

• 協力会社を含めた暑熱管理の運用方法

• 暑熱管理の記録を施工管理に生かす方法

• 暑熱管理で起こりやすい失敗と改善策

• まとめ


土地改良工事で暑熱管理が重要になる理由

土地改良工事では、農地の区画整理、用排水路の整備、農道の施工、ため池の改修、管水路の布設、揚排水機場の整備など、屋外で行う作業が多くなります。周囲に日陰が少ない現場も多く、盛土面、舗装面、コンクリート構造物、建設機械などから受ける放射熱も加わるため、気温だけでは実際の暑さを判断できません。


特に注意したいのが、掘削箇所や水路内など、風が通りにくい場所です。地上では風を感じられても、掘削底面や構造物の内部では熱と湿気がこもることがあります。水を扱う土地改良工事では、現場条件によって湿度が高くなり、汗が蒸発しにくい環境が生じる場合もあります。気温が極端に高くなくても、湿度、日射、風の弱さ、身体作業の強さが重なると、熱中症の危険性は高まります。


土地改良工事では、工程の遅れを避けるために作業を続けたい場面もあります。しかし、体調不良者が発生すると、作業の中断、救急対応、関係者への連絡、施工体制の組み直しなどが必要になります。予防のための短い休止時間を惜しんだ結果、現場全体が長時間停止することになれば、工程面でも安全面でも大きな損失です。


厚生労働省が2026年5月に公表した2025年の確定値では、職場における熱中症による死亡者と休業4日以上の業務上疾病者を合わせた死傷者数は1,803人で、死亡者数は19人でした。業種別では建設業の死傷者数は292人、死亡者数は5人で、死亡者数は業種別で最も多くなっています。土地改良工事を含む屋外建設現場では、熱中症を重大な労働災害として管理する必要があります。


暑熱管理は、飲料を用意するだけで完了するものではありません。作業環境の測定、工程の調整、休憩設備の確保、作業員の健康確認、異常時の対応手順、記録の保存を一つの管理体系として運用することが重要です。現場代理人や主任技術者だけに任せるのではなく、職長、作業員、重機オペレーター、誘導員、協力会社を含めて共通のルールを持つ必要があります。


対策1 WBGTを測定して作業可否を判断する

暑熱管理の第一歩は、現場の暑さを感覚ではなく数値で把握することです。その際に活用されるのが、暑さ指数とも呼ばれるWBGTです。WBGTは、気温に加えて湿度、風速、日射や周囲からの放射熱を考慮し、暑熱環境による身体への負担を評価する指標です。気温が同じでも、日差しが強い場所、風のない場所、湿度の高い場所ではWBGTが異なります。


土地改良工事では、現場事務所付近で一度測定するだけでは不十分です。作業員が実際にいる場所で測ることが重要です。例えば、水路の掘削底面、法面、コンクリート打設場所、管路内、重機の周辺、交通誘導位置では、それぞれ日射や風通しが異なります。同じ工区内でも暑熱環境に差があるため、危険性が高い作業場所を選んで測定しなければなりません。


測定位置は、作業員の身体が受ける環境に近づけます。測定器を日陰の涼しい場所だけに置くと、実際より低い値が表示される可能性があります。反対に、使用方法を守らず極端な位置に置けば、現場を代表しない値になることもあります。測定器の取扱説明書や社内手順を確認し、設置高さ、日射条件、測定時間を統一して、日ごとの値を比較できるようにします。


WBGTは朝礼時だけでなく、作業中にも確認します。一般に気温は昼前から午後にかけて上がりますが、雲量、風、地面の乾湿、作業場所の移動によっても環境は変化します。朝の値が低かったことを理由に、午後まで同じ作業計画を続けるのは危険です。午前、昼前、午後などの定時測定に加え、急に日差しが強くなったときや、風が止まったとき、作業場所を変更したときにも再測定する運用が必要です。


