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外壁の赤外線検査を依頼する前に知るべき7つの基本

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

建物の外壁は、普段は目に見える範囲だけで判断されがちですが、実際には表面の奥で浮き、剥離、ひび割れ、漏水につながる劣化が進行していることがあります。特にタイル張り、モルタル仕上げ、吹付け仕上げなどの外壁では、見た目が大きく変わっていなくても、下地との接着状態が弱くなっているケースがあります。そこで活用される調査方法の一つが赤外線検査です。外壁の赤外線検査は、建物を大きく壊さずに外壁面の温度分布を確認し、浮きや剥離の可能性がある箇所を把握するための方法です。ただし、赤外線検査は万能ではありません。判定のしやすさや結果の信頼性は、天候、建物の向き、外壁材、調査時間、撮影条件、調査員の経験によって変わります。依頼前に基本を理解しておくことで、見積内容を正しく比較し、調査後の報告書も実務に活かしやすくなります。


目次

外壁の赤外線検査とは何を調べる方法か

赤外線検査で分かることと分からないこと

外壁調査で赤外線検査が選ばれる主な理由

依頼前に確認すべき建物条件と調査条件

赤外線検査の流れと報告書で見るべきポイント

業者選びで失敗しないための確認事項

赤外線検査後に必要になる判断と次の行動

まとめ


外壁の赤外線検査とは何を調べる方法か

外壁の赤外線検査とは、赤外線カメラを使って外壁表面の温度差を撮影し、外壁材の浮きや剥離などの異常が疑われる箇所を推定する調査方法です。赤外線カメラは、目に見える色や形ではなく、物体から放射される赤外線をもとに温度分布を画像化します。外壁に浮きがある場合、健全部と比べて熱の伝わり方や蓄熱の仕方が異なるため、一定の条件下では温度差として現れることがあります。この温度差を読み取り、外壁のどの範囲に異常の可能性があるかを確認していきます。


外壁タイルやモルタルなどが下地から浮いていると、外壁材と躯体の間に空気層が生じることがあります。空気は熱を伝えにくいため、日射を受けた外壁面では健全部と浮き部で温まり方や冷め方に差が出やすくなります。赤外線検査は、このような熱的な違いを利用する調査です。人の目では確認しにくい外壁の状態を、非接触で広い範囲から確認できる点が大きな特徴です。


ただし、赤外線検査は外壁内部を直接透視する技術ではありません。赤外線画像に写るのは、あくまで外壁表面の温度分布です。そのため、温度差が見えたからといって必ず浮きがあるとは限らず、逆に浮きがあっても条件によっては明確な温度差として現れない場合があります。たとえば、日射が不十分な面、風の影響を強く受ける面、湿っている面、外壁の裏側に室内の熱源がある面では、温度分布の読み取りが難しくなることがあります。


実務上の赤外線検査では、赤外線画像だけで判断するのではなく、可視画像、現地状況、建物図面、外壁材の種類、方位、撮影時刻、天候などを総合して判定します。場合によっては、打診調査や目視調査と組み合わせて確認します。赤外線検査は、建物全体の外壁状態を効率よく把握するための有効な手段の一つですが、調査条件と判定の前提を理解したうえで活用することが重要です。


外壁の赤外線検査を依頼する担当者がまず押さえておきたいのは、この調査が「異常の可能性を面的に把握する調査」であるという点です。すべての浮きを完全に断定するものではなく、外壁面の温度変化から危険箇所や詳細確認が必要な箇所を絞り込むための調査と考えると、報告書の読み方や次の対応を誤りにくくなります。


赤外線検査で分かることと分からないこと

赤外線検査で分かる代表的な内容は、外壁材の浮きや剥離が疑われる範囲です。特に、タイル仕上げやモルタル仕上げの外壁では、下地との接着不良や経年劣化によって浮きが生じることがあります。こうした箇所は、条件が合えば周囲と異なる温度分布として赤外線画像に現れます。調査結果では、外壁のどの面のどの範囲に異常温度部があるかを示し、浮きの可能性がある箇所として整理されることが一般的です。


