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赤外線外観検査で曲面部品を安定測定する6つの工夫

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

赤外線外観検査は、目視だけでは判断しにくい温度差や熱の伝わり方を利用して、部品表面や内部構造に起因する異常の可能性を確認する検査方法です。樹脂成形品、金属加工品、ゴム部品、筒状部品、湾曲したカバー、曲げ加工された部材など、曲面を含む部品にも活用されることがあります。ただし、曲面部品は平面部品と比べて、測定角度、反射、焦点、放射率、位置ずれの影響を受けやすく、同じ部品を測っているつもりでも結果がばらつくことがあります。


曲面では、カメラから見た面の向きが場所によって連続的に変わります。そのため、中央部と端部では赤外線の見え方が異なり、温度差のように見える部分が、実際には形状や反射による見かけの差である場合もあります。赤外線外観検査で安定した判定を行うには、単に撮影するだけでなく、曲面特有の見え方を前提に、測定条件をそろえることが重要です。


目次

曲面部品で赤外線外観検査が難しくなる理由

工夫1 測定角度と撮影範囲を標準化する

工夫2 反射と放射率の影響を小さくする

工夫3 治具と位置決めで部品姿勢をそろえる

工夫4 焦点距離と分解能を検査面に合わせる

工夫5 加熱と冷却の条件をそろえて熱むらを読みやすくする

工夫6 判定範囲と基準画像を分けて管理する

曲面部品の赤外線外観検査で現場が見落としやすい注意点

まとめ


曲面部品で赤外線外観検査が難しくなる理由

赤外線外観検査で曲面部品を扱うときに最初に理解しておきたいのは、曲面では「同じ表面」でもカメラから見た条件が場所ごとに変わるという点です。平面部品であれば、部品全体に対してカメラの角度や距離を比較的そろえやすく、画像内の温度差も比較しやすい傾向があります。一方、曲面部品では、部品中央、側面、端部、曲率の大きい部分で、赤外線カメラに入る放射や反射の条件が変わります。


赤外線カメラは、対象物から放射される赤外線をもとに温度分布として表示します。しかし、表示される温度は、対象物そのものの実温度だけで決まるわけではありません。表面の材質、粗さ、塗装、酸化状態、油分、周囲物の映り込み、カメラとの角度などが影響します。また、加熱を伴う検査では、表面色や塗装状態が熱の吸収や温まり方に影響する場合もあります。曲面部品では面の向きが変わるため、周囲の熱源、作業者、装置、壁面などの反射を拾いやすい部分が生じます。その結果、本来は欠陥ではない場所が温度異常のように見えることがあります。


また、曲面の端部では、カメラに対して斜めから見る形になりやすく、同じ面積の欠陥であっても画像上では小さく、引き伸ばされたように見える場合があります。微小な傷、剥離、浮き、充填不良、接着不良、肉厚差などを熱的な差として見ようとする場合、この見え方の違いが判定のばらつきにつながります。特に、曲率が大きい部位や、部品表面が光沢を持つ場合は、測定条件を決めずに撮影すると再現性が下がりやすくなります。


曲面部品の赤外線外観検査では、温度値だけを見るのではなく、どの角度から、どの距離で、どの範囲を、どのタイミングで撮影したのかを含めて管理する必要があります。安定測定とは、毎回まったく同じ画像を得ることではなく、判定に必要な差が、測定条件のばらつきよりも明確に見える状態を作ることです。そのためには、検査前の設計段階で、曲面部品のどの範囲を重視するのか、どの欠陥を見たいのか、どの程度のばらつきまで許容するのかを決めておくことが大切です。


工夫1 測定角度と撮影範囲を標準化する

曲面部品を安定して測定するための第一の工夫は、測定角度と撮影範囲を標準化することです。曲面では、カメラに正対する部分と斜めに見える部分で、赤外線画像の見え方が変わります。測定角度が毎回少しずれるだけでも、反射の入り方や端部の温度表示が変化し、同じ部品でも異なる結果に見えることがあります。