測定値を記録するだけでは、暑熱管理として機能しません。事前に、どの値で休憩を増やすのか、連続作業時間を短くするのか、作業強度を下げるのか、作業を延期するのかを決めておきます。判断基準は作業内容、服装、保護具、作業員の暑熱順化、健康状態なども考慮して設定します。重い資材を運ぶ作業と、日陰で行う監視作業では、同じWBGTでも身体への負担が異なるからです。


2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則では、WBGT28度以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業を対象に、熱中症のおそれがある作業者を早期に発見するための報告体制、重篤化を防ぐための措置手順、関係作業者への周知を事業者に求めています。これらは法令上の対象条件であり、その値に達するまで予防措置が不要という意味ではありません。作業強度、着衣、直射日光、暑熱順化、体調などを踏まえ、より早い段階から必要な対策を講じます。


現場では、測定担当者と判断責任者をそれぞれ明確にします。測定した人が数値を記録しただけで終わり、作業責任者に伝わらなければ意味がありません。測定値、測定場所、時刻、実施する対策を朝礼板や共有端末などで伝え、作業員が自分のいる場所の危険度を理解できる状態をつくります。


対策2 作業時間と施工工程を暑さに合わせて調整する

暑熱管理では、暑くなってから休憩を増やすだけでなく、暑さを前提に工程を組み替えることが重要です。日射が強くなる時間帯に身体負荷の高い作業を集中させると、休憩や給水だけでは十分に危険性を下げられないことがあります。施工計画を作成する段階から、作業時期、時間帯、作業順序、必要人員を検討します。


掘削、型枠、鉄筋、資材運搬、コンクリート打設、法面整形などの身体負荷が大きい作業は、可能な範囲で比較的涼しい時間帯に配置します。昼前から午後にかけては、測量、写真整理、資材確認、機械点検など、身体負荷を抑えやすい作業へ切り替える方法があります。ただし、測量作業も直射日光下を長時間移動する場合は負担が大きいため、作業名だけで軽作業と判断しないことが必要です。


作業を早い時間帯へ移す場合は、近隣への騒音、通学時間、農作業との調整、交通規制条件なども確認します。土地改良工事では、農業用水の通水時間や営農計画の影響を受けることがあります。暑さだけを理由に一方的に工程を変更すると、受益者や施設管理者との調整に支障が生じます。事前に暑熱期の作業時間変更を想定し、発注者、土地改良区、地元関係者、協力会社と協議しておくことが重要です。


連続作業時間を短縮する際は、休憩の時刻だけでなく作業単位を見直します。例えば、一定区間の水路据付けを終えるまで休まないという進め方では、施工条件によって休憩が遅れる可能性があります。区間の完了を休憩条件にするのではなく、時間とWBGTを基準に中断できるようにします。コンクリート打設など途中で止めにくい作業は、打設量、人員配置、交代要員、機械能力を事前に調整し、一人当たりの連続作業を抑えます。


重機を使用する現場では、運転席に冷房設備があっても、オペレーターが安全とは限りません。乗降時の温度差、機械外での点検、長時間の緊張、振動、睡眠不足などが体調に影響します。また、重機周辺で合図や誘導を行う作業員は、同じ場所に立ち続けて日射を受ける場合があります。重機の稼働計画と誘導員の交代計画を一体で考える必要があります。


工程調整では、遅れを取り戻すための残業にも注意します。日中の暑さで体力を消耗した後に長時間作業を続けると、集中力が低下し、熱中症だけでなく転倒、挟まれ、重機との接触などの危険も高まります。暑熱期には通常期と同じ日進量を一律に求めず、休憩や作業中断を含めた現実的な施工能力を基に工程を設定します。


週間工程を作成するときは、天気予報やWBGTの予測を確認し、危険性が高い日は作業内容を入れ替えられるようにします。ただし、予測値は現場の実測値と一致するとは限りません。広域の予報を参考にしつつ、当日は現地測定に基づいて最終判断することが必要です。


