地すべり対策工における排水孔は、地下水や湧水を計画どおりに抜き、斜面内の水圧上昇を抑えるために重要な役割を持ちます。ところが、排水孔は施工後に地中へ隠れる部分が多く、完成後の外観だけでは、孔の位置、向き、勾配、延長、接続状況を確認しにくい工種です。そのため、出来形管理では、施工中の記録をどれだけ正確に残せるかが、後の検査説明や維持管理に大きく関わります。本記事では、出来形管理で地すべり対策工の排水孔ズレを防ぐために、実務担当者が確認しておきたい5項目を整理し ます。
目次
• 地すべり対策工の排水孔で出来形管理が重要になる理由
• 排水孔ズレを防ぐために起点位置を明確にする
• 方位と角度を施工前後でそろえて記録する
• 勾配と延長を途中経過で確認する
• 孔口まわりと排水先の納まりを記録する
• 写真と測定値を後から追える形で整理する
• まとめ
地すべり対策工の排水孔で出来形管理が重要になる理由
地すべり対策工の排水孔は、斜面内部の水を外へ逃がすための施設です。地すべり地では、降雨、融雪、地下水位の変動、地層の透水性の違いなどによって、斜面内部に水がたまりやすくなることがあります。地下水が抜けにくい状態になると、すべり面付近の状態が不安定になり、地すべりの再活動や変位の増加につながるおそれがあります。排水孔は、そのような水の影響を抑えるために設けられるため、設計で示された位置や方向から大きく外れると、期待した排水効果を十分に得られない可能性があります。
出来形管理の観点で難しいのは、排水孔が完成後に見えにくい部分を多く含むことです。孔口は確認できても、孔の内部がどの方向へ進んでいるか、どの深さに到達しているか、計画した排水対象の範囲に届いているかは、完成後の外観だけでは判断しにくくなります。だからこそ、施工中に起点、方位、角度、延長、勾配、孔口の高さ、排水先との関係を記録しておく必要があります。これらの情報が不足すると、出来形管理資料をまとめる段階で、設計図面との対応関係を説明しづらくなります。
排水孔のズレには、いくつかの種類があります。平面的な位置のズレ、孔を向ける方位のズレ、上下方向の角度のズレ、延長不足、孔口高さのズレ、排水先との接続ズレなどです。これらは一つずつ見ると小さな差に見えることがありますが、組み合わさると排水対象となる地盤に届かない、既設構造物や別孔と干渉する、排水が滞留する、維持管理時に所在が追えないといった問題につながります。特に地すべり対策工では、現場の地形が複雑で、仮設足場や施工ヤードの制約もあるため、図面どおりの向きを現地で再現するには丁寧な確認が欠かせません。
出来形管理は、完成後に帳票を整える作業だけではありません。施工前に何を測り、施工中にどのタイミングで確認し、施工後にどのような資料で説明するかをあらかじめ決めておくことが重要です。排水孔は、施工が進むほど内部の状態を直接確認しにくくなるため、後から測ればよいという考え方では記録不足になりやすい工種です。施工前の位置出し、削孔開始時の方向確認、削孔中の延長管理、削孔完了時の通水や孔口処理、完成時の全体整理まで、一連の流れを出来形管理の対象として捉えることが大切です。
また、地すべり対策工では、設計図面と現場条件が完全に一致しないこともあります。斜面の崩落跡、湧水位置、既設水路、樹木、岩盤の露出、仮設道路の位置などにより、孔口位置や施工姿勢の調整が必要になる場合があります。このとき、現場判断で変更した内容を記録せずに進めると、後になって「なぜこの位置に施工したのか」「設計位置との差はどの程度か」「機能上問題がないと判断した根拠は何か」を説明できなくなります。出来形管理では、単に測定値を残すだけでなく、変更が生じた場合の経緯や確認結果も整理しておく必要があります。
排水孔ズレを防ぐには、施工精度そのものを高めることと、ズレを早い段階で発見できる管理体制を作ることの両方が必要です。起点位置を誤ったまま施工すると、方位や延長を正しく管理しても、最終的な到達位置はずれてしまいます。方位がずれていれば、計画した排水範囲を外れる可能性があります。勾配や孔口から排水先までの流れが不適切であれば、孔内や孔口付近に水が残り、排水機能が低下するおそれがあります。このように、排水孔の出来形管理では、一つの測定項目だけを見ても十分ではありません。位置、方向、高さ、長さ、排水先を一体で確認することが重要です。
