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88条申請で現場所長が確認すべきリスクアセスメント6項目

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

88条申請は、現場でよく使われる通称です。正確には、労働安全衛生法第88条に基づく計画の届出として整理するのが安全です。対象となる届出には、一定の建設物や機械等の設置、移転、主要構造部分の変更に関するものと、一定の建設工事や土石採取に関するものがあり、様式、提出先、提出期限は区分によって異なります。たとえば、機械等設置・移転・変更届と建設工事・土石採取計画届は同じ88条関係でも同じ書類ではありません。


そのため、現場所長が確認すべきことは、書類をそろえることだけではありません。計画上の工法、仮設、重機配置、作業動線、関係請負人の作業範囲、災害防止措置が、実際の現場条件と合っているかを見極めることが重要です。リスクアセスメントは、危険性や有害性を特定し、リスクを見積もり、優先度を決め、低減措置を検討するための考え方です。88条申請そのものの様式にリスクアセスメント表を機械的に添付すれば足りるという意味ではなく、計画届に記載する安全対策を現場で実行できる内容にするための確認軸として活用する必要があります。


現場所長は、法令上の届出義務者や書類作成担当者を一人で背負う立場とは限りません。しかし、施工計画と現場実態をつなぐ実務責任者として、書面に書かれた安全計画が現場で守れる内容になっているかを確認する立場にあります。特に88条申請の対象になり得る工事では、墜落、崩壊、倒壊、重機接触、飛来落下、感電、火災、第三者災害など、重大な労働災害につながる危険が複数重なります。だからこそ、現場所長は「届出できる書類か」だけでなく、「この計画で安全に施工できるか」という目線でリスクアセスメントを確認することが大切です。


目次

88条申請とリスクアセスメントの関係を所長目線で整理する

項目1:対象工事と作業範囲のリスクを確認する

項目2:墜落・崩壊・はさまれなど重大災害に直結する作業を確認する

項目3:仮設計画・重機配置・動線の干渉リスクを確認する

項目4:関係請負人との同時作業と工程変更リスクを確認する

項目5:周辺環境・第三者災害・自然条件のリスクを確認する

項目6:低減措置・記録・現場変更時の見直し体制を確認する

88条申請を形だけで終わらせない現場所長の進め方

まとめ:リスクを位置情報付きで残し、現場の安全判断につなげる


88条申請とリスクアセスメントの関係を所長目線で整理する

88条申請で現場所長が最初に押さえるべきことは、申請や届出の目的を「行政に出すための手続き」だけで捉えないことです。もちろん、対象となる工事かどうか、提出先はどこか、期限はいつか、必要な図面や工程表はそろっているかという確認は欠かせません。しかし、現場運営の視点では、それ以上に「その計画で本当に安全に施工できるのか」「現場で起こり得る危険を事前に洗い出せているのか」「変更が出たときに誰が判断するのか」が重要になります。


88条申請の対象になり得る工事や設備は、一般に危険性が高い、または事故が起きたときの被害が大きくなりやすいものです。大規模な建設工事、深い掘削、高所作業、重量物の取扱い、仮設構造物、危険性の高い機械設備などは、現場の条件によってリスクが大きく変わります。図面上は成立している計画でも、搬入路が狭い、架空線が近い、地盤条件が想定と違う、近接工事と重なる、関係請負人の作業時間が集中する、といった現場固有の事情によって危険度は一気に上がります。


リスクアセスメントは、こうした危険を「なんとなく危ない」で終わらせず、どの作業で、誰に、どのような災害が、どの程度の可能性で起こり得るかを整理するための考え方です。現場所長が見るべきなのは、リスクアセスメント表が存在するかどうかだけではありません。作業手順、施工計画書、仮設計画図、機械配置図、工程表、緊急時対応、教育記録が互いに矛盾していないかを確認することが大切です。


たとえば、工程表では掘削と資材搬入が別日になっているのに、現場では天候遅れを取り戻すため同日に重ねようとしている場合、当初のリスクアセスメントはそのまま使えない可能性があります。仮設計画図では安全通路が確保されていても、実際には資材置場が増えて通路幅が不足することもあります。つまり、88条申請に関係するリスクアセスメントは、提出前だけでなく、着工直前、作業開始前、工程変更時にも見直されるべきものです。


