道路、造成、基礎、擁壁、排水施設などの土工では、支持力不足や高含水、腐植土の混入などが確認された地盤を撤去し、施工条件に適合する良質土へ置き換える工事が行われます。このとき注意したいのが、不良土撤去量と良質土置換量を同じ数量として扱わないことです。
平面的な施工範囲と設計上の置換 厚が同じであれば、図面上の体積は一致するように見えます。しかし実際には、撤去後の地盤面の不陸、施工余幅、掘削法面、締固めによる体積変化、過掘り、湧水処理、運搬時の状態変化などが関係します。そのため、不良土の撤去量と良質土の搬入量、敷均し量、締固め後の完成量は、それぞれ別の管理対象として計算する必要があります。
両者を一つの数字で管理すると、残土処分量の不足、良質土の追加発注、出来高数量の不一致、運搬伝票との食い違いなどが発生しやすくなります。特に施工途中で置換範囲や深さが変更された場合、当初数量だけを基準に管理していると、どの工程で数量差が生じたのか確認できません。
本記事では、不良土撤去と良質土置換を分けて計算するための6つの管理基準を解説します。設計数量、施工数量、運搬数量、完成数量を区別し、現場条件の変化に対応できる土量管理の考え方を整理します。
目次
• 不良土撤去量と良質土置換量を分ける理由
• 管理基準1 撤去範囲と置換範囲の境界を別々に確定する
• 管理基準2 地山、ほぐし、締固め後の土量状態を区別する
• 管理基準3 過掘り、余掘り、不陸を実測して反映する
• 管理基準4 良質土の施工厚と締固め層数を管理する
• 管理基準5 搬出入伝票と現地計測を別系統で照合する
• 管理基準6 設計変更と施工変更の履歴を数量へ反映する
• 不良土撤去量を計算する基本手順
• 良質土置換量を計算する基本手順
• 数量差が生じる代表的な原因
• 計算例で確認する撤去量と置換量の違い
• 計測方法を選ぶときの注意点
• 出来高管理と精算で確認する項目
• まとめ
不良土撤去量と良質土置換量を分ける理由
不良土撤去量とは、施工対象範囲から取り除いた土の体積を示します。一方、良質土置換量とは、撤去後に形成された空間へ投入し、敷均しと締固めを行った材料の体積を示します。両者は関連しますが、数量を定義する基準面や土の状態が異なります。
不良土撤去 量は、一般に施工前の地盤面と撤去完了面との差から算出します。良質土置換量は、撤去完了面と置換完了面との差から算出します。施工前地盤面、撤去完了面、置換完了面の三つを区別して記録することが、数量管理の基本です。
例えば、施工前地盤から設計深さ1.0メートルまで撤去し、同じ高さまで良質土を戻す計画であれば、設計上は撤去量と置換完成量が一致します。しかし、撤去面に凹凸が生じて平均深さが1.05メートルになれば、実際の撤去量は設計より増加します。その凹凸を良質土で埋めて計画高さまで仕上げる場合、置換完成量も増加する可能性があります。
一方、撤去面の一部へ砕石、基礎コンクリート、排水材、地盤改良材などを施工する場合、その部分は良質土で埋め戻されません。この場合は、不良土撤去量の全量が良質土置換量になるわけではありません。撤去空間のうち、別材料が占める体積を区分して考える必要があります。
また、不良土は掘削によってほぐされるため、運搬時には地山状態より体積が増えること があります。良質土は搬入時のほぐれた状態から締め固められるため、完成時には体積が小さくなります。撤去側と置換側では、体積変化の方向も異なります。
このため、設計図面から算出した体積、現地で撤去した地山体積、ダンプトラックで搬出した運搬体積、良質土の搬入体積、締固め後の完成体積を同じ欄へ記録するのは適切ではありません。それぞれの数量が何を表しているのかを明確にし、換算が必要な場合には使用した係数と根拠を残します。
管理基準1 撤去範囲と置換範囲の境界を別々に確定する