まず決めるべきなのは、検査したい面をどの方向から見るかです。曲面全体を一度に撮影したい場合でも、画像の端に近い部分では角度の影響が大きくなるため、画像内のすべての領域を同じ信頼度で扱うのは難しくなります。特に、円筒形や半円形の部品では、中心付近と側面付近で見かけの温度差が生じやすくなります。そのため、判定に使う範囲を中央寄りに限定する、複数方向から撮影して面ごとに判定する、曲率の大きい部分は別条件で撮るなど、対象に合わせた分け方が必要です。


撮影範囲を標準化する際は、赤外線画像の中で部品がどの位置に入るかも重要です。部品が画面の中心からずれると、曲面の見え方が変わるだけでなく、焦点や画素当たりの見え方にも影響することがあります。現場では、部品が画像内に入っていればよいと考えがちですが、安定した外観検査を行うには、部品の基準位置、上下左右の余白、検査領域の中心をそろえることが大切です。


また、曲面部品は回転方向のずれにも注意が必要です。円筒部品や湾曲カバーのように、見た目では似た形状が続く部品では、わずかな回転ずれによって、検査したい部位が画像上で別の位置に移動します。これにより、前回画像や基準画像との比較が難しくなります。部品に基準となる形状、穴、切欠き、端面、印字、取り付け部がある場合は、それを位置合わせの基準に使うと、画像比較がしやすくなります。


測定角度の標準化では、カメラを固定するだけでなく、部品側の姿勢も同時にそろえる必要があります。カメラが固定されていても、部品の置き方が毎回変われば、結果として測定角度は変わります。作業者が手で持って撮影する方法は柔軟ですが、曲面部品の安定測定には向かない場合があります。量産検査や繰り返し検査では、カメラ、部品、背景、熱源の位置関係をできるだけ固定し、撮影条件が人の感覚に依存しないようにすることが望まれます。


工夫2 反射と放射率の影響を小さくする

曲面部品の赤外線外観検査で特に問題になりやすいのが、反射と放射率の影響です。赤外線画像で明るく見える部分や暗く見える部分があっても、それが部品内部の異常によるものとは限りません。表面が光沢を持つ金属、滑らかな樹脂、滑らかな塗装面、油分が残った部品などでは、周囲の熱源や背景を反射しているだけの場合があります。曲面では反射方向が場所によって変わるため、平面よりもこの影響が複雑になります。


放射率とは、対象物が赤外線をどの程度放射しやすいかを示す性質です。一般に、表面が粗いものやつや消しのものは赤外線測定が安定しやすく、鏡面に近いものは反射の影響を受けやすい傾向があります。ただし、実際の部品では材質だけでなく、表面処理、汚れ、加工状態、温度範囲によっても見え方が変わります。そのため、検査対象ごとに、どの程度まで温度値を信頼できるか、温度値ではなく相対的なパターンを見るべきかを整理しておく必要があります。


反射を小さくするには、まず周囲環境を整えることが重要です。カメラの後方や側方に高温物、低温物、作業者の体、窓、金属面などがあると、それらが曲面に映り込み、疑似的な温度むらとして現れることがあります。特に、曲面の端部や光沢面では、背景の違いが画像に入りやすくなります。検査場所の背景を一定にし、不要な熱源を近づけないようにするだけでも、画像のばらつきを減らせる場合があります。


部品表面の状態をそろえることも大切です。油、粉じん、水分、指紋、離型剤、洗浄残りなどがあると、赤外線の放射や反射が変わります。曲面部品では、こうした付着物が一部に残りやすく、温度むらのように見えることがあります。検査前に清掃条件を決める、乾燥時間をそろえる、触れる位置を限定するなど、表面状態の管理が必要です。ただし、製品仕様に影響する処置や、実際の出荷状態とかけ離れた処置を行う場合は、検査目的との整合を確認する必要があります。


反射の影響を確認する方法として、部品を少し回転させたときに温度むらが部品と一緒に動くか、背景に対して動くかを見る方法があります。部品上の欠陥であれば、基本的には部品の位置や形状に対応して現れます。一方、反射であれば、カメラ、部品、背景の角度関係によって見える場所が変わることがあります。ただし、この確認だけで欠陥か反射かを断定するのは危険です。複数の撮影条件、可視画像、別工程の情報、破壊確認や断面確認など、必要に応じて他の情報と合わせて判断することが安全です。