排水孔ズレを防ぐために起点位置を明確にする
排水孔の出来形管理で最初に確認すべき項目は、孔口の起点位置です。孔口位置がずれると、その後にどれだけ方位や角度を合わせても、計画した地下水の排水範囲に対してずれた施工になります。起点位置は、排水孔のすべての記録の基準になるため、施工前の位置出しと施工後の出来形確認の両方で、同じ基準から説明できるようにしておく必要があります。
起点位置を管理するときは、図面上の測点や基準点との関係を明確にします。地すべり対策工の現場では、斜面上に複数の排水孔が配置されることがあります。孔番号だけで管理していると、現場写真を見返したときに、どの孔を撮影したのか分かりにくくなることがあります。そのため、孔番号、測点、左右の位置、孔口高さ、近接する構造物や目印との関係を合わせて記録しておくと、後から確認しやすくなります。特に同じ斜面に複数段の排水孔を設ける場合は、上段と下段、右側と左側、施工順序を混同しないように整理することが大切です。
孔口位置の記録では、平面位置だけでなく高さも重要です。排水孔は水を自然に流すことを前提にする場合が多く、孔口高さが計画と異なると、排水先への接続や水路への取り込みに影響することがあります。孔口が高すぎると集水位置との関係が変わり、孔口が低すぎると排水先との勾配が不足することがあります。完成後の見た目では小さな差に見えても、排水施設としての機能に関わるため、出来形管理では高さの記録を軽視しないことが大切です。
起点位置のズレを防ぐには、施工前の墨出しや位置出しの段階で、図面と現地を照合します。斜面では平面図だけでは位置関係を把握しにくいため、横断図、縦断図、現地の地形、既設構造物、排水先を合わせて確認します。現地で孔口位置を示したら、その状態を写真に残しておきます。写真には、孔番号、測点、施工日、確認者が分かる情報を写し込み、周辺の目印も入れると、後から位置関係を説明しやすくなります。近接写真だけでは所在が分からなくなるため、遠景、中景、近景を組み合わせて記録することが有効です。
また、孔口位置は仮設の影響を受けやすい項目です。足場、削孔機械の据付位置、作業員の通路、排水処理の仮設配管などにより、計画位置から少し移動したくなる 場面があります。現場で調整が必要な場合は、施工前に監督職員や関係者と確認し、変更理由と変更後の位置を記録します。出来形管理資料では、単に「現地合わせ」と書くだけでは説明が不足しやすいため、支障物の位置、調整量、排水機能への影響確認を残しておくことが望ましいです。
起点位置の管理で注意したいのは、測定値と写真が別々に残っているだけでは不十分な場合があることです。測定値には孔番号があり、写真にも孔番号があるように見えても、番号札の置き間違いや撮影順序の混同が起きると、資料としての信頼性が下がります。施工当日は、孔番号、位置出し結果、写真、測定メモをその場で照合し、記録漏れを防ぎます。特に複数孔を連続して施工する日は、孔ごとの記録が混ざりやすいため、施工単位ごとに確認を区切ることが大切です。
出来形管理では、完成後の孔口位置も確認します。施工中に機械の据付や孔口処理を行う過程で、孔口周辺の仕上がり位置が微妙に変わることがあります。削孔開始時の位置だけでなく、孔口管、保護材、集水ます、排水溝などの完成時位置も記録しておくと、出来形として説明しやすくなります。孔口の中心、孔口管の向き、周囲の仕上げ面との関係を確認し、設 計図面上の位置と対応させることで、排水孔ズレの有無を客観的に示せます。
方位と角度を施工前後でそろえて記録する
排水孔のズレを防ぐうえで、孔の方位と角度の管理は非常に重要です。孔口位置が正しくても、向きがずれていれば、孔の先端は計画した位置から離れてしまいます。排水孔は地中を長く進むため、孔口でのわずかな角度差が、先端付近では大きなズレになることがあります。そのため、出来形管理では、施工前に設定した方位と角度を、削孔開始時、施工中、完了時に確認できる形で残しておく必要があります。
方位の管理では、まず基準となる方向を明確にします。図面上では、排水孔の方向が平面図や断面図に示されていることがありますが、現地でその方向を再現するには、基準線や目標点が必要です。測点方向、構造物の中心線、法面の方向、座標上の方向など、どの基準から方位を取ったのかを記録しておくと、後で確認しやすくなります。単に「図面どおり」と書くだけでは、現地でどのように合わせたのかが不明確になりやすいため、基準とした点や線を具体的に残すこ とが大切です。