最初の管理基準は、不良土を撤去する範囲と良質土を施工する範囲を別々に確定することです。平面図上の範囲が同じように見えても、深さ方向や端部形状が異なる場合があります。
不良土の分布は、必ずしも設計図面に描かれた直線的な境界と一致しません。試掘、地質調査、掘削中の土質 確認などによって、施工時に撤去範囲が広がることがあります。反対に、支持力や土質が確保されている部分について、監督員や設計担当者との協議を経て撤去範囲が縮小される場合もあります。
撤去範囲を確定するときは、平面境界だけでなく、施工前地盤高、撤去底面高、側面の勾配、段差の位置も記録します。垂直に掘削する計画であっても、崩壊防止や施工機械の作業性を考慮して法面を設ければ、底面より上部の掘削面積が大きくなります。この法面部分は不良土撤去量に含まれますが、置換後の形状によっては、同じ体積を良質土で戻さないこともあります。
良質土の置換範囲は、撤去後に実際に埋める空間を基準に確定します。撤去範囲内に排水層、吸出し防止材、基礎砕石、地盤改良体などを配置する場合は、それぞれの材料区分を分けます。良質土の数量を計算するときは、撤去空間全体から他材料が占める体積を控除する考え方が必要です。
境界を管理する方法としては、施工範囲の端部に測点を設け、座標と標高を記録する 方法が有効です。直線区間だけでなく、折れ点、曲線部、深さが変化する位置、構造物との接続部を重点的に測定します。
施工中に不良土が追加で確認された場合は、追加撤去範囲を当初範囲へ単純に上書きするのではなく、当初計画範囲と追加範囲を区分して記録します。これにより、当初設計数量と施工変更数量の差を説明しやすくなります。
境界写真を撮影するときは、全景だけでなく、測点番号、丁張、標尺、地盤面の状態が確認できるようにします。写真だけで正確な体積を算出することは難しいものの、どの時点でどこまで撤去したかを確認する補助資料になります。
撤去範囲と置換範囲の境界が曖昧なまま施工を進めると、数量差の原因を後から特定できません。施工前に管理区分を設定し、変更が生じた時点で範囲を更新することが重要です。
管理基準2 地山、ほぐし、締固め後の土量状態を区別する
二つ目の管理基準は、土量がどの状態の体積であるかを明確にすることです。土は掘削、積込み、運搬、敷均し、締固めの各工程で密度と体積が変化します。
施工前の自然な地盤状態は、一般に地山状態として扱われます。設計図面から計算する不良土撤去量は、施工前地盤面と計画撤去面との差で求めるため、地山状態の体積になることが一般的です。
不良土を掘削すると、土粒子の配列が緩み、空隙が増加します。そのため、ダンプトラックの荷台に積み込まれた状態の体積は、掘削前の地山体積より大きくなる場合があります。搬出車両の荷台容量に台数を掛けた数量と、測量による撤去体積が一致しない主な理由の一つです。
良質土も、土取り場や仮置き場から搬入される時点では、ほぐれた状態であることが一般的です。搬入 後に敷き均し、転圧すると密度が高まり、体積が減少します。したがって、完成状態で必要な置換体積と、発注または搬入する体積は同じではありません。
基本的な考え方として、完成状態で必要な良質土量が分かっている場合は、材料特性や施工条件を踏まえた換算を行い、搬入量を計画します。ただし、膨張率や収縮率は土質、粒度、含水比、締固め度、運搬方法によって変化します。一般的な参考値だけを根拠に数量を確定せず、仕様書、試験施工、土質試験、過去の施工実績などを確認する必要があります。
土量管理表には、単に立方メートルと記載するのではなく、地山土量、ほぐし土量、締固め後土量などの区分を明記します。換算した数量については、元の数量、使用した係数、換算後の数量を残します。
例えば、地山状態の不良土撤去量が1,000立方メートルであっても、搬出伝票から集計した運搬土量が1,200立方メートルになることはあり得ます。この差だけを見て過剰掘削と判断することはできません。積載量の算定方法、荷 台上の山積み状態、空隙、含水状態などを含めて確認する必要があります。