現場所長は、法令や様式の細部をすべて一人で抱える必要はありません。安全衛生担当者、元請担当者、設計者、関係請負人、専門工事業者と連携しながら、現場で実行できる計画に落とし込むことが役割です。特に88条申請では、書類上の整合性と現地条件の整合性がずれると、行政からの確認や指摘、着工後の手戻り、工程遅延、事故リスクの増大につながる可能性があります。だからこそ、現場所長は「申請に必要な書類があるか」ではなく、「申請に書いた安全計画を現場で守れるか」という目線で確認する必要があります。


項目1:対象工事と作業範囲のリスクを確認する

一つ目の確認項目は、88条申請の対象として整理した工事範囲と、実際に現場で行う作業範囲が一致しているかです。これは基本のようで、実務では見落としが起きやすい部分です。届出書類には工事名称、場所、事業者、計画の概要、工程、労働者数、工法の概要などが記載されますが、現場の実態は契約変更、追加工事、仮設変更、施工順序の変更によって動きます。申請時点の計画が、着工時点でも有効かどうかを確認することが重要です。


特に現場所長が見るべきなのは、届出対象として扱った作業と、対象外として整理した作業の境目です。たとえば、掘削そのものは計画に含まれていても、土留めの設置、排水設備の設置、仮設道路の整備、支障物撤去、夜間搬入、重機の組立解体などが十分に検討されていない場合があります。事故は主要作業だけでなく、準備作業、段取り替え、仮設の変更、復旧作業で発生することも多いため、工事概要だけを見て安心するのは危険です。


また、88条申請の対象判断は、工事の名称だけで決まるものではありません。同じ建築工事や土木工事でも、高さ、深さ、支間、工法、使用する機械、作業場所、周辺条件によって必要な届出や添付資料が変わることがあります。建設工事や土石採取の計画届では、仕事の種類や規模に応じて提出期限や提出先が異なる場合があり、一定の機械設備や建設物の設置、移転、変更に関する届出が別に問題となることもあります。現場所長は、安全衛生担当に任せきりにせず、「現場で実際にやる作業」が対象判断に反映されているかを確認する必要があります。


作業範囲の確認では、平面図や工程表だけでなく、現地踏査の結果を反映させることが大切です。図面上は十分な作業ヤードがあるように見えても、現地には既存構造物、段差、狭あい部、埋設物、隣接施設、交通規制、仮囲い、資材置場の制約があります。これらが反映されていないリスクアセスメントは、現場で使いにくいものになります。現場所長は、着工前に現地写真、測点、作業エリア、搬入経路を整理し、作業範囲の認識を関係者間でそろえることが求められます。


さらに、作業範囲は「誰がどこまで責任を持つか」という責任分界にも関係します。元請が全体計画を作成し、専門工事業者が詳細手順を作成する場合でも、両者の間に空白があってはいけません。たとえば、重機の搬入までは元請の計画、吊り作業は専門工事業者の計画、玉掛け場所の地耐力確認は誰が行うのか、といった境界が曖昧なままだと、リスクの見落としにつながります。88条申請に関連するリスクアセスメントでは、作業範囲だけでなく、管理範囲、立入禁止範囲、合図者の配置、点検者、変更承認者まで確認しておくことが望ましいです。


項目2:墜落・崩壊・はさまれなど重大災害に直結する作業を確認する

二つ目の確認項目は、重大災害に直結しやすい作業がリスクアセスメントで具体的に扱われているかです。建設現場では、墜落、転落、崩壊、倒壊、はさまれ、巻き込まれ、激突、飛来落下、感電、酸素欠乏、火災、爆発など、発生すると重篤な結果になりやすい災害があります。88条申請の対象となるような工事では、こうしたリスクが複数組み合わさることが珍しくありません。


現場所長は、リスクアセスメントの記載が「墜落に注意」「重機災害に注意」といった抽象的な表現で終わっていないかを確認する必要があります。危険源を具体化しなければ、有効な対策は決められません。墜落リスクであれば、どの高さで、どの開口部で、どの作業姿勢で、誰が、いつ危険にさらされるのかを明確にします。掘削リスクであれば、土質、地下水、法面勾配、土留め、掘削深さ、近接荷重、降雨時の対応まで確認します。重機リスクであれば、旋回範囲、死角、誘導者、後退時の確認、歩行者との分離、地耐力、アウトリガーの設置条件を見ます。


