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GNSSの補正情報フォーマットを選ぶ時の4つの違い

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

GNSSの補正情報フォーマットを選ぶ前に押さえたい基本

違い1 対応する測位方式と必要な精度の違い

違い2 受信機や現場システムとの互換性の違い

違い3 通信量と運用安定性の違い

違い4 記録、検証、将来利用のしやすさの違い

補正情報フォーマットを選ぶ時に起きやすい失敗

現場で迷わないための選定手順

GNSS活用を現場全体の記録につなげる考え方


GNSSの補正情報フォーマットを選ぶ前に押さえたい基本

GNSSを現場で使う時、受信機本体の性能や衛星数だけに目が向きがちですが、実際の測位品質を左右する要素として補正情報の扱いがあります。特に高精度測位を行う場合、受信機が単独で衛星信号を受けるだけではなく、基準局や補正サービスから送られる補正情報を受け取り、誤差を小さくする仕組みを使います。この補正情報をどの形式で受け取り、どのように処理するかが、現場での安定性や成果の信頼性に関わります。


補正情報フォーマットとは、衛星ごとの観測値、基準局情報、搬送波位相に関する情報、擬似距離に関する情報、アンテナや座標に関する情報などを、受信機が理解できる形で整理したデータ形式です。現場担当者から見ると、フォーマット名そのものよりも、「自分の受信機で使えるか」「必要な精度が出るか」「通信が途切れにくいか」「あとから記録を確認できるか」が重要になります。


GNSSの補正情報には、標準的に広く使われる形式、特定の用途や世代に合わせた形式、機器側で独自に扱われる形式、観測データ保存を目的にした形式などがあります。ここで注意したいのは、どれか一つが常に正解になるわけではないという点です。測量、施工管理、出来形確認、位置誘導、点群取得、写真記録、資機材管理など、GNSSを使う目的が違えば、必要な補正情報の中身や運用条件も変わります。


たとえば、リアルタイムに数センチ級の位置を確認したい場合は、補正情報を遅れなく受け取れることが重要です。一方、後処理で精度を検証する場合は、現場でリアルタイムに表示される位置だけでなく、観測データを後から解析できる形式で残しておくことが重要になります。また、複数の現場や複数の受信機を混在させる場合は、特定の機器だけでしか読めない形式に依存しすぎると、後から運用変更が難しくなることがあります。


GNSSの補正情報フォーマットを選ぶ時は、単に「高精度対応」と書かれているかどうかではなく、どの測位方式に使うのか、どの受信機で読むのか、通信環境に耐えられるのか、成果確認や社内レビューで説明しやすいのかを分けて考える必要があります。この記事では、実務担当者が現場で判断しやすいように、補正情報フォーマットを選ぶ時の4つの違いを、運用目線で整理します。


違い1 対応する測位方式と必要な精度の違い

補正情報フォーマットを選ぶ最初の観点は、どの測位方式に対応させるかです。GNSSには、単独測位、補強型の測位、リアルタイムの相対測位、ネットワーク型の高精度測位、後処理解析を前提にした測位など、複数の使い方があります。補正情報フォーマットは、これらの測位方式に必要な情報を十分に含んでいる必要があります。


現場で高精度測位を行う場合、よく重視されるのは固定解が得られるかどうかです。固定解とは、搬送波位相を利用して整数値のあいまいさを解き、より高い精度で位置を求めている状態を指します。この状態に到達するには、受信機が衛星から受けた観測値だけでなく、基準となる位置からの補正情報を適切に受け取る必要があります。補正情報の中に必要な衛星系、周波数、観測値、基準局座標などが不足していると、受信機側が高精度な解を安定して求めにくくなります。


ここで問題になりやすいのが、フォーマットが高精度測位に対応しているように見えても、現場で使いたい衛星系や周波数が十分に扱えない場合です。GNSSは複数の衛星測位システムを組み合わせて利用することが一般的になっており、受信機側も複数周波数に対応することが増えています。しかし、補正情報の形式や配信設定が古いままだと、受信機が対応している衛星や周波数を十分に活用できないことがあります。その結果、空が開けた場所では問題が見えにくくても、建物の近く、樹木の近く、法面下、重機や仮設物の周辺では固定解に入りにくくなることがあります。