工夫3 治具と位置決めで部品姿勢をそろえる

曲面部品の安定測定では、治具と位置決めの設計が結果を大きく左右します。赤外線カメラの性能を高めても、部品の置き方が毎回ずれていれば、測定結果は安定しません。特に曲面部品では、平面部品よりもわずかな傾きや回転が画像に影響しやすいため、部品をどの姿勢で固定するかを明確にしておくことが重要です。


治具を使う目的は、部品を単に支えることではありません。検査したい面を同じ角度でカメラに向け、同じ位置に置き、同じ熱条件で撮影できるようにすることです。治具の接触点が多すぎると、部品から熱を奪ったり、逆に治具から熱が伝わったりすることがあります。赤外線外観検査では、治具そのものが熱的な外乱になる場合があるため、接触位置、接触面積、材質、保持時間を考慮する必要があります。


曲面部品を固定するときは、検査対象の曲面に直接強く当てるのではなく、検査に使わない端部や基準面を利用して支える方法が有効な場合があります。検査したい面に治具が近すぎると、影や反射、熱伝導の影響が出ることがあります。また、保持力が強すぎると、柔らかい部品では変形が生じ、実際の形状とは異なる状態で測定してしまう可能性があります。柔軟な部品や薄肉部品では、固定による変形が赤外線画像にも影響するため、保持方法を慎重に決める必要があります。


位置決めでは、部品の幾何的な基準を使うことが基本です。穴、端面、段差、リブ、取り付け部、切欠きなど、製造上の基準になりやすい形状を使うと、繰り返し性を確保しやすくなります。見た目の中心に合わせるだけでは、曲面の角度や検査部位の位置がずれることがあります。特に、成形品や加工品では個体差があるため、どの形状を基準に置くかを決めておくことが重要です。


治具を設計する際には、赤外線画像に治具が映り込まないようにするだけでなく、映り込んだ場合の影響も確認しておく必要があります。治具が低温または高温に見えると、曲面部品に反射して疑似的な温度差を作ることがあります。また、治具が部品の近くにあると、空気の流れや放熱条件が変わり、部品表面の温度分布に影響することがあります。試作段階では、治具ありと治具なし、保持時間を変えた場合、連続測定した場合などを比較し、治具由来のむらが出ていないかを確認するとよいです。


現場運用では、治具の摩耗や汚れにも注意が必要です。治具の接触面が摩耗すると部品姿勢が変わり、汚れが付着すると熱的な条件も変化します。治具は一度作って終わりではなく、定期的に点検し、基準位置や保持状態が変わっていないかを確認する対象として扱うことが大切です。


工夫4 焦点距離と分解能を検査面に合わせる

赤外線外観検査では、焦点距離と分解能の設定も安定測定に直結します。曲面部品では、部品の中心と端部でカメラまでの距離が異なります。平面を正面から撮る場合に比べて、曲面では一部にピントが合っていても、別の部分では焦点が甘くなることがあります。焦点が不十分な画像では、微小な温度差や欠陥パターンがぼやけ、判定が不安定になります。


焦点を合わせるときは、画像全体が見えているかではなく、判定に使う範囲が十分に鮮明かを確認することが重要です。曲面全体を一枚で撮影する場合、すべての場所を同じ鮮明さで捉えることは難しいことがあります。その場合は、検査領域を分割して撮影する、重要部位に焦点を合わせる、端部は別の角度から撮影するなど、欠陥の出やすい場所に合わせて撮影条件を設計します。


分解能についても、単に画像の画素数が多ければよいわけではありません。重要なのは、検出したい欠陥の大きさに対して、画像上で十分な画素数が確保されているかです。曲面部品の端部では、実際の表面面積に対して画像上の見え方が圧縮されるため、小さな欠陥がさらに見えにくくなることがあります。中央部で検出できる欠陥が端部でも同じように検出できるとは限らないため、部位ごとに検出限界を確認する必要があります。