上下方向の角度、つまり孔の傾きも重要です。排水孔は水を抜く施設であるため、勾配の考え方と密接に関係します。角度が計画と異なったり、途中で曲がるような施工になったりすると、排水対象の範囲に届きにくくなったり、孔内の水の流れに影響したりする可能性があります。出来形管理では、削孔機械の据付角度、孔口部での角度、削孔後の確認結果を同じ単位と同じ基準で記録します。度数、勾配、比率など、表し方が混在すると確認ミスが起きやすいため、現場内で統一しておくことが重要です。
方位と角度の記録では、施工機械の据付状態も写真で残しておきます。孔口だけを撮影しても、実際にどの向きで施工したかが分からないことがあります。削孔機械、ガイド、孔口、基準点が分かるように撮影しておくと、施工時の方向を説明しやすくなります。斜面の作業では、撮影角度によって見かけの傾きが変わるため、写真だけで判断するのではなく、測定値と組み合わせて整理することが大切です。写真は補足資料として有効ですが、数値記録がなければ出来形としての根拠が弱くなります。
施工前後で記録の取り方が変わることにも注意が必要です。施工前は図面を基準に方位や角度を決めていても、施工後の記録では現場の見た目だけを頼りにしてしまうことがあります。これでは、施工前に計画した方向と完成後の確認結果を比較できません。施工前に設定した基準、施工中に確認した基準、完成後に測定した基準をそろえることで、ズレの有無を説明しやすくなります。特に複数の担当者が関わる現場では、記録様式に基準の記入欄を設けるなど、確認方法を統一しておくと混乱を防げます。
地すべり対策工の現場では、地質の硬軟、転石、地下水、既設構造物などの影響で、計画どおりに削孔しにくいことがあります。施工中に抵抗が変化したり、孔が逃げたりする可能性もあります。そのため、方位と角度は施工開始時だけでなく、削孔中の状況も記録しておくと安心です。異常な振動、削孔抵抗の急変、湧水量の変化、排出される土砂や岩片の状態などは、孔の進み方を推定する手がかりになることがあります。これらの記録は、出来形管理だけでなく、後の維持管理や原因説明にも役立ちます。
また、方位や角度の管理では、 設計図面との整合だけでなく、隣接する排水孔との関係も確認します。排水孔が複数配置されている場合、各孔が適切な間隔で排水範囲を分担することが重要です。一つの孔が隣の孔側へ寄りすぎると、排水範囲に偏りが生じる可能性があります。出来形管理では、各孔を単独で確認するだけでなく、全体配置として方向がそろっているか、計画範囲をカバーしているかを確認します。完成後の資料では、孔ごとの方位と角度を並べて整理し、全体としての施工状況が分かるようにすると、検査時の説明がスムーズになります。
勾配と延長を途中経過で確認する
排水孔の出来形管理では、勾配と延長の確認が欠かせません。孔口位置と方位が合っていても、延長が不足していれば、計画した排水対象に届かない可能性があります。また、勾配や排水経路が不適切であれば、孔内や孔口付近の水の流れに影響することがあります。排水孔は完成後に内部を直接確認しにくいため、施工途中の記録を丁寧に残すことが、出来形管理の信頼性を高めるポイントになります。
延長管理では、設計延長と実施工延長を明確に区別して記録します。設計図面に示された延長に対して、実際にどこまで削孔したのか、途中で支障があったのか、延長変更があったのかを記録します。施工中のロッド本数や削孔深度の管理、開始時と終了時の確認、孔ごとの施工時間などを残しておくと、完成後に延長の根拠を説明しやすくなります。特に複数孔を連続して施工する場合、ロッド本数や延長記録の取り違えが起きやすいため、孔番号ごとにその場で確認する習慣が重要です。
勾配の確認では、孔口高さと孔の傾き、排水先の高さを一体で見る必要があります。排水孔は水の流れを扱うため、孔そのものの角度だけでなく、孔口から排水溝や集水施設までの流下経路も含めて確認します。孔口から出た水が途中で滞留しないか、土砂で詰まりやすい納まりになっていないか、排水先に逆勾配が生じていないかを確認することが大切です。出来形管理では、削孔の出来形だけでなく、排水施設として機能する一連の納まりを記録対象として捉える必要があります。