また、漏水や含水の疑いを把握する手がかりになることもあります。外壁が水分を含んでいる場合、乾燥している部分と比べて温度変化が異なることがあります。雨水の浸入、シーリングの劣化、ひび割れ周辺の含水などが、周囲とは違う温度パターンとして見える場合があります。ただし、漏水原因の特定は簡単ではありません。赤外線検査は水分の存在を直接測るものではないため、必要に応じて散水調査、含水率測定、目視確認などと組み合わせることが望ましいです。


一方で、赤外線検査では分からないことも多くあります。たとえば、外壁材の裏側にある鉄筋の腐食状態や、コンクリート内部の詳細なひび割れ状況を直接確認することはできません。外壁表面に現れる温度差をもとに推定する調査であるため、内部の構造的な劣化をすべて把握できるわけではありません。また、外壁の浮きが非常に小さい場合、浮きの深さや位置が赤外線に反映されにくい場合、外壁表面の仕上げが温度差を出しにくい場合には、検出が難しくなります。


赤外線検査で注意したいのは、温度差の原因が必ずしも外壁の浮きとは限らないことです。外壁の汚れ、補修跡、材料の違い、日陰、配管や設備の影響、室内外の温度差、反射、湿気、風などによっても温度ムラは生じます。たとえば、同じ外壁面でも、窓の周辺、庇の下、隣接建物の影になる部分、設備配管の近くでは、外壁の劣化とは別の理由で温度差が現れることがあります。これらを区別するには、赤外線画像を撮影するだけでなく、現地を見て判断する経験が必要です。


依頼者側としては、赤外線検査の結果を「異常あり」「異常なし」という単純な結論だけで受け取らないことが大切です。報告書に示された異常箇所は、あくまで外壁の状態を評価するための重要な情報です。その後、打診による確認、補修計画の検討、経過観察、追加調査の要否判断などにつなげることで、実務上の価値が高まります。赤外線検査で分かる範囲と限界を理解しておくと、調査会社との認識違いを防ぎやすくなります。


外壁調査で赤外線検査が選ばれる主な理由

外壁調査で赤外線検査が選ばれる大きな理由は、非接触で広い範囲を確認できることです。従来の打診調査では、調査員が外壁面に近づき、打診棒などで外壁を叩いて音の違いを確認します。この方法は直接的な確認ができる一方で、高所や広い外壁面を調査する場合には、足場、高所作業車、ロープ作業などが必要になることがあります。建物の規模や立地によっては、準備に時間がかかり、建物利用者や周辺環境への影響も大きくなります。


赤外線検査は、地上、屋上、共用部、許可を得た隣接建物など、一定の離隔を確保できる位置から外壁面を撮影できるため、調査対象範囲を効率よく把握しやすい方法です。建物全体の傾向を短期間で把握したい場合や、足場を設置する前に劣化範囲を概略確認したい場合に向いています。外壁の全面打診が難しい建物でも、赤外線検査を組み合わせることで、重点的に確認すべき箇所を絞り込むことができます。


建物の運用を止めにくい施設でも、赤外線検査は検討しやすい方法です。事務所、共同住宅、商業施設、学校、医療施設、工場などでは、日常利用を続けながら外壁調査を行う必要があります。赤外線検査は、外壁に直接触れずに撮影できる範囲が広いため、入居者や利用者への影響を抑えやすいという利点があります。もちろん、敷地内で撮影位置を確保したり、周囲の安全を管理したりする必要はありますが、大掛かりな仮設を最小限にできる可能性があります。


また、赤外線画像と可視画像を組み合わせることで、調査結果を視覚的に説明しやすい点もメリットです。報告書では、外壁写真に異常が疑われる範囲を示し、関係者間で認識を共有しやすくします。建物所有者、管理会社、修繕担当者、施工会社など複数の関係者がいる場合、言葉だけで「北面の上部に浮きの疑いがある」と説明するよりも、画像で範囲を示したほうが伝わりやすくなります。