同様に、締固め後の良質土置換量が1,000立方メートル必要な場合、搬入量も1,000立方メートルで足りるとは限りません。搬入時のほぐれた材料を締め固めると体積が減るため、完成体積より多い搬入量が必要になる可能性があります。
ただし、搬入量を多めに見込むだけでは適切な管理とはいえません。余剰材が発生すれば仮置きや再搬出が必要になり、費用や工程へ影響します。試験施工や初期施工区間で実績換算率を求め、その後の発注数量へ反映する方法が現実的です。
管理基準3 過掘り、余掘り、不陸を実測して反映する
三つ目の管理基準は、設計深さを超えた過掘りや、作業空間として必要な余掘り、撤去底面の不陸を実測することです。設計数量だけで施工実績を管理すると、実際に形成された空間との差が見え ません。
不良土は均一な厚さで分布しているとは限りません。撤去を進めると、局所的に軟弱な部分や有機物を含む部分が残り、追加掘削が必要になることがあります。重機のバケットによる掘削では、底面を完全な水平面に仕上げることも困難です。
過掘りが発生した場合、その部分へ何を充填するかによって良質土置換量が変わります。良質土で埋めるなら置換量へ追加し、砕石やコンクリートで処理するなら別材料として計上します。過掘り量を不良土撤去量にだけ加え、置換側で処理しないと、完成時の数量収支が合わなくなります。
余掘りは、構造物の施工や転圧機械の作業空間を確保するため、設計完成形より広く掘削する部分です。余掘り範囲が埋戻し対象となる場合は、撤去量と置換量の双方に関係します。ただし、法面として残す場合や別材料で施工する場合は、両者の数量が一致しません。
撤去底面を測定するときは、平均深さだけで判断せず、地形の変化に応じて測点を配置します。凹凸の大きい場所で測点間隔が広すぎると、局所的な深掘りを捉えられません。反対に、ほぼ平坦な場所へ過度に多くの測点を配置しても、作業量が増えるだけで数量精度への効果が限定されることがあります。
測点配置は、施工面積、要求される数量精度、地盤の変化、工事規模に応じて決めます。格子状に測点を設ける方法、横断面ごとに計測する方法、施工面全体を点群として取得する方法などがあります。
点群を利用する場合も、草木、重機、作業員、湧水面、仮設材などが含まれると、正しい地盤面を作成できません。不要な点を除外し、施工前面と撤去後面の範囲が一致していることを確認してから体積を計算します。
撤去直後は底面が乱されやすいため、良質土の投入前に測定を完了させることが重要です。一部へ先に材料を投入すると、撤去完了面を確認できなくなります 。工程上、一度に全面を測定できない場合は、施工区画を分け、区画ごとに撤去完了測量を行います。
湧水や降雨によって底面が泥濘化した場合は、測定値が安定しないことがあります。泥水面を地盤面として扱わず、排水や整形後の状態を確認します。さらに軟弱化した土を除去した場合は、その追加撤去量も記録します。
過掘りや不陸は、単なる施工誤差として一括処理せず、発生位置、原因、処理方法を記録します。設計変更の対象になるか、施工者負担として整理されるかは契約条件や協議内容によって異なるため、数量計算と費用精算を分けて考えることも必要です。
管理基準4 良質土の施工厚と締固め層数を管理する
四つ目の管理基準は、良質土を何層に分け、各層をどの厚さで施工したかを管理することです。良質土置換量は、完成形状だけでなく、施工過程の層厚管理とも関係しま す。
良質土は、一度に厚く投入するのではなく、施工仕様に応じた層厚で敷き均し、各層を締め固めます。適切な層厚は材料の種類、締固め機械、施工場所、要求される品質によって異なるため、設計図書や施工計画に基づいて設定します。
置換深さが1.0メートルであっても、施工層を単純に同じ厚さで割り切れるとは限りません。最下層の整形、表面仕上げ、構造物周辺の薄層施工などにより、層ごとの厚さが変わることがあります。