途中経過の確認が重要なのは、完成時だけでは延長や勾配の根拠が不足しやすいからです。施工完了後に孔口を見ても、内部の延長を直接確認することは簡単ではありません。施工中にどのロッドを 何本使用したか、何時にどの深度まで進んだか、途中で湧水や土質変化があったかを残しておくことで、延長確認の根拠になります。また、施工途中で異常があった場合にも、どの深度で何が起きたのかを説明しやすくなります。
延長不足を防ぐには、施工前に設計延長と管理延長を確認しておきます。現場によっては、孔口の位置や施工角度を微調整した結果、必要な削孔延長が変わることがあります。起点位置や角度が変わったにもかかわらず、設計図面の延長だけをそのまま施工すると、計画した到達位置とずれる可能性があります。変更がある場合は、単純に延長だけを見るのではなく、到達すべき範囲との関係を確認し、必要に応じて関係者と協議した記録を残します。
勾配不足を防ぐには、孔内だけでなく孔口外の排水経路も確認します。孔から水が出ても、孔口付近で水が跳ね返ったり、法面に流れて洗掘を起こしたり、排水溝に入らず周辺地盤へ再浸透したりすると、排水施設としての効果が低下する場合があります。出来形管理では、孔口から排水先までの流れを写真と測定値で残し、施工後に水がどの方向へ流れるのかを説明できるようにします。通水確認や湧水確認を行った場合は、その日時、天候、確認状 況も記録しておくと、後から判断材料になります。
施工中の記録では、数値の丸め方や単位の統一にも注意が必要です。延長をメートルで記録するのか、ロッド本数で補助記録するのか、勾配を角度で表すのか、比率で表すのかを現場内で統一します。記録者によって表し方が違うと、整理段階で誤読が生じます。出来形管理資料では、設計値、実測値、差、確認日、確認者を対応させて記録すると、検査時に確認しやすくなります。特に排水孔は数が多くなることがあるため、孔ごとに同じ形式で整理することが大切です。
孔口まわりと排水先の納まりを記録する
排水孔の出来形管理では、孔そのものだけでなく、孔口まわりと排水先の納まりも重要です。排水孔が計画どおりに削孔されていても、孔口の処理が不十分であったり、排水先への接続がずれていたりすると、水が適切に流れないことがあります。地すべり対策工では、排水孔から出た水を安全に集め、斜面や構造物へ悪影響を与えないように導く必要があります。そのため、出来形管理では、孔口、保護部材、集水部、排水溝、排水管、 流末までの関係を確認します。
孔口まわりで確認したいのは、中心位置、高さ、向き、保護状況、周辺仕上げです。孔口管や保護材を設置する場合は、孔の中心と部材の中心が大きくずれていないか、抜けやすい状態になっていないか、周辺に土砂が入り込みやすい隙間がないかを見ます。孔口が斜面に対して不自然な向きになっていると、排水が周辺へ散乱したり、孔口付近の洗掘を招いたりすることがあります。完成写真では、孔口の近景だけでなく、排水先まで含めた中景も残しておくと、納まりを説明しやすくなります。
排水先の確認では、水がどこへ流れるのかを明確にします。排水孔から出た水が、集水ます、側溝、排水管、自然流下の水路などに適切に導かれているかを確認します。排水先との高さ関係が悪いと、孔口付近で水が滞留することがあります。また、排水が法面を直接流れる納まりになると、降雨時や湧水量が多い時に表面侵食を起こす可能性があります。出来形管理では、排水孔単体の出来形だけでなく、排水の行き先を含めて記録することで、施設としての完成状態を説明しやすくなります。
孔口まわりのズレは、施工後の小さな仕上げ作業で生じることがあります。削孔時には正しい位置だった孔口が、周辺整形や保護材の設置、埋戻し、法面仕上げの過程で見え方が変わる場合があります。孔口が土砂で隠れかけていたり、排水方向が変わっていたりすると、維持管理時に発見しにくくなります。そのため、出来形管理では、削孔完了時と仕上げ完了時の両方を記録することが望ましいです。施工中の正しい状態と完成時の状態を比較できれば、孔口処理によるズレや隠れを防ぎやすくなります。