一方で、すべての現場で最も多くの情報を含む形式が必要になるわけではありません。簡易な位置確認、概略の現況把握、写真記録の位置付け、施工範囲の大まかな確認などでは、数センチ単位の厳密な座標よりも、運用の軽さや再現性の方が重要になる場合があります。必要以上に高度な補正情報を選ぶと、受信機設定や通信設定が複雑になり、現場担当者が状態を判断しにくくなることもあります。


測位方式との関係で見ると、補正情報フォーマットは「どの精度を出せるか」だけではなく、「その精度をどの条件で安定して出せるか」を見ることが大切です。カタログ上の精度は良くても、補正情報の内容が現場条件に合っていなければ、実際の測位では再初期化が多くなったり、浮動解の時間が長くなったり、位置のばらつきが大きくなったりします。特に施工管理でGNSSを使う場合、瞬間的に良い値が出ることよりも、作業中に安定して使えることが重要です。


補正情報フォーマットを選ぶ時は、まず現場で求める精度を明確にする必要があります。境界や基準点に関わる測量なのか、出来形確認なのか、施工中の位置誘導なのか、日常的な巡回記録なのかによって、求められる精度と説明責任は変わります。求める精度が明確になれば、必要な補正情報の内容も見えてきます。高精度測位が必要な場合は、受信機が使う衛星系と周波数、現場で利用する補正配信、測位エンジンが対応する情報の組み合わせを確認することが欠かせません。


また、現場では「今日は固定解になったから大丈夫」と判断するのではなく、補正情報フォーマットが作業全体に適しているかを見る必要があります。作業開始時、移動中、遮蔽物の近く、通信が弱い場所、再接続後など、複数の場面で測位状態を確認することで、フォーマット選定の妥当性が見えやすくなります。補正情報は目に見えないデータですが、その選び方は現場の測位結果に直接表れます。


違い2 受信機や現場システムとの互換性の違い

補正情報フォーマットを選ぶ二つ目の観点は、受信機や現場システムとの互換性です。GNSSの現場では、受信機、アンテナ、操作端末、測量アプリ、クラウド、電子野帳、施工管理システム、点群処理環境など、複数の機器やソフトが関係します。補正情報フォーマットが理論上は優れていても、現場で使う機器やシステムが正しく読み取れなければ意味がありません。


互換性で最初に確認すべきなのは、受信機がその補正情報を受け取れるかどうかです。受信機によって、対応しているフォーマット、対応している世代、扱える衛星系、処理できるメッセージの種類が異なります。同じように見える補正情報でも、受信機側で一部の情報を無視したり、想定どおりに解析できなかったりする場合があります。現場では接続できているように見えても、実際には必要な補正が反映されていないこともあるため、単に通信がつながっただけで判断しないことが重要です。


次に確認したいのは、補正情報の入力経路です。補正情報は、通信回線を通じて受け取る場合もあれば、ローカルの基準局から無線やネットワークで受け取る場合もあります。操作端末を経由する場合、受信機が直接受け取る場合、現場アプリが中継する場合など、構成によって確認すべき点が変わります。フォーマット自体に問題がなくても、途中の端末やアプリが特定の形式にしか対応していない場合、現場では利用できません。


互換性の問題は、複数機器を混在させた時に表面化しやすくなります。たとえば、ある現場では同じメーカーや同じ世代の機器だけを使っていたため問題がなかったとしても、別の現場で別世代の受信機を使うと、補正情報を正しく処理できないことがあります。また、協力会社や別部署の機器を一時的に使う場合、独自性の高い形式に依存していると接続確認に時間がかかることがあります。現場の標準化を考えるなら、できるだけ汎用性の高い形式を軸にし、特殊な形式は用途を限定して使う方が安全です。


ただし、独自性のある形式が常に悪いわけではありません。特定の受信機やシステムの組み合わせでは、処理が軽く、設定項目が少なく、安定して使える場合もあります。問題は、その形式を選ぶ理由を現場側が理解しないまま使い続けることです。将来、機器を更新した時、クラウド連携を追加した時、別の測量アプリへ切り替えた時に、これまでの補正情報がそのまま使えるとは限りません。短期の使いやすさと長期の互換性を分けて判断する必要があります。