対策3 休憩場所と水分・塩分補給の環境を整える

休憩は、作業を止めれば成立するものではありません。直射日光を受ける場所や、熱がこもる車内で休んでも、身体から十分に熱を逃がせない場合があります。土地改良工事では施工範囲が広く、作業場所が日々移動するため、作業員が短時間で到達できる場所に休憩設備を配置することが重要です。


休憩場所には、日射を遮る設備と風を確保します。冷房を使用できる休憩室が望ましいものの、現場条件によって設置が難しい場合は、日よけ、送風設備、冷却用品などを組み合わせます。休憩場所が作業地点から遠いと、移動を面倒に感じて休憩を省略する原因になります。工区の進行に合わせて休憩場所も移動し、実際に利用できる状態を維持します。


飲料は、作業員がいつでも補給できる位置に用意します。一括して休憩時間だけに飲むのではなく、作業前から少量ずつ継続的に補給できる運用が必要です。喉の渇きを感じた時点では、すでに体内の水分が不足している可能性があります。職長や監視担当者が定期的に給水を呼びかけ、本人の判断だけに任せないようにします。


発汗量が多い作業では、水分だけでなく塩分も失われます。ただし、必要量は発汗、食事、体格、持病、医師から受けている指示などによって異なります。塩分を多く摂れば安全になるわけではありません。腎臓や心臓などの疾患で水分や塩分の摂取について医師の指示を受けている人には、その指示を優先し、必要に応じて産業医や医療関係者の意見を踏まえて対応します。


休憩時には、飲んだかどうかだけでなく、顔色、発汗、受け答え、歩き方なども確認します。普段より口数が少ない、返答が遅い、ふらつく、手元が乱れるといった変化は、本人が体調不良を訴える前に周囲が気付ける兆候です。作業員同士が相互に確認する仕組みを設けると、単独作業や広い現場でも異常を発見しやすくなります。


服装や保護具の管理も休憩環境と一体で考えます。通気性の確保は重要ですが、安全帽、反射材、墜落制止用器具、保護具など、作業上必要な装備を暑いからという理由だけで外すことはできません。必要な安全性能を維持したうえで、通気性や透湿性に配慮した作業着を選び、休憩時には安全な場所で衣服を緩めて身体の熱を逃がします。


予備の飲料、冷却用品、衛生用品については、数量と保管状態を定期的に確認します。用意したつもりでも、工区の移動後に補充されていなかったり、高温になる場所に放置されていたりすることがあります。朝礼前に担当者が在庫と配置を確認し、使用後に補充するところまでを管理手順に含めます。


対策4 作業員の体調と暑熱順化を毎日確認する

熱中症の発生には、作業環境だけでなく作業員の体調も影響します。同じ場所で同じ作業をしていても、睡眠不足、食事不足、前日の疲労、飲酒、発熱、下痢、持病、服薬状況などによって危険性は変わります。そのため、朝礼時の健康確認を形式的な返事で終わらせないことが重要です。


体調確認では、睡眠が取れているか、朝食を取ったか、体調不良がないか、前日に強い疲労が残っていないかなどを確認します。ただし、大勢の前では申告しにくい健康情報もあります。個別に伝えられる連絡方法を設け、申告したことで不利益を受けると思わせない職場づくりが必要です。


作業員が「大丈夫です」と答えていても、表情や動作が普段と違う場合は追加確認します。現場に慣れている作業員ほど、周囲に迷惑をかけたくないという理由で不調を隠すことがあります。責任感に頼るのではなく、体調に応じて作業変更や休止を選択できる仕組みをつくることが、結果として現場の安定につながります。


暑熱順化とは、身体が暑さに徐々に慣れていくことです。梅雨明け直後、急に気温が上昇した日、長期休暇の後、涼しい地域から移動してきた直後などは、十分に暑さへ慣れていない可能性があります。新規入場者や休業明けの作業員を、初日から経験者と同じ作業量に配置しないことが重要です。


暑熱順化は一度完了すれば夏の間ずっと維持されるとは限りません。数日間暑い環境から離れた場合や、体調を崩した後は、再び負荷を下げる必要があります。現場への入場日、休業期間、直前の作業環境を確認し、最初は連続作業時間を短くする、休憩回数を増やす、比較的負荷の小さい作業から始めるなどの調整を行います。