排水先の納まりを記録する際は、周辺地形との関係も残します。地すべり対策工の現場では、斜面勾配、既設水路、道路、民地境界、植生、土留め構造物などが排水経路に影響します。孔口からの水が想定外の方向へ流れると、隣接地や既設施設に影響することがあります。現場写真では、排水孔と排水先だけを切り取るのではなく、周辺の地形や構造物も分かるように撮影すると、後から状況を説明しやすくなります。近景写真だけでは、排水経路の妥当性が伝わりにくいことがあります。
孔口まわりでは、維持管理のしやすさも考える必要があります。排水孔は施工して終わりではなく、将来的に詰まり、土砂堆積、流量変化、孔口損傷などを確認することがあります。完成時の出来形管理資料に孔口位置、番号、写真、排水先が整理されていれば、維持管理時に対象孔を探しやすくなります。逆に、孔口位置の記録が曖昧で写真も近景だけの場合、数年後に草木や堆積物で周辺状況が変わると、対象孔の特定に時間がかかります。出来形管理は、検査のためだけでなく、将来の維持管理のための基礎資料でもあります。
また、排水先の納まりは、他工種との取り合いで変わることがあります。法面工、集水施設、排水溝、構造物基礎、舗装、植生工などと同時に施工される場合、排水孔からの流れが他工種の仕上がりに影響を受けます。排水孔の施工担当だけで管理を完結させると、最終的な排水経路が確認不足になることがあります。出来形管理では、排水孔の孔口と排水先を他工種の出来形と合わせて確認し、全体として水が流れる状態になっているかを記録します。
写真と測定値を後から追える形で整理する
排水孔ズレを防ぐた めの出来形管理では、現場で測ることと同じくらい、後から追える形で整理することが重要です。測定値があっても、どの孔の数値なのか分からない、写真があっても撮影位置が分からない、記録表と図面の番号が一致しないという状態では、検査時や社内確認時に説明が難しくなります。排水孔は数が多く、似たような写真が並びやすいため、記録整理のルールを施工前に決めておくことが大切です。
写真管理では、孔番号、撮影日、施工段階、撮影方向を明確にします。排水孔の写真は、施工前の位置出し、削孔機械の据付、削孔中、削孔完了、孔口処理、排水先、完成全景など、複数の段階で必要になります。これらを後から整理しようとすると、写真の順番や見た目だけでは判別できないことがあります。撮影時点で番号札や黒板、周辺目印を入れ、遠景、中景、近景を組み合わせておくことで、写真の意味が分かりやすくなります。
測定値の整理では、設計値と実測値を孔ごとに対応させます。起点位置、孔口高さ、方位、角度、勾配、延長、排水先との関係などを、同じ孔番号で整理します。記録表、図面、写真、施工日報の番号が一致していれば、後から確認するときに迷いません。番号体系が途中で変わると混乱の 原因になります。たとえば、図面上の孔番号、現場で使う施工番号、写真フォルダ名が異なると、照合作業に時間がかかります。施工前に番号の対応表を作り、変更があった場合は必ず更新します。
出来形管理資料では、差の扱いも重要です。設計値と実測値に差がある場合、その差が許容範囲内か、機能上問題がないか、関係者と確認したかを記録します。排水孔では、単純な寸法差だけでなく、排水機能への影響を説明する場面があります。起点位置が少し変わっていても、方位や延長の調整により排水対象を確保している場合があります。反対に、孔口位置の差は小さくても、方位の差により先端位置が大きくずれる可能性もあります。出来形管理では、数値を並べるだけでなく、差が何を意味するのかを説明できるようにしておくことが大切です。
写真と測定値を結びつけるには、図面上での整理が有効です。平面図や断面図に孔番号、孔口位置、方向、延長、排水先を整理し、写真番号や測定記録と対応させます。図面に直接書き込みすぎると見にくくなるため、全体図では配置を示し、孔ごとの詳細資料で測定値と写真を示すなど、見やすい構成にします。検査時には、担当者が短時間で確認できる資料構成が求められ ます。どこに何の記録があるのかを追いやすくすることが、出来形管理の品質を高めます。
記録整理では、施工中の判断も残します。地すべり対策工では、現場条件により孔位置や排水先を微調整することがあります。その場合、変更前の計画、変更理由、変更後の位置、確認者、確認日を残しておくと、完成後の説明がスムーズです。変更の記録がないと、出来形だけを見たときに単なるズレなのか、承認された調整なのか分からなくなります。排水孔ズレを防ぐという意味では、実際の施工精度だけでなく、判断の記録を残すことも重要です。