現場システムとの互換性では、補正情報だけでなく、測位結果の出力形式も関係します。GNSSで得た座標を、写真、点群、出来形管理、帳票、図面、地図データとつなげる場合、補正情報が正しく反映された測位結果を、後続のシステムで扱える形にする必要があります。補正情報フォーマットは入力側の話ですが、現場の成果物は出力側で評価されます。入力から出力までの流れ全体で互換性を確認しなければ、測位した時点では問題がなくても、成果整理の段階で座標が合わない、標高がずれる、測点の意味が伝わらないといった問題につながります。


互換性を確認する時は、実際の作業手順に沿って試験することが効果的です。受信機に補正情報を入れ、現場アプリで測位状態を確認し、座標を記録し、クラウドや社内システムに送信し、図面や点群と重ね、帳票に出すところまで通して見ることで、問題の発見が早くなります。補正情報フォーマットだけを単独で比較するよりも、現場で使う全体の流れに入れて確認する方が、実務上の判断に近くなります。


特にGNSSを複数現場で展開する場合は、個人の経験に頼らず、対応フォーマット、推奨設定、利用できない組み合わせ、確認済みの受信機、通信条件、測位方式を社内で整理しておくと安心です。補正情報の選定は一度決めれば終わりではなく、受信機の更新、アプリの更新、現場条件の変化に合わせて見直すものです。互換性を軽視すると、現場ごとに設定がばらつき、同じGNSSを使っているのに成果の信頼性が揃わない状態になりかねません。


違い3 通信量と運用安定性の違い

補正情報フォーマットを選ぶ三つ目の観点は、通信量と運用安定性です。GNSSの補正情報は、リアルタイムに受け取り続けることで効果を発揮する場合が多いため、通信環境の影響を強く受けます。補正情報の中身が豊富であっても、通信が不安定な現場で途切れやすければ、測位状態は安定しません。特に山間部、地下構造物の入口付近、法面、河川、港湾、造成地、仮設事務所周辺などでは、通信品質が作業効率を左右します。


補正情報フォーマットによって、送られる情報の量は変わります。複数の衛星系や複数周波数を扱い、細かい観測情報を多く含む形式では、通信量が増える傾向があります。通信量が増えても回線が十分に安定していれば問題になりにくいですが、電波状況が弱い場所では、遅延や欠落が起きやすくなります。補正情報が遅れると、受信機は最新の補正を使えなくなり、固定解から外れたり、測位精度が低下したりします。


一方で、通信量を抑えた形式や設定では、受け取りやすさは高まる場合がありますが、利用できる情報が限られることがあります。現場で必要な衛星系や周波数が不足すると、遮蔽物の多い場所で安定性が落ちる可能性があります。つまり、通信量は少なければ良い、多ければ良いという単純な話ではありません。現場の通信環境と、必要な測位品質のバランスを取ることが大切です。


運用安定性を見る時は、補正情報の遅延も重要です。GNSSの高精度測位では、補正情報が現在の観測に近いタイミングで届くことが望まれます。補正情報が届いていても、遅延が大きければ測位結果の安定性に影響します。操作画面で補正受信中と表示されている場合でも、遅延が大きい、更新間隔が不規則、再接続が頻繁に起きるといった状態では、現場作業に適した状態とは言えません。


また、通信が一度切れた後の復帰性も見ておく必要があります。現場では、移動中に通信が途切れる、端末が一時的に圏外になる、作業者が建物や重機の陰に入るといったことが起きます。この時、補正情報の再受信後にすぐ固定解へ戻るのか、再初期化に時間がかかるのか、操作が必要なのかによって、作業効率は大きく変わります。補正情報フォーマットの選定では、理想条件の精度だけでなく、途切れた時の戻りやすさも確認する必要があります。


通信量と安定性は、同時に使う台数にも影響されます。単独の受信機では問題がなくても、複数人が同じ現場で同時にGNSSを使うと、通信回線や端末の処理負荷が増えます。補正情報の受信、クラウド同期、写真アップロード、点群データ送信などを同時に行う場合、補正情報の通信が圧迫されることもあります。現場全体でGNSSを活用する場合は、補正情報だけを個別に見るのではなく、通信の使い方全体を整理することが必要です。


実務では、補正情報フォーマットを選ぶ前に、現場で通信試験を行うことが有効です。作業予定範囲を歩きながら、補正情報の受信状態、測位状態、固定解への入りやすさ、再接続後の復帰、記録中の安定性を確認します。特に、作業開始地点だけでなく、最も条件の悪い場所で試すことが重要です。入口付近だけで良好な結果が出ても、奥まった場所や遮蔽物の多い場所では状態が変わることがあります。