一方で、赤外線検査が選ばれる理由は「簡単だから」だけではありません。むしろ、広範囲を効率よく調査できるからこそ、調査条件の設定、撮影計画、判定基準、報告書の品質が重要になります。撮影だけなら短時間で終わる場合でも、適切な時間帯を選び、方位ごとの日射条件を見極め、現地で外壁材や影の影響を確認し、画像を慎重に解析する必要があります。


依頼者が赤外線検査を選ぶ際には、「足場をかけずに安く済ませたい」という発想だけで判断しないことが大切です。赤外線検査は、適切な条件で行えば有効な調査ですが、条件が悪いまま実施すると判断材料として不十分になることがあります。建物の安全管理や修繕計画に使う調査である以上、調査方法のメリットだけでなく、適用条件と限界まで理解したうえで採用することが求められます。


依頼前に確認すべき建物条件と調査条件

外壁の赤外線検査を依頼する前には、まず建物の基本情報を整理しておくことが重要です。建物の所在地、階数、構造、築年数、外壁仕上げ、過去の補修履歴、漏水履歴、図面の有無、調査対象範囲を確認しておくと、調査会社が適切な調査計画を立てやすくなります。特に外壁仕上げの種類は、赤外線検査の適性に関わります。タイル、モルタル、石材調仕上げ、塗装、パネルなど、仕上げによって温度の出方や判定の難易度が異なります。


建物の方位も重要です。赤外線検査は外壁面の温度差を利用するため、日射の当たり方が結果に大きく影響します。南面や西面のように日射を受けやすい面では温度差が出やすい場合がありますが、北面や隣接建物の影になる面では十分な温度差が得られないことがあります。高層建物や密集地では、周辺建物、庇、バルコニー、看板、設備機器などによって外壁面に影が生じ、画像の読み取りが難しくなることもあります。


天候条件も見逃せません。赤外線検査は、晴天で日射が安定している日が適している場合が多く、雨天、強風、曇天、外壁が濡れている状態では精度が下がることがあります。雨の直後は外壁表面の水分が温度分布に影響し、浮きによる温度差と区別しにくくなることがあります。強風時には外壁表面が冷やされ、温度差が小さくなる場合があります。依頼時には、予備日を設ける必要があるか、天候不良時の判断をどうするかを確認しておくと安心です。


撮影時間も調査精度に関わります。外壁面は、日射を受けて温まり、時間の経過とともに冷めていきます。浮き部と健全部の温度差が現れやすい時間帯は、方位や季節、外壁材によって変わります。朝、昼、夕方のどの時間に撮影するかを現地条件に合わせて検討する必要があります。単に都合のよい時間に撮影するのではなく、外壁面の熱の動きを考えた撮影計画が必要です。


調査距離と撮影位置も大切です。赤外線カメラは、対象物から離れすぎると細かな異常を捉えにくくなる場合があります。また、外壁面に対して極端な角度から撮影すると、反射や歪みの影響を受けやすくなります。敷地が狭い建物、道路に面した建物、隣地との距離が近い建物では、適切な撮影位置を確保できるかが課題になります。必要に応じて、屋上、共用廊下、管理者の許可を得た安全な場所などから撮影できるかを検討します。


依頼者側で事前に整理しておきたいのは、調査の目的です。建築基準法第12条に基づく定期報告などに関連する調査なのか、大規模修繕の事前調査なのか、漏水原因の把握なのか、外壁落下リスクの確認なのかによって、必要な調査範囲や報告書の内容は変わります。法定報告に使う場合は、対象建物、調査方法、報告書の要件が建物条件や特定行政庁の運用によって変わることがあるため、有資格者や所管窓口に確認することが大切です。目的が曖昧なまま依頼すると、撮影は行われても、実務で使いにくい報告書になる可能性があります。調査会社には「何の判断に使う調査なのか」を明確に伝えましょう。