重大災害に直結する作業では、リスクを「作業名」ではなく「災害シナリオ」で見ることが重要です。たとえば、鉄骨建方という作業名だけでは危険の中身が見えません。部材吊上げ中の落下、仮ボルト不足による倒壊、作業床未整備による墜落、合図不一致による接触、風による荷振れ、夜間照明不足による誤操作など、災害に至る経路を分解して考える必要があります。現場所長が災害シナリオを言語化できていない場合、作業員への周知も曖昧になりやすくなります。


また、リスクの見積りでは、発生確率だけに引っ張られないことが大切です。めったに起きない作業でも、起きたときに死亡や重篤災害につながる場合は、優先的に対策を講じる必要があります。特に高所、深掘り、重量物、狭あい部、架空線近接、地下埋設物近接、交通開放部近接などは、頻度が低くても結果が重大になりやすい領域です。現場所長は、過去の経験で「いつも大丈夫だった」と判断するのではなく、今回の現場条件でリスクを見直す必要があります。


重大災害リスクの確認では、対策の階層も意識します。危険作業をなくせるなら、まずなくすことを考えます。高所作業を地上組立に変更できないか、深い掘削を段階施工にできないか、重量物の人力取扱いを機械化できないか、作業員と重機を物理的に分離できないかを検討します。それが難しい場合に、設備的対策、作業手順、教育、保護具の順に重ねていきます。保護具や注意喚起だけに頼る対策は、最後の砦として位置づけるのが安全です。88条申請に関係するリスクアセスメントでは、この考え方が書面にも現場にも反映されているかを確認することが重要です。


項目3:仮設計画・重機配置・動線の干渉リスクを確認する

三つ目の確認項目は、仮設計画、重機配置、作業動線の干渉リスクです。施工計画では構造物本体や主要工法に目が向きがちですが、実際の事故は仮設、搬入、資材置場、作業通路、重機の旋回範囲、車両の出入り、仮設電源、仮設足場、仮設昇降設備などで発生することがあります。88条申請に添付する図面や概要資料が整っていても、仮設計画が現場運用に耐えられなければ、安全計画としては不十分です。


現場所長が確認すべきなのは、仮設物が「設置できるか」だけでなく、「使い続けられるか」です。足場、作業床、手すり、開口部養生、安全通路、昇降設備、仮囲い、照明、排水、仮設電気、仮設道路は、着工時に整っていても、工程の進行とともに移動、撤去、追加、切替が発生します。切替時の一時的な無防備状態が最も危険になることもあります。たとえば、開口部の養生を外して資材を搬入する時間、足場を一部解体して別作業を進める時間、仮設道路を変更して車両動線が変わる時間は、リスクアセスメントで明確に扱うべきです。


重機配置では、作業半径と人の動線が重ならないことが基本です。しかし、狭い現場では完全分離が難しい場合もあります。その場合でも、旋回範囲の明示、立入禁止措置、誘導者の配置、合図方法、退避場所、待機場所、荷下ろし位置、資材仮置き位置を具体的に決める必要があります。図面上で重機の位置だけを示しても、実際の旋回、後退、アウトリガー張出し、敷鉄板、路肩、架空線、隣接構造物との関係が不明なままでは危険です。


動線の干渉は、工事が進むほど複雑になります。朝礼時は安全通路が確保されていても、資材搬入後に通路が狭くなることがあります。作業員の歩行動線と車両動線が一時的に交差することもあります。発生土の搬出、コンクリート打設、鉄筋搬入、型枠解体、設備工事、検査、発注者立会いが重なると、当初想定していなかった人の流れが生まれます。現場所長は、工程表と配置図を重ねて、日ごと、時間帯ごとの干渉を確認する必要があります。


仮設計画や動線のリスクは、書面だけでは把握しきれません。現地で立ってみると、見通しの悪さ、音の聞こえにくさ、夜間照明の影、雨天時のぬかるみ、段差、資材の死角が分かります。現場所長は、申請前や着工前の段階で現地を歩き、作業員目線、誘導者目線、重機運転者目線、第三者目線で危険箇所を確認することが重要です。その結果を写真や位置情報と一緒に残しておくと、関係者への説明や後日の見直しがしやすくなります。