通信量を抑えるために設定を変更する場合は、その変更が精度や安定性に与える影響を確認する必要があります。必要な衛星系を削ってしまったり、補正情報の更新が粗くなったりすると、通信は軽くなっても測位の信頼性が落ちる場合があります。逆に、不要な情報まで受け取って通信負荷を増やすと、現場では不安定になることがあります。補正情報フォーマットの選定は、現場で求める精度、衛星環境、通信環境、端末性能を合わせて判断するものです。


運用安定性を高めるためには、現場担当者が測位状態を読めることも欠かせません。補正情報が入っているか、固定解か浮動解か、衛星数は十分か、通信遅延は大きくないか、再接続後に正しく復帰しているかを確認できるようにしておくことで、トラブル時の判断が早くなります。補正情報フォーマットは裏側の設定に見えますが、現場の作業者が状態を理解できなければ、精度の良い仕組みを導入しても十分に活用できません。


違い4 記録、検証、将来利用のしやすさの違い

補正情報フォーマットを選ぶ四つ目の観点は、記録、検証、将来利用のしやすさです。GNSSの現場では、その場で位置が取れれば終わりではありません。後から成果を確認する、発注者や社内に説明する、別の図面や点群と重ねる、施工後の維持管理に使う、トラブル時に原因を調べるといった場面があります。補正情報や観測データをどのように残せるかは、成果の信頼性に大きく関わります。


リアルタイム測位では、現場画面に表示された座標や測位状態を見て作業を進めることが多くなります。しかし、後から「その座標はどの補正情報を使って得られたのか」「固定解だったのか」「補正が途切れていなかったのか」「どの基準を使ったのか」を確認できなければ、成果の説明が弱くなります。補正情報フォーマットの選定では、リアルタイムの使いやすさだけでなく、測位ログや観測データ、補正受信状態をどこまで記録できるかを確認することが重要です。


後処理解析を行う可能性がある場合は、観測データを保存できる形式との関係も見ておく必要があります。リアルタイムでは十分に見えた結果でも、通信途切れ、衛星配置、マルチパス、アンテナ設置条件などによって、後から確認したい場面が出ることがあります。この時、観測データが標準的に扱いやすい形式で残っていれば、別の解析環境や社内レビューで検証しやすくなります。反対に、特定の環境でしか読めない形でしか残っていないと、将来の確認が難しくなります。


記録のしやすさは、トラブル対応にも関係します。現場で座標がずれた、固定解が続かなかった、ある地点だけ精度が悪かった、別の日に測ると結果が違ったという場合、原因を切り分けるには記録が必要です。補正情報の受信状態、測位解の変化、衛星数、使用した基準局、端末の通信状態、作業時刻、アンテナ高、測点名などが残っていれば、単なる感覚ではなく事実に基づいて確認できます。補正情報フォーマットそのものに加えて、周辺ログを残せる運用にしておくことが大切です。


将来利用のしやすさという点では、データの標準性も重要です。GNSSの成果は、施工中だけでなく、維持管理、補修計画、災害時確認、出来形履歴、点群比較、写真台帳、図面更新などに使われることがあります。現場で取得した座標が、将来の別システムでも解釈しやすい形で残っていれば、データの価値は長く続きます。補正情報や観測データの形式が閉じた環境に依存しすぎると、将来の再利用時に変換や確認の手間が増えます。


ただし、記録を重視しすぎて現場操作が複雑になりすぎるのも避けたいところです。作業者が毎回多くの設定を確認し、複数のログを手動で保存し、ファイル名を細かく管理しなければならない運用では、ミスが増えます。現場で継続できる記録方法にするには、補正情報の選定と同時に、記録項目を絞り、作業手順に組み込み、後から検索しやすい形で保存することが必要です。


記録と検証を考える時は、測位結果だけを残すのではなく、測位結果が得られた条件も残すという意識が重要です。同じ座標値でも、固定解で取得したのか、補正が不安定な状態で取得したのかでは信頼性が違います。同じ現場でも、基準局の設定、補正配信、座標系、アンテナ高、測定時刻が違えば、結果の意味は変わります。補正情報フォーマットを選ぶ段階で、これらの情報が記録と結び付けやすいかを確認しておくと、後工程での説明がしやすくなります。