赤外線検査の流れと報告書で見るべきポイント

外壁の赤外線検査は、一般的に事前確認、現地調査、画像解析、報告書作成という流れで進みます。まず事前確認では、建物の概要、外壁仕上げ、調査範囲、図面、過去の修繕履歴、周辺環境などを確認します。図面がある場合は、立面図や配置図をもとに、どの面をどこから撮影するかを検討します。図面がない場合でも、現地で外壁面を区分し、撮影位置と対象範囲を整理することが必要です。


現地調査では、赤外線画像と可視画像を撮影します。赤外線画像だけでは、どの部位を撮影しているのか分かりにくいことがあるため、同じ範囲を通常の写真でも記録します。あわせて、外壁のひび割れ、欠損、汚れ、補修跡、シーリングの劣化、設備の位置、影の状態などを目視で確認します。現地で得られる情報は、後の画像判定に大きく影響します。赤外線画像だけを机上で見ても、温度差の原因を正しく読み取れない場合があるためです。


画像解析では、撮影した赤外線画像を確認し、周囲と異なる温度分布を示す箇所を抽出します。異常が疑われる箇所は、可視画像や立面図に対応させて整理されます。解析では、外壁材の違い、日射条件、影、反射、設備熱、室内熱などの影響を考慮しながら、浮きや剥離の可能性がある範囲を判定します。ここで重要なのは、単に温度が高い場所や低い場所を機械的に拾うのではなく、建物条件を踏まえて妥当性を確認することです。


報告書でまず確認すべきポイントは、調査条件が明記されているかどうかです。調査日、天候、気温、風の状況、撮影時間、撮影面、撮影位置、使用した調査方法、対象範囲、調査できなかった範囲が分かるように記載されていることが重要です。赤外線検査は条件依存性が高いため、どのような状況で撮影された画像なのかが分からない報告書では、結果の信頼性を判断しにくくなります。


次に、異常箇所の示し方を確認します。異常が疑われる範囲が外壁写真や立面図上で分かりやすく示されているか、面ごとに整理されているか、範囲の大きさや位置が実務上把握できるかを見ます。画像だけが並んでいて、どの箇所を示しているのか分からない報告書では、補修計画や関係者説明に使いにくくなります。建物のどの面のどの高さ、どの周辺部に異常があるのかを追える構成が望ましいです。


さらに、判定の前提や注意事項が記載されているかも重要です。赤外線検査では、判定困難な範囲や条件不良の範囲が出ることがあります。たとえば、日射が当たらない面、強い影がある面、外壁が濡れていた範囲、設備やガラス面の反射を受けた範囲などは、信頼性が下がる可能性があります。良い報告書は、異常箇所だけでなく、調査の限界や追加確認が必要な範囲も明記しています。


報告書を受け取ったら、結論だけでなく、今後の対応方針まで確認することが大切です。異常が疑われる範囲について、打診確認が必要なのか、経過観察でよいのか、早期補修を検討すべきなのか、追加調査を行うべきなのかが整理されていると、次の判断に進みやすくなります。定期報告などに用いる場合は、必要な資格、記載項目、打診との併用確認、調査できなかった範囲の扱いなども確認しておくと安心です。赤外線検査は報告書を受け取って終わりではなく、建物の安全確保と修繕計画に活かしてこそ意味があります。


業者選びで失敗しないための確認事項

赤外線検査を依頼する際には、単に撮影機器を持っている業者ではなく、外壁調査の知識と現場経験がある業者を選ぶことが重要です。赤外線カメラは温度分布を記録する機器ですが、その画像をどう読み取るかは調査員の経験に左右されます。外壁の浮き、剥離、ひび割れ、漏水、補修跡、仕上げ材の違い、日射条件の影響を理解していなければ、誤判定や見落としにつながる可能性があります。


見積依頼時には、調査範囲が明確に示されているかを確認します。建物全体を調査するのか、特定の面だけを調査するのか、低層部と高層部の扱いはどうするのか、バルコニー内側や共用廊下側も含むのか、屋上や塔屋は対象かなど、範囲を曖昧にしたまま依頼すると、後で認識違いが生じやすくなります。特に外壁調査では、建物の形状が複雑なほど対象範囲の確認が重要です。