項目4:関係請負人との同時作業と工程変更リスクを確認する

四つ目の確認項目は、関係請負人との同時作業と工程変更リスクです。88条申請に関係するような工事では、元請、一次請、二次請、専門工事業者、資材業者、運搬業者、測量担当、検査担当など、多くの関係者が現場に入ります。計画上は作業が順番に並んでいても、現場では天候、資材納期、設計変更、近隣対応、発注者検査、他工区との調整によって、作業が前後したり重なったりします。この同時作業は、現場所長が特に注意すべきリスクの一つです。


同時作業の危険は、単独作業のリスクアセスメントを足し合わせただけでは把握できません。上部で作業する業者と下部で作業する業者が同時に入れば、飛来落下リスクが生じます。掘削作業と搬入作業が重なれば、車両動線と作業員動線の干渉が増えます。溶接や切断作業の近くで可燃物を扱えば、火災リスクが高まります。重機作業と測量作業が同時に行われれば、測量者が重機の死角に入る可能性があります。こうした組み合わせリスクは、各社が自社作業だけを見ていると見落とされます。


現場所長は、日々の工程調整で「今日は何社が、どこで、何をするか」を把握し、その組み合わせが当初のリスクアセスメントと合っているかを確認する必要があります。特に、工程短縮のために作業を前倒しする場合、遅れを取り戻すために人員を増やす場合、夜間や休日に作業する場合、仮設を一時変更する場合は、リスクが変わります。作業そのものは同じでも、時間帯、人数、照明、監督者の配置、周辺作業の有無が変われば、リスクアセスメントも見直すべきです。


関係請負人との調整では、作業手順書や安全書類の提出だけで安心しないことが大切です。書類には「立入禁止措置を行う」「合図者を配置する」と書かれていても、現場で誰が立入禁止範囲を設置し、誰が解除し、合図者はどの位置に立ち、合図方法は全社で統一されているのかが不明な場合があります。現場所長は、関係請負人ごとの安全対策を全体計画に接続し、重複、抜け、矛盾をつぶしていく必要があります。


工程変更時には、変更内容を口頭だけで済ませないことも重要です。現場では「少しだけ」「今日だけ」「先にやっておく」といった判断が積み重なり、当初計画と違う状態が常態化することがあります。変更が軽微に見えても、重機配置、立入範囲、仮設、作業順序、必要人員、監視体制、緊急時動線に影響する場合は、リスクアセスメントの見直し対象です。現場所長は、変更判断の基準をあらかじめ決め、誰が承認し、どの記録に残すかを明確にしておく必要があります。


項目5:周辺環境・第三者災害・自然条件のリスクを確認する

五つ目の確認項目は、現場内部だけでなく、周辺環境、第三者災害、自然条件のリスクです。88条申請に関連する安全計画では、作業員の安全だけでなく、近隣住民、通行人、発注者関係者、施設利用者、隣接工区の作業員、車両運転者など、現場周辺にいる人への影響も考える必要があります。特に都市部、供用中施設、道路近接、鉄道近接、河川近接、学校や病院など人の出入りが多い場所では、第三者リスクを軽く見ることはできません。


周辺環境の確認では、まず現場の外周を歩くことが重要です。工事車両の出入口は見通しが確保されているか、歩行者や自転車が多い時間帯はいつか、通学路や搬入時間の制約はあるか、隣接建物の出入口や避難経路に影響しないか、騒音や振動が問題になりやすい施設はないかを確認します。図面上の敷地境界だけでなく、実際の人と車の流れを見なければ、第三者災害のリスクは把握できません。


地下埋設物や架空線も重要な確認対象です。掘削、杭、地盤改良、仮設支柱、重機のブーム、資材吊上げ、足場組立などでは、地下や上空の見えないリスクが事故につながります。埋設物調査や管理者協議が済んでいても、現地表示、試掘、作業員への周知、近接作業時の監視体制がなければ安全とは言えません。架空線についても、離隔距離、絶縁防護、誘導者、接近禁止範囲、強風時の荷振れを含めて確認する必要があります。