撮影距離が遠すぎると、一つの画素がカバーする実面積が大きくなり、小さな温度差が平均化されやすくなります。一方、近すぎると、曲面全体が画面に入らなかったり、端部の角度差が大きくなったり、焦点深度の影響が出やすくなったりします。安定した測定には、検査したい範囲、欠陥サイズ、部品の曲率、作業スペースを考慮して、適切な撮影距離を決める必要があります。


また、曲面部品では、可視画像と赤外線画像の対応関係も重要です。赤外線画像だけを見ると、温度むらがどの形状位置に対応しているのか分かりにくいことがあります。可視画像や部品図面と照合し、赤外線画像上の判定範囲が実際のどの場所を示しているのかを明確にしておくと、誤判定や確認漏れを減らせます。特に、曲面に沿って欠陥位置を記録する場合は、画像上の座標だけでなく、部品上の基準位置からの距離や方向で整理すると、後工程への説明がしやすくなります。


焦点や分解能の確認は、初期設定時だけでなく、運用中にも行う必要があります。カメラ位置のずれ、レンズ部の汚れ、治具の変化、部品サイズのばらつきによって、設定当初と同じ見え方が保てなくなる場合があります。日常点検として、基準部品や確認用サンプルを撮影し、輪郭の鮮明さ、温度むらの見え方、判定範囲の位置を確認する仕組みを持つと、測定の安定性を維持しやすくなります。


工夫5 加熱と冷却の条件をそろえて熱むらを読みやすくする

赤外線外観検査では、対象物が自然に持つ温度差を見る場合と、加熱や冷却を与えて、その反応を見る場合があります。曲面部品で欠陥や材質差、接着状態、肉厚差などを確認したい場合、熱を与える条件や冷える条件をそろえることが非常に重要です。熱の入り方が毎回変わると、欠陥による差なのか、加熱条件の差なのか判断しにくくなります。


曲面部品では、熱源との距離や角度が場所によって変わりやすくなります。平面に対して均一に熱を当てる場合と違い、曲面では中央部に熱が入りやすく、端部や斜面では熱の入り方が変わることがあります。さらに、曲面の形状によって空気の流れが変わり、冷却速度にも差が出ます。そのため、単純に同じ時間だけ加熱すれば同じ条件になるとは限りません。


加熱条件をそろえるには、熱源の位置、距離、角度、加熱時間、加熱前の部品温度、周囲温度、待機時間を管理する必要があります。部品を検査前にどの場所に置いていたか、直前に手で触れたか、前工程で温まっていたかによっても、赤外線画像は変わります。特に、量産ラインや検査室では、部品ごとの待機時間がばらつきやすいため、検査前の温度ならしを決めておくと安定しやすくなります。


冷却過程を見る場合は、撮影タイミングが重要です。欠陥や構造差は、加熱直後に見えやすい場合もあれば、少し時間が経ってから差が出る場合もあります。曲面部品では、表面の場所によって冷え方が異なるため、撮影のタイミングが数秒ずれるだけで画像パターンが変わることがあります。検査で使うタイミングを決める際は、加熱前、加熱直後、一定時間後など複数の時点で確認し、異常と正常の差が安定して出る時間帯を選ぶことが大切です。


加熱や冷却を使う検査では、温度差を大きくすればよいとは限りません。過度な加熱は部品に影響を与えるおそれがあり、表面だけが急激に温まると、内部状態よりも表面条件の差が大きく見えることがあります。また、曲面では熱の反射や局所的な加熱むらが出やすいため、強い熱源を近づけるほど安定するとは限りません。検査目的に対して必要な範囲で、再現性のある熱刺激を与えることが重要です。


現場でよくある問題は、加熱条件の管理が作業者の感覚に依存してしまうことです。少し長めに当てる、少し近づける、部品が冷める前に急いで撮るといった操作が続くと、データの比較が難しくなります。作業標準では、加熱開始から撮影までの流れを具体的に決め、作業者によって条件が変わらないようにする必要があります。温度差を見る検査ほど、温度を作る工程の標準化が欠かせません。