また、社内でGNSSを標準運用する場合は、補正情報フォーマットの選定理由を文書化しておくことが望まれます。なぜその形式を使うのか、どの受信機で確認済みなのか、どの測位方式を前提にしているのか、どのような現場では別の設定を検討するのかを整理しておくことで、担当者が変わっても運用が継続しやすくなります。補正情報の設定を担当者任せにすると、同じ会社内でも現場ごとに判断が異なり、成果の比較が難しくなることがあります。


補正情報フォーマットを選ぶ時に起きやすい失敗

補正情報フォーマットの選定で起きやすい失敗の一つは、受信機が対応しているという理由だけで選んでしまうことです。受信機が形式を読めることと、現場の目的に合った精度と安定性が得られることは同じではありません。接続はできても、必要な衛星系や周波数が十分に使えていない場合、条件の良い場所では気づきにくく、条件が悪くなった時に問題が出ます。


次に多いのは、過去の現場で使えた設定をそのまま別の現場へ持ち込むことです。GNSSは現場環境の影響を強く受けます。空の開け方、周囲の建物、樹木、法面、重機、通信環境、作業範囲、移動距離が変われば、同じ補正情報でも結果が変わります。過去の実績は参考になりますが、新しい現場では最低限の現地確認が必要です。


また、補正情報の受信状態と測位結果を混同する失敗もあります。補正情報を受信している表示があっても、それだけで高精度な測位ができているとは限りません。固定解かどうか、測位解が安定しているか、座標が急に飛んでいないか、同じ点を再測して再現性があるかを確認する必要があります。補正情報は高精度測位の条件の一つですが、アンテナ設置、衛星配置、マルチパス、座標系、測定手順も同じように重要です。


通信量を軽視することも、現場では大きな問題になります。高機能な補正情報を選んでも、通信が途切れやすい場所では運用が安定しません。特に、測位しながら写真や点群をクラウドに送るような運用では、通信全体の負荷を見なければなりません。補正情報だけは軽いと思っていても、端末全体の通信が詰まると、測位にも影響することがあります。


さらに、記録を残さないまま運用することも避けたい失敗です。現場では作業が進めば進むほど、後から戻って同じ条件を再現することが難しくなります。測位結果に疑問が出た時、補正情報の種類、測位状態、使用した基準、作業時刻、アンテナ高などが残っていなければ、原因を特定できません。GNSSの成果を施工記録や検査資料に使う場合は、取得時の条件も含めて残す運用が必要です。


補正情報フォーマットの違いは、専門的な設定項目に見えるため、現場担当者が「機器に詳しい人だけが判断するもの」と捉えてしまうことがあります。しかし、実際には施工管理者、測量担当者、品質管理担当者、発注者対応担当者にも関係します。どの形式を選ぶかによって、現場での測位の安定性、成果整理のしやすさ、説明資料の作りやすさが変わるからです。


失敗を防ぐには、補正情報フォーマットを単体で評価するのではなく、現場作業の流れの中で評価することが大切です。測る場所、測る目的、使う機器、通信環境、成果の提出先、後から確認する可能性まで含めて考えることで、形式選定の判断は実務に近づきます。GNSSは高度な技術ですが、現場で使う以上、選定基準は現場の言葉で説明できる必要があります。


現場で迷わないための選定手順

補正情報フォーマットを選ぶ時は、最初に用途を決めることから始めます。基準点測量に近い精度が必要なのか、施工中の位置確認なのか、出来形の確認なのか、写真や点群に位置を付けるのかによって、必要な補正情報は変わります。目的が曖昧なまま形式だけを比較すると、必要以上に複雑な設定を選んだり、反対に精度が不足する設定を選んだりしやすくなります。


次に、現場で使う受信機と操作環境を確認します。受信機が対応する形式、対応する衛星系、複数周波数への対応、操作端末やアプリの入力方法、クラウド連携の有無を見ます。この段階では、名称だけで判断せず、実際に補正情報を入れて測位状態を確認することが重要です。設定画面で選べることと、現場で安定して使えることは別です。


その次に、通信環境を確認します。現場の作業範囲を実際に移動しながら、補正情報が途切れないか、遅延が大きくないか、固定解が維持されるかを見ます。通信試験は条件の良い場所だけでなく、最も悪い場所で行うことが重要です。作業開始地点では安定していても、法面下、構造物の近く、樹木の下、資材置き場の裏側などでは状態が変わることがあります。