自然条件も、計画段階で見落とされやすいリスクです。降雨による法面崩壊、湧水、ぬかるみ、強風による荷振れ、猛暑による熱中症、低温や凍結による転倒、視界不良、河川増水、台風接近などは、工程と安全対策に直接影響します。特に掘削、高所、吊り作業、足場、仮設構造物、夜間作業では、天候による中止基準や再開基準を決めておくことが重要です。現場所長は、天気予報を見るだけでなく、現場の地形、排水、風の抜け方、日射、照明、避難場所を踏まえて判断する必要があります。


第三者災害の防止では、現場外への情報発信も大切です。工事予定、車両出入り、通行規制、騒音振動の発生時間、迂回路、緊急連絡先を適切に周知することで、予期しない接触や苦情による混乱を減らせます。ただし、掲示や周知をしただけで安全が確保されるわけではありません。実際に誘導員が機能しているか、仮囲いの隙間から立ち入れる場所がないか、夜間でも注意表示が見えるか、資材が敷地外に越境していないかを日々確認する必要があります。


項目6:低減措置・記録・現場変更時の見直し体制を確認する

六つ目の確認項目は、リスク低減措置が具体的で、記録に残り、現場変更時に見直せる体制になっているかです。リスクアセスメントは、危険を洗い出して終わりではありません。リスクを見積もり、優先順位を付け、低減措置を決め、実施し、効果を確認し、必要に応じて見直すところまでが一連の流れです。現場所長が確認すべきなのは、低減措置が「実行責任者」「実施時期」「確認方法」まで落ちているかです。


よくある問題は、対策が抽象的な言葉で止まっていることです。「安全確認を徹底する」「作業員に注意喚起する」「合図を確実に行う」といった記載だけでは、現場で何をすればよいのかが分かりません。現場所長は、対策を行動に分解する必要があります。たとえば、立入禁止措置であれば、どの範囲を、何で区画し、誰が設置し、いつ解除し、解除前に誰が確認するのかを決めます。合図であれば、合図者の人数、立ち位置、合図方法、無線使用時の確認、緊急停止合図を決めます。点検であれば、点検項目、点検頻度、記録様式、不具合時の停止基準を決めます。


記録も重要です。88条申請に関連する書類は、提出用の書類だけでなく、現場で安全判断を共有するための資料として活用するべきです。施工計画書、作業手順書、リスクアセスメント表、点検記録、教育記録、打合せ記録、写真記録、是正記録がばらばらに管理されていると、変更時に何を直せばよいか分からなくなります。現場所長は、申請時の安全計画と現場運用の記録をつなげ、後から経緯を追える状態にしておくことが望ましいです。


特に有効なのは、危険箇所や是正箇所を位置情報と一緒に残すことです。現場写真だけでは、どの場所を撮ったものか後から分からなくなることがあります。危険箇所の写真、仮設変更箇所、重機配置、立入禁止範囲、開口部、埋設物の確認位置、第三者動線との交差箇所を位置と紐づけて残しておけば、朝礼、災害防止協議会、関係請負人との打合せ、発注者説明で使いやすくなります。現場所長が現場状況を正確に共有できれば、リスクアセスメントは書類から実務の道具に変わります。


見直し体制では、どのような変更があったらリスクアセスメントを再確認するかを明確にします。工法変更、施工順序変更、仮設変更、作業時間変更、関係請負人の追加、作業員数の増減、重機変更、搬入経路変更、天候悪化、地盤条件の相違、支障物の発見、近隣条件の変化などは、見直しのきっかけになります。現場所長は、現場で変更が起きたときに「申請書類に影響するか」「安全計画に影響するか」「関係者への再周知が必要か」を判断できる体制を作る必要があります。


また、リスク低減措置の実効性は、作業員が理解して初めて成り立ちます。書類を作っただけでは、現場の行動は変わりません。朝礼、作業前ミーティング、危険予知活動、送り出し教育、新規入場者教育で、当日の作業場所、危険源、禁止事項、退避場所、合図方法、緊急時対応を具体的に伝えることが重要です。現場所長は、説明した事実だけでなく、理解されたかどうかを確認する必要があります。質問が出ない、復唱できない、現場で迷う作業員がいる場合は、周知が不十分な可能性があります。


88条申請を形だけで終わらせない現場所長の進め方

88条申請を形だけで終わらせないためには、現場所長が早い段階から関与することが大切です。提出期限が迫ってから図面や工程表を集めるのではなく、計画初期の段階で対象工事、危険作業、仮設計画、周辺条件、関係請負人の役割を整理します。届出が必要かどうかの判断は専門部署や所轄窓口に確認する場面もありますが、判断材料を集めるのは現場側の役割です。現地条件を知らないまま書類だけを作ると、後から修正や追加説明が必要になりやすくなります。