工夫6 判定範囲と基準画像を分けて管理する

曲面部品の赤外線外観検査では、画像全体を一律に判定するのではなく、判定範囲を分けて管理することが有効です。曲面では、中央部、側面部、端部、段差付近、穴周辺、リブ周辺などで見え方が異なります。同じしきい値や同じ判定基準を全体に適用すると、反射や角度の影響を欠陥として拾ったり、本来確認したい異常を見落としたりする可能性があります。


まず、検査対象の中で本当に判定したい範囲を明確にします。曲面全体を撮影していても、判定に使うのは中央部だけなのか、端部まで含めるのか、接合部だけなのか、肉厚が変わる部分だけなのかを決めます。検査範囲が曖昧なままだと、作業者によって見る場所が変わり、検査結果の説明も難しくなります。曲面部品では特に、画像上の見た目と実際の部品位置が対応しにくいため、判定範囲の定義が重要です。


基準画像の管理も欠かせません。正常品の赤外線画像を基準にする場合、基準画像は一枚だけでは不十分なことがあります。曲面部品は個体差や姿勢差の影響を受けやすいため、正常範囲のばらつきを確認したうえで、どの程度の差を異常とするかを決める必要があります。正常品にもわずかな温度むらや反射はあります。それを異常として扱うと過検出が増え、現場で使いにくい検査になります。


基準画像を作るときは、良品と判断された部品を複数測定し、共通して現れるパターンと、個体差として変動するパターンを分けて見ます。常に同じ場所に現れる温度分布は、形状や熱条件による通常の特徴である可能性があります。一方、正常品では出にくく、不良品や疑似欠陥サンプルで再現して現れるパターンは、判定に使える可能性があります。この切り分けを行わずに単純なしきい値だけで判定すると、曲面特有の見え方を欠陥と誤認しやすくなります。


判定範囲ごとに基準を変えることも重要です。中央部では小さな温度差まで見る、端部では反射の影響を考慮して別の判定にする、曲率の大きい部分は温度値ではなくパターンの形を見るなど、部位ごとの特徴に合わせた判断が必要です。ただし、基準を細かくしすぎると運用が複雑になり、現場で守れなくなることがあります。実務では、検出したい欠陥、誤判定の許容度、作業時間、記録方法のバランスを取りながら、必要な範囲で基準を分けることが現実的です。


また、判定結果を記録するときは、赤外線画像だけでなく、測定条件も一緒に残すことが大切です。撮影角度、部品姿勢、加熱条件、撮影タイミング、判定範囲、作業者、検査日時、周囲環境などが分かる形で記録しておくと、後から異常原因を追跡しやすくなります。曲面部品の検査では、画像だけを見ても、測定条件の違いによる差なのか、部品側の差なのか判断しにくい場合があります。条件付きで画像を管理することで、検査データの信頼性を高められます。


曲面部品の赤外線外観検査で現場が見落としやすい注意点

曲面部品の赤外線外観検査では、設備条件や判定基準を整えても、現場運用の中で見落としが発生することがあります。特に注意したいのは、検査画像がきれいに見えていることと、正しく測定できていることは同じではないという点です。赤外線画像は直感的に分かりやすく見えるため、温度むらが見えた時点で欠陥と判断したくなります。しかし、曲面では反射、角度、焦点、熱条件による見かけの差が多いため、見え方の理由を確認する姿勢が必要です。


一つ目の注意点は、端部や輪郭部の扱いです。曲面の端部は斜めに見えるため、赤外線画像上で温度が変わって見えやすい部分です。ここに欠陥が出る場合もありますが、角度の影響だけで温度差のように表示される場合もあります。端部を重要な検査対象に含めるなら、正面からの一枚撮影だけでなく、別角度からの確認や、端部専用の基準を用意することが望まれます。


二つ目の注意点は、光沢面や金属面の過信です。曲面の金属面や光沢のある樹脂面では、実際の温度ではなく周囲の映り込みが強く出ることがあります。作業者が近づいた位置、周囲設備の配置、背景の温度が変わるだけで、画像が変化することがあります。検査場所を移動した場合や、装置の配置を変えた場合は、以前の基準画像をそのまま使えるか確認する必要があります。


