top of page

ドローン測量のDSMとDTMの違い|用途別に見る4基準

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均4分15秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

DSMとDTMの基本的な違い

基準1:見たい対象が地表面か表面形状か

基準2:土量計算や造成計画で使う場合

基準3:構造物・植生・障害物を扱う場合

基準4:成果物の説明責任と後工程への渡し方

ドローン測量でDSMとDTMを使い分ける実務の流れ

DSMとDTMの違いを理解して測量成果を活用する


DSMとDTMの基本的な違い

ドローン測量でよく使われるDSMとDTMは、どちらも高さ情報を持つ地形データですが、表している対象が異なります。DSMはDigital Surface Modelの略で、日本語では数値表層モデルと呼ばれます。地面だけでなく、建物、樹木、資材、車両、仮設物など、上空から見えている表面の高さを含むデータです。ドローンで撮影した写真や点群からそのまま作成されることが多く、現場の表面形状を把握するのに向いています。


一方、DTMはDigital Terrain Modelの略で、日本語では数値地形モデルと呼ばれます。建物や樹木など地表面の上にある物体をできるだけ取り除き、地盤そのものの高さを表すことを目的としたデータです。造成前後の地盤比較、土量計算、排水勾配の検討、道路や造成計画の基礎データなどでは、DTMの考え方が重要になります。


両者の違いを簡単に言えば、DSMは「見えている表面」、DTMは「本来の地面」です。ドローン測量では、撮影された画像から生成される点群や標高データは、最初から完全なDTMになるわけではありません。多くの場合、まず表面形状を反映したDSMに近いデータが作られ、そこから不要な点を分類・除去し、地表面を推定してDTMとして扱います。


この違いを理解しないまま成果物を使うと、土量計算で樹木や仮設資材の高さを含めてしまったり、現況確認で必要な構造物を取り除いてしまったりすることがあります。つまり、DSMとDTMはどちらが優れているかではなく、目的に応じて使い分けるものです。


基準1:見たい対象が地表面か表面形状か

DSMとDTMを選ぶ最初の基準は、知りたい対象が何かです。現場にあるものを含めて、現在の状態を立体的に見たい場合はDSMが向いています。たとえば、建物の屋根、法面上の植生、資材置き場、盛土の表面、仮設道路の形状などを含めて確認したい場合、DSMは現場の見た目に近い高さ情報を持っています。


ドローン測量の強みは、広い範囲を短時間で撮影し、現場全体の状態を俯瞰できることです。このときDSMを使えば、どこに高いものがあるか、どの範囲に障害物があるか、どの部分が周囲より盛り上がっているかを確認しやすくなります。施工中の現場では、地形だけでなく、仮設物や重機動線、資材配置も管理上の重要な情報になります。そのため、現況把握や進捗確認ではDSMが役立ちます。


一方で、設計地盤や完成形状との比較、切土・盛土の数量算出、排水計画の確認などでは、地表面そのものの高さを知る必要があります。この場合、樹木や建物、仮設物の高さが含まれているDSMをそのまま使うと、実際の地盤より高く評価されることがあります。特に草木が多い場所では、上空から見えている高さが植生の上面になり、地盤面とは大きく異なることがあります。


DTMは、こうした地表面以外の要素を取り除いたうえで、地盤の形を把握するために使います。ただし、DTMは自動処理だけで完全に作れるとは限りません。点群分類や不要点除去を行っても、植生が密な場所や地面が見えにくい場所では、地盤面の推定に限界があります。そのため、DTMを使う場合は、作成方法や除去した対象、補間した範囲を確認することが大切です。


実務では、現場の「今の姿」を見るならDSM、地盤の「基準となる高さ」を扱うならDTMと考えると判断しやすくなります。たとえば、工事進捗を説明する資料ではDSMのほうが直感的に伝わりやすく、数量算出や設計照合ではDTMのほうが適しています。同じドローン測量成果でも、目的によって見るべきデータが変わる点を押さえておく必要があります。


基準2:土量計算や造成計画で使う場合

土量計算や造成計画で使う場合は、DTMを基本に考えるのが安全です。切土や盛土の数量は、地盤面同士の差分から求めることが多いため、建物、樹木、仮置き資材、車両などが含まれたDSMをそのまま使うと、数量に余計な高さが混ざる可能性があります。


たとえば、造成予定地に草木が残っている状態でドローン測量を行い、そのDSMを現況地盤として扱うと、植生の上面を地盤として計算してしまうことがあります。その後、伐採や除草を行った地盤と比較すると、実際には掘削していないのに地盤が下がったように見える場合があります。これは測量精度の問題というより、DSMとDTMの使い分けの問題です。


土量計算では、計算に使う面が何を表しているかを明確にする必要があります。現況地盤面なのか、施工途中の盛土表面なのか、完成予定面なのか、設計面なのかによって、扱うデータの意味が変わります。DTMを使う場合でも、どの点を地表面として採用したか、どの部分を補間したか、密な植生の下をどのように扱ったかを確認しなければなりません。