実務では、まず工事概要と対象作業を整理し、その次に重大災害につながる作業を抽出します。続いて、仮設、重機、動線、周辺環境、同時作業、自然条件を重ね合わせ、リスクの高い場面を明らかにします。そのうえで、低減措置を決め、図面、工程表、手順書、教育計画に反映します。この順番を守ると、88条申請の書類と現場の安全管理がつながりやすくなります。


現場所長が特に意識したいのは、確認や指摘を受けやすい部分を先回りして整えることです。工法の概要が抽象的すぎる、労働災害防止措置が一般論にとどまっている、工程表と仮設計画が合っていない、作業範囲と図面が一致していない、関係請負人の作業が反映されていない、変更時の対応が不明確といった状態では、書類としても現場管理としても弱くなります。所長が現場目線で確認すれば、こうしたズレを早めに修正できます。


また、88条申請に関係する資料は、提出後にしまい込むのではなく、現場で使える形にしておくことが重要です。現場事務所で関係者が見られるようにし、変更履歴を分かりやすくし、最新版がどれかを明確にします。古い図面や古い作業手順が現場に残っていると、誤った指示につながります。現場所長は、最新版管理を安全管理の一部として扱う必要があります。


さらに、現場での実行確認も欠かせません。計画では立入禁止にしている場所に人が入っていないか、仮設通路が資材で塞がれていないか、重機の旋回範囲が守られているか、開口部養生が外されたままになっていないか、点検記録が実際の状態を反映しているかを確認します。書類の内容と現場の状態が違っていれば、現場を直すか、計画を見直すか、どちらかの対応が必要です。ここを放置すると、88条申請は単なる提出書類になってしまいます。


現場所長は、すべてを一人で確認する必要はありません。むしろ、各専門分野の担当者に確認させ、その結果を統合することが重要です。仮設担当は仮設の安全性を、重機担当は機械配置と地耐力を、専門工事業者は作業手順を、安全衛生担当は法令と教育を、現場所長は全体の整合性を見ます。この役割分担が明確であれば、リスクアセスメントの精度は高まります。


まとめ:リスクを位置情報付きで残し、現場の安全判断につなげる

88条申請で現場所長が確認すべきリスクアセスメントは、対象工事の確認、重大災害リスクの抽出、仮設と重機動線の干渉確認、関係請負人との同時作業管理、周辺環境と自然条件の確認、低減措置と見直し体制の整備という六つの視点で整理できます。これらは別々の項目に見えますが、現場ではすべてつながっています。作業範囲が変われば重機配置が変わり、重機配置が変われば動線が変わり、動線が変われば第三者リスクや同時作業リスクも変わります。だからこそ、リスクアセスメントは一度作って終わりではなく、現場の変化に合わせて更新する必要があります。


現場所長に求められるのは、書類を整える力だけではありません。現地を見て、危険を具体化し、関係者に伝え、対策を実行させ、変更時に止まって見直す力です。88条申請は、そのための入口として活用できます。申請に必要だからリスクアセスメントを作るのではなく、安全に施工するためにリスクアセスメントを作り、その結果として申請書類の精度も上がるという順番で考えることが大切です。


特にこれからの現場では、写真、図面、座標、点検記録、是正履歴を結びつけて管理することが、リスクアセスメントの実効性を高めます。危険箇所を口頭で説明するだけでは、場所の認識がずれることがあります。現地写真に位置情報が紐づいていれば、どの開口部、どの仮設通路、どの重機配置、どの埋設物確認位置を指しているのかが明確になります。関係請負人への周知、発注者への説明、変更時の判断、是正確認にも使いやすくなります。


88条申請を安全管理の実務に結びつけるうえで、現場の位置情報を正確に残せる仕組みは大きな助けになります。LRTK Phoneを活用すれば、現場写真や確認点を高精度な位置情報とともに記録し、危険箇所や是正箇所を後から追いやすくできます。88条申請に向けたリスクアセスメントを、提出書類のためだけでなく、現場で使える安全管理の記録に変えていくことが、現場所長にとって重要な一歩です。


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