そのうえで、記録と検証の方法を決めます。測位結果の座標だけでなく、測位状態、補正の受信状況、作業時刻、測点名、アンテナ高、座標系などをどのように残すかを決めます。後から検証する可能性がある現場では、観測データやログを残せる運用にしておくと安心です。記録方法は複雑にしすぎず、現場担当者が継続できる形にすることが大切です。


最後に、社内で標準化します。どの用途ではどの形式を基本とするのか、例外的に別の形式を使うのはどのような場合か、確認試験はどの手順で行うのかを整理します。標準化しておくことで、現場ごとに設定がばらつくことを防げます。特に複数人でGNSSを使う場合、設定が統一されていないと、同じ現場内でも成果の比較が難しくなります。


選定手順で大切なのは、最初から一つの形式に決め打ちしないことです。現場条件、機器構成、通信環境、成果物の使い方を確認しながら、必要な形式を選ぶ姿勢が必要です。GNSSは現場に入ってから条件が変わることも多いため、標準設定を持ちながらも、例外時の判断基準を用意しておくと運用が安定します。


また、選定後も定期的な見直しが必要です。受信機やアプリの更新、補正配信の設定変更、通信環境の変化、現場で扱うデータの拡大により、以前は最適だった形式が合わなくなることがあります。新しい機器を導入した時や、GNSSの用途を広げる時は、補正情報フォーマットも合わせて見直すべきです。


現場で迷わないためには、専門用語だけで判断せず、実際の確認項目に落とし込むことが効果的です。固定解への入りやすさ、再測時の再現性、通信が途切れた後の復帰、複数機器での互換性、ログの残しやすさ、後工程での扱いやすさを見れば、形式の違いは現場感覚で判断しやすくなります。補正情報フォーマットは難しく見えますが、判断軸を分ければ実務に落とし込めます。


GNSS活用を現場全体の記録につなげる考え方

GNSSの補正情報フォーマットを選ぶ目的は、単に受信機を高精度に動かすことだけではありません。現場で得た位置情報を、施工記録、写真、点群、出来形確認、維持管理、報告資料へつなげることが本来の価値です。補正情報の選定が適切であれば、測位結果の信頼性が高まり、後工程でデータを活用しやすくなります。


これからの現場では、GNSSで取得した座標を単独で扱うのではなく、写真や三次元データ、図面、帳票と結び付ける場面が増えていきます。その時、補正情報フォーマットの違いを理解していないと、測位結果の精度や再現性を十分に説明できないことがあります。特に、複数日の作業、複数人の作業、複数機器の作業では、どの補正情報を使い、どの状態で記録したかが重要になります。


補正情報フォーマットを選ぶ時の4つの違いを振り返ると、まず測位方式と必要精度の違いがあります。次に、受信機や現場システムとの互換性の違いがあります。さらに、通信量と運用安定性の違いがあります。そして、記録、検証、将来利用のしやすさの違いがあります。この4つを分けて確認すれば、単に有名な形式だから使う、以前から使っているから使うという判断から抜け出せます。


実務で重要なのは、現場に合った十分な精度を、無理なく、説明できる形で維持することです。最も高機能な形式を選ぶことが常に正解ではありません。反対に、簡単に接続できる形式だけで済ませることも、成果の信頼性を損なう場合があります。現場条件、作業目的、受信機構成、通信環境、記録方法を合わせて考えることで、補正情報フォーマットは実務に合った選択になります。


GNSSを日常的に使う現場では、補正情報の選定を一部の詳しい担当者だけに任せるのではなく、現場全体で理解できる基準にしておくことが大切です。作業者が測位状態を確認でき、管理者が成果の根拠を説明でき、後工程の担当者がデータを再利用できる状態にしておけば、GNSSは単なる測位機器ではなく、現場記録の基盤になります。


高精度な位置情報を、写真や点群、施工記録と結び付けて残したい場合は、取得から整理、共有までの流れを一体で考える必要があります。Phoneを活用した現場記録では、GNSSによる位置情報と現場写真、三次元データ、クラウド上の整理を組み合わせやすくなり、補正情報を使った測位結果を日々の施工管理に生かしやすくなります。GNSSの補正情報フォーマットを正しく選ぶことは、現場の測位精度を高めるだけでなく、後から見返せる確かな記録を残すための第一歩です。


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