また、施工途中の盛土や残土山の体積を測る場合は、必ずしもDTMだけが正解ではありません。盛土や残土山の表面そのものを測りたい場合、DSMとして得られる表面形状が有効です。ただし、その対象物の上にシート、重機、資材などがあると、体積に影響することがあります。そのため、計測前に対象範囲を整理し、不要な物体が入らない状態を作ることが重要です。


造成計画では、現況地盤をDTMとして整理し、設計面と比較する流れが一般的です。現況地盤と設計面の差を確認することで、どこで切土が必要か、どこで盛土が必要かを把握できます。さらに、施工段階ごとにドローン測量を行えば、進捗に応じた地盤変化も確認できます。このとき、毎回同じルールでデータを処理しなければ、時系列比較の信頼性が下がります。


土量計算で大切なのは、DSMかDTMかという名称だけではありません。どの高さを使っているか、どの物体を含めているか、どの範囲を除外しているかを説明できることです。特に発注者や協力会社に数量を説明する場面では、計算結果だけでなく、使用した地形データの性質を共有する必要があります。


基準3:構造物・植生・障害物を扱う場合

構造物や植生、障害物を扱う場合は、DSMとDTMの使い分けがより重要になります。DSMは表面に存在するものを含むため、建物、橋梁、擁壁、電柱、樹木、仮設物などの高さを把握しやすいデータです。上空から見たときに何がどの高さで存在しているかを確認する用途では、DSMが適しています。


たとえば、工事現場で仮設ヤードの安全確認を行う場合、地盤の高さだけでなく、資材の積み上がりや仮設物の配置も重要です。周囲より高く積まれた資材、重機の可動範囲に近い障害物、搬入経路をふさぐ物体などは、DSMや点群を確認することで把握しやすくなります。こうした用途では、むしろ物体を取り除いたDTMだけでは情報が不足します。


一方、排水計画や法面勾配の確認では、植生や一時的な障害物が邪魔になることがあります。草木の上面を見て水の流れを判断すると、実際の地盤勾配を誤って読む可能性があります。とくに排水の検討では、数センチから数十センチの高さ差が判断に影響することがあります。そのため、地盤面を評価する場面ではDTMを用意し、必要に応じて現地確認と組み合わせることが大切です。


植生がある現場では、ドローン測量だけで地面を完全に取得できない場合があります。写真測量では、上から見える表面をもとに形状を復元するため、草木の下に隠れた地盤を直接測ることは難しくなります。点群分類で地面らしい点を抽出できる場合もありますが、密集した植生や背の高い草がある範囲では、地表面の推定に注意が必要です。


構造物の管理では、DSMが役立つ場面が多くあります。既存建物の高さ、造成地周辺の段差、擁壁や法肩の位置、仮設足場の外形など、表面に現れている形状を把握するにはDSMが向いています。ただし、構造物の寸法確認や出来形管理に使う場合は、要求精度や計測条件を満たしているかを別途確認する必要があります。DSMは便利な可視化データですが、すべての寸法管理にそのまま使えるわけではありません。


障害物を含めて管理したいのか、障害物を取り除いて地盤を管理したいのか。この判断がDSMとDTMの分かれ目です。現場では両方が必要になることも珍しくありません。たとえば、まずDSMで現況全体を確認し、不要な物体や植生の影響を把握したうえで、土量計算用にDTMを作るという流れです。ひとつの成果物だけで全用途を満たそうとせず、用途別にデータを分けることが実務上の失敗防止につながります。


基準4:成果物の説明責任と後工程への渡し方

DSMとDTMの違いは、データを作る担当者だけでなく、成果物を受け取る側にも伝える必要があります。設計担当、施工管理担当、発注者、協力会社、測量担当の間で認識がずれていると、同じデータを見ていても判断が食い違うことがあります。


たとえば、ある担当者はDSMを現況地盤として見ている一方で、別の担当者は建物や樹木を含む表面モデルとして見ている場合があります。この状態で土量計算や工程判断を行うと、後から「この高さは何を表しているのか」という確認が必要になります。成果物名にDSMやDTMと書くだけでなく、データの意味を説明できる状態にしておくことが重要です。


後工程に渡す場合は、作成条件を明確にします。撮影日、対象範囲、使用した基準点、座標系、標高基準、点群分類の有無、除去した対象、補間した範囲、精度確認の方法などを整理しておくと、受け取る側が判断しやすくなります。特にDTMは、地物を取り除いて作るため、処理の内容が成果に影響します。どのような考え方で地表面を作成したかを残しておくことが大切です。


DSMを渡す場合も、表面モデルであることを明記する必要があります。建物や植生、仮設物が含まれるため、地盤面として使うには注意が必要であることを説明します。逆に、現場状況の可視化や障害物確認、進捗説明に使う場合は、DSMであることが利点になります。どの用途に適しているかを添えることで、データの誤用を防げます。