高齢の作業員、暑さに慣れていない作業員、持病や健康診断上の所見がある作業員には、本人のプライバシーと健康情報の取扱いに配慮しながら、必要な措置を検討します。厚生労働省の令和8年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」では、糖尿病、高血圧症など、熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する人について、医師などの意見を踏まえた配慮が重点事項とされています。


体調確認の結果は、単なる記録ではなく当日の配置に反映します。体調が不十分な作業員を重作業から外す、単独作業を避ける、休憩場所に近い作業へ変更するなど、具体的な対応につなげます。申告内容を記録していても、作業配置が変わらなければ健康確認を行う意味が薄れてしまいます。


対策5 異常の発見から搬送までの手順を明確にする

熱中症対策では予防が基本ですが、異常が起きた場合の手順も事前に決めておかなければなりません。発症してから搬送先を探したり、誰に連絡するか相談したりすると、対応が遅れます。土地改良工事は市街地から離れた場所で行われることも多いため、現場位置の説明方法や救急車の進入経路まで具体化する必要があります。


2025年6月から、一定の暑熱条件で行われる作業について、熱中症の自覚症状がある作業員や、熱中症のおそれがある作業員を見つけた人が報告できる体制をあらかじめ定めることが義務付けられました。また、作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医師の診察や処置、緊急連絡網、搬送先などを含む重篤化防止の手順を定め、関係作業者に周知する必要があります。


報告先は、現場代理人だけに限定しないことが重要です。現場代理人が打合せや巡回で不在になることを想定し、職長、安全担当者、事務所担当者など複数の連絡先を設定します。携帯端末がつながりにくい場所では、無線設備や連絡員を用意し、通信可能な地点も確認します。


熱中症が疑われる場合は、まず作業を中止させ、風通しのよい日陰や冷房の効いた室内などの涼しい場所へ移動させます。衣服を緩め、首の周囲、脇の下、脚の付け根などを冷やし、身体から熱を逃がします。呼びかけに適切に応じ、自力で飲める場合には、状態を確認しながら水分や塩分を補給します。自力で水分を飲めない場合、意識がない場合、呼びかけへの反応がおかしい場合は、無理に飲ませず、直ちに救急車を呼びます。


一時的に症状が改善したように見えても、すぐに一人で作業へ戻してはいけません。付き添う人を配置し、受け答え、体温感、歩行、吐き気、頭痛などの変化を継続して確認します。症状が改善しない場合や再び悪化した場合は、速やかに医療機関を受診させます。本人に運転させて移動させることも避けます。


救急隊へ現場位置を伝えるため、住所だけでなく工区名、入口、目標物、進入可能な道路、ゲートの開閉方法を整理します。農道や仮設道路では、一般的な地図上の位置と実際の進入口が異なる場合があります。緯度経度や位置図を準備し、入口に誘導員を配置する手順まで決めておくと、搬送の遅れを防ぎやすくなります。


対応手順は事務所に掲示するだけでは不十分です。朝礼や新規入場者教育で説明し、作業員が報告先と初動を答えられる状態にします。協力会社の職長だけが理解し、末端の作業員に伝わっていない状態を防ぐことが重要です。外国人作業員がいる場合は、本人が理解できる言語や図を用いて説明します。


土地改良工事の作業別に押さえたい注意点

土地改良工事では、作業内容によって暑熱環境と身体負荷が異なります。一律の休憩時間だけを設定するのではなく、作業ごとの危険要因を確認して対策を追加する必要があります。


水路や管路の掘削作業では、掘削底面に風が届きにくく、周囲の地盤からも熱を受けます。昇降による身体負荷も加わるため、地上の測定値だけで判断せず、実際の作業位置でWBGTを確認します。掘削内で単独作業をさせず、地上から体調を確認できる配置にすることも重要です。