調査方法の組み合わせも確認しましょう。赤外線検査だけで完結するのか、目視調査や部分打診を併用するのか、異常箇所の確認方法はどうするのかによって、報告書の精度や実用性が変わります。すべての建物で全面打診が必要というわけではありませんが、赤外線画像だけでは判断しにくい箇所について、どのように補完するのかを確認しておくことが大切です。


報告書のサンプルを確認することも有効です。実際の報告書に近い形式を見れば、調査結果がどの程度分かりやすく整理されるかを事前に判断できます。赤外線画像、可視画像、立面図、異常箇所のマーキング、調査条件、総合所見、注意事項、今後の対応などが見やすくまとめられているかを確認しましょう。報告書が簡素すぎる場合、社内説明、管理組合説明、修繕計画、施工会社への引き継ぎで使いにくくなる可能性があります。


法定報告や公的な提出資料に関係する調査では、実施者の資格や責任範囲も確認しておく必要があります。建物の用途や規模、地域の運用によって必要な確認事項が異なる場合があるため、一級建築士、二級建築士、特定建築物調査員など、制度上求められる資格者が関与しているかを確認しましょう。単なる撮影サービスとして依頼するのか、外壁調査報告として使うのかによって、業者選びの基準は変わります。


業者に確認したい点として、天候不良時の対応もあります。赤外線検査は天候の影響を受けるため、予定日に条件が悪い場合にどう判断するのかは重要です。無理に撮影を実施するのか、予備日に変更するのか、調査可能な範囲だけ実施するのか、条件不良として報告書に明記するのかを事前に確認しておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。


また、現地での安全管理や近隣対応も見落とせません。道路上や敷地外から撮影する場合、通行人や車両への配慮が必要になることがあります。共同住宅や施設では、入居者や利用者に調査日程を周知する必要がある場合もあります。撮影のために立ち入りが必要な場所、管理者の同行が必要な場所、鍵の手配が必要な場所などを事前に整理しておくと、当日の調査が円滑に進みます。


業者選びでは、説明の分かりやすさも重要です。依頼前の段階で、赤外線検査のメリットだけを強調し、限界や条件について説明しない業者には注意が必要です。信頼できる業者ほど、検査で分かること、分からないこと、調査に適した条件、判定が難しいケース、追加調査が必要になる可能性を丁寧に説明します。外壁調査は建物の安全に関わる業務です。都合のよい結論だけでなく、実務に必要な判断材料を提供できる業者を選ぶことが大切です。


赤外線検査後に必要になる判断と次の行動

赤外線検査は、実施して報告書を受け取った時点がゴールではありません。むしろ、そこからどのように判断し、必要な対応につなげるかが重要です。報告書に異常が疑われる箇所が示された場合、まずはその範囲の緊急性を確認します。外壁材の落下につながるおそれがある箇所、人や車両の通行が多い箇所、出入口や歩道に面した箇所、高所で剥落した場合の影響が大きい箇所は、優先的に対応を検討する必要があります。


異常箇所が確認されたからといって、すぐに全面改修が必要になるとは限りません。異常の範囲、建物の築年数、過去の補修履歴、外壁材の状態、落下リスク、今後の修繕計画を踏まえて判断します。部分的な補修で対応できる場合もあれば、大規模修繕の時期を前倒ししたほうがよい場合もあります。重要なのは、赤外線検査の結果を単独で判断するのではなく、建物全体の維持管理計画の中で位置づけることです。


必要に応じて、打診調査による確認を行います。赤外線検査で異常が疑われた範囲について、実際に外壁面を打診し、音の違いから浮きの有無を確認することで、補修範囲をより具体化できます。特に、補修工事の数量を算出する場合や、落下リスクが高い箇所を判断する場合には、追加確認が重要になります。赤外線検査は広範囲のスクリーニングに向き、打診調査は局所的な確認に向いています。両者を適切に組み合わせることで、調査の実効性が高まります。