三つ目の注意点は、良品基準の作り方です。良品一個の画像だけを基準にすると、その個体特有の温度分布や測定条件が基準になってしまうことがあります。曲面部品では、わずかな寸法差や表面状態の違いが画像に現れることがあるため、複数の良品で正常範囲を確認することが重要です。また、不良品サンプルや疑似欠陥サンプルが用意できる場合は、正常品との差がどのように出るかを確認しておくと、判定基準を現実的にできます。


四つ目の注意点は、検査目的の曖昧さです。赤外線外観検査で何を見たいのかが明確でないと、温度むら全般を異常として扱ってしまいがちです。しかし、曲面部品では温度むらが必ず欠陥を意味するわけではありません。接着不良を見たいのか、肉厚差を見たいのか、内部空隙を疑いたいのか、表面付着物を見たいのかによって、必要な加熱条件や判定タイミングは変わります。検査目的を先に決めることで、不要な誤判定を減らせます。


五つ目の注意点は、作業者教育です。赤外線画像の色の違いだけで判断すると、曲面部品では誤解が生じやすくなります。色表示は見やすさを助けますが、表示範囲や自動調整によって見え方が変わる場合があります。作業者には、色の印象だけでなく、同じ条件で比較すること、判定範囲を見ること、反射の可能性を考えること、異常時には可視画像や現物確認と照合することを教育する必要があります。


六つ目の注意点は、工程変化への対応です。材料、表面処理、洗浄条件、乾燥条件、前工程の温度、保管場所、搬送時間が変わると、赤外線画像の見え方も変わることがあります。検査工程だけを管理していても、前後工程の変化によって判定が不安定になる場合があります。曲面部品の赤外線外観検査を安定させるには、検査装置だけでなく、部品が検査に入るまでの状態も確認対象に含めることが大切です。


まとめ

赤外線外観検査で曲面部品を安定測定するには、曲面特有の見え方を前提にした条件づくりが欠かせません。曲面では、カメラから見た面の角度が場所ごとに変わり、反射、放射率、焦点、分解能、熱の入り方が複雑に影響します。そのため、平面部品と同じ感覚で撮影してしまうと、温度差のように見えるものが実際には測定条件の差だったということが起こりやすくなります。


安定測定の基本は、測定角度と撮影範囲を標準化することです。部品をどの方向から撮るのか、画像内のどの範囲を判定に使うのか、端部や曲率の大きい部分をどう扱うのかを明確にすることで、比較しやすい画像を得やすくなります。さらに、反射と放射率の影響を小さくするために、周囲環境、背景、表面状態、作業者の位置を管理することも重要です。


治具と位置決めは、曲面部品の再現性を支える重要な要素です。部品姿勢が毎回変わると、測定角度も熱条件も変わります。検査したい面を正しく向け、不要な熱伝導や反射を起こしにくい保持方法を選ぶことで、画像のばらつきを抑えやすくなります。また、焦点距離と分解能を検査面に合わせ、検出したい欠陥が画像上で十分に見えるかを確認することも必要です。


加熱や冷却を使う場合は、熱を与える条件と撮影タイミングをそろえることが大切です。曲面では熱の入り方や冷え方が場所によって変わるため、加熱時間だけでなく、熱源の位置、部品の初期温度、待機時間、撮影時点を管理する必要があります。さらに、判定範囲と基準画像を分けて管理し、部位ごとの見え方に合わせて判断基準を整えることで、過検出や見落としを減らしやすくなります。


赤外線外観検査は、曲面部品に対しても有効な確認手段になり得ますが、画像に映る温度むらをそのまま欠陥と決めつけるのではなく、測定条件と部品状態を合わせて読むことが重要です。現場で安定した検査にするには、カメラ、治具、熱条件、判定基準、記録方法、作業者教育を一体で整える必要があります。曲面部品の測定に不安がある場合は、まず現状の撮影条件と判定範囲を整理し、どの要因がばらつきにつながっているかを確認することから始めるとよいです。


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