法面整形や除草作業では、足場が不安定な状態で長時間日射を受けます。熱中症によるふらつきが転落や滑落につながる可能性があるため、通常より早い段階で作業を中断できる管理が必要です。休憩場所までの移動にも体力を使うため、法面近くに安全な退避場所を設けます。


コンクリート打設では、作業を途中で止めにくいという工程上の事情があります。打設量を過大に設定せず、交代要員を含めた人数を確保し、締固め、均し、養生などの担当を適切に交代させます。コンクリートや型枠からの熱、保護具による蒸れも考慮し、通常の土工作業とは別に休憩計画を立てます。


測量や出来形確認では、作業強度が低く見える一方、日陰のない場所を長時間歩くことがあります。記録作業に集中すると給水を忘れやすく、一人で工区内を移動する場合は異常の発見も遅れます。測量担当者にも定時連絡のルールを適用し、作業地点と帰着予定時刻を共有します。


重機の点検や整備では、高温になった機体やエンジン周辺に近づく場合があります。運転席から降りた直後に点検へ移るのではなく、安全な場所で身体の状態を確認します。機械の不調に対応するため休憩が後回しになることもあるため、整備担当者にも交代要員を用意します。


交通誘導や見張り作業では、その場を離れにくいことが課題です。交代時刻を曖昧にせず、交代者が到着するまで担当者が無理をして立ち続けることがない体制を整えます。日よけが視界や交通安全を妨げないよう配置し、作業場所ごとに安全と暑熱対策を両立させます。


協力会社を含めた暑熱管理の運用方法

土地改良工事では、元請会社、一次協力会社、専門工事会社、資材運搬会社、交通誘導担当者など、所属の異なる人が同じ現場で作業します。暑熱管理のルールが会社ごとに異なると、休憩のタイミングや異常時の報告先が統一されず、対応の遅れにつながります。


元請会社は、現場共通の最低ルールを示す必要があります。WBGTの測定担当、結果の伝達方法、休憩判断、給水場所、異常時の報告先、救急対応の責任者を施工体制に合わせて明確にします。協力会社が独自に行う対策がある場合も、現場共通ルールと矛盾しないか確認します。


朝礼では、当日の天候だけでなく、測定値、危険になる時間帯、身体負荷の高い作業、休憩予定、報告先を伝えます。「今日は暑いので注意してください」という抽象的な呼びかけだけでは、具体的な行動につながりません。何時ごろにどの作業を変更する可能性があるのかまで共有すると、作業員も準備しやすくなります。


新規入場者については、暑熱対策の説明と理解確認を行います。飲料や休憩場所を案内するだけでなく、体調不良を感じたときに誰へ伝えるのか、作業を離脱してよいのか、救急用品がどこにあるのかを説明します。短期間だけ入場する運搬担当者や点検担当者も対象から外さないようにします。


現場巡視では、安全設備だけでなく、実際に休憩と給水が行われているかを確認します。予定表に休憩時刻が記載されていても、作業の遅れを理由に省略されている場合があります。空の飲料容器や記録だけで実施済みと判断せず、職長や作業員への聞き取りを行います。


工程会議では、暑熱対策を安全事項として扱うだけでなく、翌週の施工能力に影響する条件として検討します。作業時間を短縮した場合の日進量、交代要員の必要数、休憩設備の移設、飲料の補充量などを事前に調整します。暑熱対策を工程外の追加作業と考えず、施工計画の一部として扱うことが重要です。


暑熱管理の記録を施工管理に生かす方法

暑熱管理の記録は、法令対応や事故発生後の説明のためだけに残すものではありません。測定値と実施した対策を蓄積すれば、翌日の作業計画や今後の類似工事にも活用できます。


記録する内容には、測定日時、測定場所、WBGT、気温、天候、作業内容、作業人数、休憩時間、給水状況、体調不良の申告、作業変更の内容などがあります。すべてを複雑な帳票に詰め込むと入力が続かないため、現場で必要な項目を整理し、短時間で記録できる形式にします。