漏水の疑いがある場合は、外壁の浮きとは別の視点で対応を考える必要があります。赤外線画像に温度ムラが出ていても、それが漏水経路を直接示しているとは限りません。シーリングの劣化、サッシまわりの納まり、ひび割れ、屋上やバルコニーの防水、配管まわりなど、複数の要因を確認する必要があります。室内側の被害状況や雨天時の発生条件もあわせて整理し、必要に応じて追加調査を検討します。


報告書を社内や関係者に共有する際には、専門用語だけで説明しないことも大切です。赤外線画像は見慣れていない人にとって分かりにくい場合があります。どの面にどの程度の異常が疑われるのか、すぐに危険な状態なのか、追加確認が必要なのか、修繕計画にどう反映するのかを整理して伝えることで、合意形成が進みやすくなります。管理組合、オーナー、施設管理部門、施工会社など、関係者の立場に合わせて説明資料を整えるとよいでしょう。


また、異常が少なかった場合でも、報告書を保管し、次回調査や修繕計画の基礎資料として活用することが重要です。外壁劣化は時間とともに進行するため、一度の調査結果だけで将来の安全が保証されるわけではありません。前回調査と次回調査を比較することで、劣化の進行傾向を把握しやすくなります。特に、築年数が進んだ建物では、定期的な外壁点検の履歴を残しておくことが維持管理上の大きな財産になります。


赤外線検査後の行動として最も避けたいのは、報告書を受け取ったまま放置することです。異常箇所がある場合は、緊急性の整理、追加確認の要否、補修方針、予算化、関係者説明まで進める必要があります。異常が少ない場合でも、次回点検時期や経過観察の方針を決めておくことが望ましいです。外壁の安全管理は、調査、判断、補修、記録を継続的に回していくことで成り立ちます。


まとめ

外壁の赤外線検査は、建物の外壁状態を効率よく把握するための有効な調査方法の一つです。非接触で広い範囲を確認でき、外壁タイルやモルタルの浮き、剥離の疑いを面的に把握しやすい点が大きな特徴です。足場を設置する前の事前調査、大規模修繕の計画、外壁落下リスクの確認、漏水や劣化の手がかり把握など、さまざまな場面で活用されています。


一方で、赤外線検査は万能な調査ではありません。外壁表面の温度分布をもとに異常の可能性を推定する方法であり、天候、日射、風、外壁材、撮影角度、周辺環境の影響を受けます。温度差があるから必ず浮きがあるとは限らず、温度差が見えないから異常がないとも言い切れません。そのため、検査結果は調査条件や現地状況とあわせて読み解く必要があります。


依頼前には、建物情報、外壁仕上げ、調査目的、対象範囲、過去の補修履歴、図面の有無を整理しておくことが大切です。調査会社には、どの範囲をどの方法で調べるのか、天候不良時はどうするのか、報告書には何が記載されるのか、赤外線検査だけで判断できない箇所をどう扱うのかを確認しましょう。報告書の分かりやすさや、調査後の説明力も業者選びの重要な判断材料です。


赤外線検査を有効に活用するためには、検査を単なる撮影作業として捉えないことが重要です。建物の安全性を確認し、必要な補修を判断し、長期的な維持管理につなげるための調査として位置づけることで、実務上の価値が高まります。外壁の劣化は放置すると落下事故や漏水被害、修繕範囲の拡大につながる可能性があります。早い段階で状態を把握し、必要な対策を検討することが、建物を安全に使い続けるための基本です。


外壁の赤外線検査を検討している場合は、まず建物の状況と調査目的を整理し、専門的な視点で調査範囲や方法を相談することから始めてください。調査の可否、適した時期、報告書の内容、調査後の進め方まで確認しておくことで、依頼後の不安や手戻りを減らせます。具体的な建物条件に合わせて相談したい場合は、図面、過去の補修履歴、漏水履歴、調査したい範囲を用意したうえで、外壁調査に対応できる専門業者へ問い合わせると進めやすくなります。


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