データ整理では、ファイル名や保存場所のルールも大切です。写真、測定記録、日報、図面、協議記録が別々の場所に保存されていると、提出前の確認で漏れが出やすくなります。孔番号ごと、施工日ごと、施工段階ごとなど、現場に合った整理方法を決め、誰が見ても探せる状態にします。後から担当者が変わっても資料を追えるようにすることが、出来形管理の実務では重要です。特に災害復旧や斜面対策の現場では、短期間で多くの記録が発生することがあるため、整理方法を早い段階で統一しておく必要があります。
また、記録は提出用だけでなく、社内確認用としても活用できます。施工中に写真と測定値を整理しておけば、現場代理人、主任技術者、測量担当、施工担当が同じ情報を見ながら確認できます。これにより、排水孔のズレや記録漏れを早期に発見しやすくなります。完成後にまとめて確認するのではなく、施工の節目ごとに整理し、必要に応じて修正や追加記録を行うことが、出来形管理の精度を高める近道です。
まとめ
地すべり対策工の排水孔は、斜面内部の水を抜くための重要な施設です。しかし、施工後に孔の内部を直接確認しにくく、見た目だけでは出来形を説明しづらい工種でもあります。そのため、出来形管理では、孔口位置、方位、角度、勾配、延長、孔口まわり、排水先、写真、測定値を一体で整理することが大切です。排水孔ズレを防ぐには、施工前の位置出しから完成後の資料整理まで、各段階で確認すべき項目を明確にしておく必要があります。
特に重要なのは、起点位置を曖昧にしないことです。孔口位置は、排水孔全体の基準になります。起点がずれたまま施工すると、方位や延長を正しく管理しても、計画した排水範囲から外れる可能性があります。施工前には、図面、測点、現地の地形、既設構造物、排水先との関係を確認し、孔番号ごとに位置を記録します。施工後には、完成時の孔口位置と孔口高さを測定し、写真と合わせて残します。
次に、方位と角度を施工前後でそろえて記録することが重要です。排水孔は長さがあるため、孔口での小さな角度差が先端付近では大きなズレになることがあります。施工機械の据付状態、基準方向、削孔角度、完了時の確認結果を同じ基準で整理することで、ズレの有無を説明しやすくなります。方位や角度の記録は、写真だけに頼らず、測定値として残すことが大切です。
さらに、勾配と延長は途中経過で確認します。完成後に孔口だけを見ても、実際の延長や孔内の状態は分かりにくいため、施工中のロッド本数、削孔深度、施工時間、湧水状況、異常の有無を記録します。延長不足や排水経路の不備は排水機能に影響するため、施工途中で確認し、必要に応じて関係者と協議できる状態にしておくことが大切です。孔口 から排水先までの流れも、出来形管理の対象として捉える必要があります。
孔口まわりと排水先の納まりも忘れてはいけません。排水孔が計画どおりに削孔されていても、孔口処理や排水先への接続が不十分であれば、水が適切に流れない可能性があります。孔口の中心、高さ、向き、保護状況、周辺仕上げ、排水溝や集水施設との関係を写真と測定値で残します。完成時だけでなく、削孔完了時と仕上げ完了時を分けて記録すると、孔口処理による変化も確認しやすくなります。
最後に、写真と測定値を後から追える形で整理することが、出来形管理の実務では欠かせません。排水孔は似たような写真が多くなりやすいため、孔番号、撮影日、施工段階、撮影方向、測定記録、図面を対応させます。変更があった場合は、変更理由、確認者、確認日を残し、単なるズレではなく、現場条件に応じた調整であることを説明できるようにします。資料が整理されていれば、検査時だけでなく、将来の維持管理でも孔の位置や排水先を追いやすくなります。
出来形管理は、完成後に書類を整えるためだけの作業ではありません。施工中にズレを見つけ、記録不足を防ぎ、排水施設としての機能を説明するための管理です。地すべり対策工の排水孔では、見えなくなる部分が多いからこそ、施工中の記録が完成後の信頼性を支えます。現場での測定、写真、図面、判断記録を一つにつなげて管理することで、排水孔ズレを防ぎ、説明しやすい出来形管理につなげることができます。
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