位置情報を記録すると、同じ現場内でも危険性の高い場所を把握しやすくなります。例えば、掘削部、法面、水路内、日陰のない農道などで測定値を比較すれば、休憩場所の配置や作業順序を改善できます。単に現場全体の代表値を一つ残すよりも、作業位置とひも付けた記録の方が実務に役立ちます。


写真も有効ですが、飲料や日よけを撮影しただけでは、対策が継続して運用されたかまでは分かりません。撮影時刻、撮影位置、測定結果、作業状況を合わせて残すことが重要です。設備の設置記録と、休憩や巡視の実施記録を分けて管理すると、計画と実施の差を確認できます。


体調不良が発生した場合は、個人情報に配慮しつつ、発生時刻、作業内容、環境条件、初期症状、応急処置、連絡、搬送、再発防止策を記録します。本人を責めるためではなく、発見や対応に遅れがなかったか、休憩計画や配置に問題がなかったかを検証するために使用します。


記録を日報に添付するだけで終わらせず、週間工程会議や安全協議会で振り返ります。どの値で作業を変更したか、休憩増加によって作業量がどう変化したか、どの場所で体調不良の訴えが多かったかを確認すれば、次の工程をより安全に組み立てられます。


暑熱管理で起こりやすい失敗と改善策

暑熱管理でよくある失敗は、気温だけを見て判断することです。湿度、日射、風、作業強度が考慮されないため、気温が基準未満でも身体への負担が大きい場合があります。現場のWBGTを測定し、作業場所ごとの差を確認する運用へ改めます。


次に多いのが、飲料を置いただけで対策済みと考えることです。作業員が実際に飲める位置にあるか、補充されているか、給水する時間が確保されているかまで確認しなければなりません。配置、数量、補充担当、給水の呼びかけを一つの手順として管理します。


休憩時間を固定しすぎることも問題です。午前と午後に一度ずつ休憩するという通常の予定だけでは、急激な気温上昇や作業負荷の変化に対応できません。WBGTと作業状況に応じて追加休憩を指示できる責任者を決めます。


体調確認を自己申告だけに頼ると、不調を隠す人や自覚症状が弱い人を見逃す可能性があります。相互確認、職長の観察、定時連絡を組み合わせ、本人以外からも報告できる体制を整えます。


異常時の手順を掲示しただけで安心することも避ける必要があります。掲示場所を知らない、文字が小さく読めない、報告先が不在、搬送経路が分からないといった問題は、実際の発症時に表面化します。作業開始前に手順を説明し、連絡訓練や現場位置の確認を行います。


工程優先の雰囲気が強い現場では、ルールがあっても作業員が休止を申し出にくくなります。管理者が率先して休憩を指示し、体調申告によって評価を下げないことを明確にします。暑熱管理を個人の我慢や体力に任せず、組織の施工管理として運用することが必要です。


まとめ

土地改良工事の熱中症を防ぐには、現場に飲料を置くだけでは足りません。WBGTを実作業位置で測定し、値と作業強度に応じて作業可否を判断することが出発点です。そのうえで、暑い時間帯を避けた工程調整、利用しやすい休憩環境、水分と塩分の補給、毎日の体調確認、暑熱順化への配慮を組み合わせます。


さらに、異常を感じた本人だけでなく、周囲の作業員も報告できる体制を整え、作業離脱、身体冷却、救急要請、医療機関への搬送までの手順を共有することが重要です。特に土地改良工事では、掘削部や水路内、法面、交通誘導位置など、同じ工区でも暑熱環境が大きく異なります。現場全体を一つの測定値だけで判断せず、作業場所ごとの状況を確認する必要があります。


測定値、作業位置、休憩、体調確認、作業変更を継続的に記録すれば、対策の実施確認だけでなく、翌日の工程調整や類似工事の計画にも活用できます。暑熱管理を確実に運用するには、現場の位置情報や写真、測定結果を手間なく記録し、関係者が確認できる仕組みが有効です。土地改良工事の現場記録を効率化し、安全管理と施工管理を一体化する手段として、LRTK Phoneの活用を検討してください。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

​

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

​

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page