また、同じ現場で複数回ドローン測量を行う場合は、時系列で比較できるように処理ルールをそろえることが必要です。ある時点ではDSM、別の時点ではDTMを使って差分を取ると、地表面の変化なのか、構造物や植生の有無による違いなのか判断しにくくなります。施工前、施工中、施工後の比較では、何を比較しているのかを明確にすることが重要です。


成果物の説明責任を高めるには、見た目のきれいな3Dデータだけでなく、判断に必要な補足情報をセットで渡すことが欠かせません。ドローン測量の成果は視覚的に分かりやすい反面、データの前提が共有されないまま使われることがあります。DSMとDTMの違いを説明し、用途ごとの注意点を添えることで、後工程での手戻りを減らすことができます。


ドローン測量でDSMとDTMを使い分ける実務の流れ

実務でDSMとDTMを使い分けるには、測量前の目的整理が出発点になります。まず、今回のドローン測量で何を判断したいのかを明確にします。現場全体の進捗を把握したいのか、土量を算出したいのか、地盤高を設計と照合したいのか、障害物や仮設物の配置を確認したいのかによって、必要な成果物は変わります。


次に、現場条件を確認します。植生が多い場所、建物や仮設物が密集している場所、重機や車両が頻繁に動く場所では、DSMとDTMの差が大きくなりやすいです。逆に、舗装面や造成済みの裸地のように地表面が見えやすい場所では、DSMとDTMの差が小さい場合もあります。ただし、差が小さいからといって同じものとして扱うのではなく、用途に応じた確認を行うべきです。


撮影時には、対象物の状態を整えることも重要です。土量計算に使うなら、可能な範囲で不要な資材や車両を移動し、対象範囲が分かりやすい状態にします。進捗確認が目的であれば、現場の状態をそのまま記録することに価値があります。目的に応じて、測る前に現場をどう整えるかを決めることが、後のデータ品質に影響します。


データ作成後は、まずDSMとして表面形状を確認します。極端なノイズ、欠測、影の影響、撮影不足による歪み、対象範囲外の不要物などを確認し、必要に応じて修正します。そのうえで、地盤面が必要な場合は点群分類や不要点除去を行い、DTMとして利用できる状態に整えます。この段階で、地面として採用した点が適切か、補間が過度になっていないかを確認します。


成果物を使う前には、現地の代表点や既知点と照合することも有効です。ドローン測量のデータは広範囲を把握するのに便利ですが、基準点や検証点による確認なしに重要な判断へ使うと、座標や高さのずれに気づきにくくなります。DSMでもDTMでも、座標系や標高基準、検証方法を確認してから使うことが大切です。


最後に、用途別に成果物を分けて管理します。現況説明用のDSM、土量計算用のDTM、設計面との比較データ、点群データ、オルソ画像などを混同しないように名称や管理ルールを整えます。ファイル名や資料内の説明に、作成日、対象範囲、用途、処理内容を入れておくと、後から見返したときにも判断しやすくなります。


DSMとDTMの違いを理解して測量成果を活用する

ドローン測量のDSMとDTMは、どちらも高さを扱うデータですが、実務での役割は異なります。DSMは現場の表面形状を把握するためのデータであり、建物、樹木、資材、仮設物などを含めた現況確認に向いています。DTMは地盤面を扱うためのデータであり、土量計算、造成計画、排水検討、設計照合などに向いています。


重要なのは、DSMとDTMを言葉だけで区別することではなく、データが何を表しているかを理解して使うことです。ドローン測量で得られる成果は、見た目が分かりやすいため、そのまま正しい地盤データとして扱ってしまう危険があります。特に土量計算や設計照合では、表面にある物体が含まれていないか、地表面が適切に抽出されているかを確認する必要があります。


用途別に見る4基準としては、まず見たい対象が地表面か表面形状かを確認します。次に、土量計算や造成計画に使う場合は、地盤面として扱えるデータかを判断します。さらに、構造物や植生、障害物を含めて管理したいのか、除去して地盤を見たいのかを整理します。最後に、成果物を後工程へ渡す際に、作成条件や用途を説明できる状態にしておくことが重要です。


ドローン測量は、現場を効率よく可視化し、広い範囲の形状を把握できる有効な手段です。しかし、DSMとDTMの違いを理解せずに使うと、便利なデータが誤った判断につながることもあります。測量前に目的を整理し、撮影条件と処理内容をそろえ、成果物の意味を明確にすることで、ドローン測量の価値をより高めることができます。


現場でDSMとDTMを使い分ける際は、データ作成だけでなく、計測から共有までの流れを一体で考えることが大切です。地形、構造物、写真、位置情報を現場で扱いやすくする仕組みを整えれば、測量成果は確認用の資料にとどまらず、施工管理や出来形確認、関係者との合意形成にも活用しやすくなります。現場で取得した位置情報をすぐに記録し、共有し、次の判断につなげたい場合は、Phoneのような現場向けの計測環境を組み合わせることで、ドローン測量後の確認作業も進めやすくなります。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page