層厚管理では、敷均し前後の標高差だけでなく、締固め前の厚さと締固め後の厚さを区別します。締固め前に30センチメートルの材料を敷いたとしても、転圧後に同じ厚さが残るわけではありません。
各層の完成標高を測定しておけば、置換量を段階的に確認できます。例えば、撤去底面から第1層完成面までの体積、 第1層から第2層までの体積というように分けて計算すると、どの層で数量差が生じたか確認しやすくなります。
広い施工範囲では、同じ層でも施工日や施工区画が分かれる場合があります。その場合は、層番号と区画番号を組み合わせて管理します。単に第1層、第2層と記録するだけでは、どの場所を施工した数量なのか分からなくなる可能性があります。
良質土の材料区分が複数ある場合も注意が必要です。下層に粗粒材、上層に細粒分を含む材料を使用する場合、それぞれを別数量として集計します。材料ごとに密度や締固め特性が異なるため、同じ換算率を使用するのは適切ではありません。
構造物周辺や狭い箇所では、大型締固め機械を使用できず、小型機械や人力施工になることがあります。施工方法が変わると、層厚や締固め回数、材料の投入方法も変わります。数量だけでなく、施工条件を記録しておくと、搬入量と完成量の差を説明しやすくなります。
締固め後の沈下も考慮が必要です。完成直後の標高が計画どおりでも、その後の施工機械通行や上載荷重によって沈下する可能性があります。必要に応じて余盛りを行う場合は、設計完成体積と施工時の投入体積を区分します。
余盛り分を良質土置換量へ含めるかどうかは、数量の目的によって異なります。材料発注や施工管理では必要量として扱う一方、設計出来高では完成形を超える部分を計上できない場合があります。何のための数量かを明確にして管理することが重要です。
管理基準5 搬出入伝票と現地計測を別系統で照合する
五つ目の管理基準は、ダンプトラックなどの搬出入伝票による数量と、現地測量による数量を別系統で集計し、定期的に照合することです。
不良土の搬出量は、車両台数や積載量から把握できます。良質土の搬入量も、納入伝票や計量票から確認できます。ただし、これらは運搬時の数量であり、現地の地山体積や締固め後体積とは異なります。
車両1台当たりの数量を一律に荷台容量として計算すると、実際の積載状態との誤差が生じます。土の含水状態、山積みの形状、荷台への付着、積込み量のばらつきなどが影響します。重量計量を行っている場合でも、体積へ換算するには材料の湿潤密度などが必要です。
搬出入伝票は、日付、車両番号、積込場所、搬出先または搬入元、材料区分、重量または体積を整理します。不良土と良質土が同じ日に同じ出入口を通行する現場では、伝票区分を明確にしないと誤集計が起こりやすくなります。
不良土については、一般土、軟弱土、泥土、異物混入土など、処理方法が異なる材料を分けて記録する場合があります。処分先や受入条件が異なる場合は、数量管理上も別区分にします。
良質土についても、購入土、現場内流用土、他工区からの流用土などを分けます。現場内流用土は外部からの納入伝票が発生しないため、運搬記録や仮置き場の測量によって数量を把握します。
現地測量による数量と伝票数量を照合する際は、同じ土量状態へ換算して比較します。地山状態の撤去量と、ほぐれた状態の搬出量をそのまま比較しても、差の評価はできません。換算係数を使う場合は、適用期間と対象材料を明確にします。
照合は工事完了時だけでなく、日次または週次などの適切な周期で行います。工事完了後に大きな差が判明しても、どの日にどの区画で差が発生したかを追跡することは困難です。
例えば、施工初期の100台分について搬出量と撤去実測量を比較し、実績に基づく換算傾向を確認します。その後も土質が変化した区間や降雨後の施工では、換算条件が変わっていないかを見直します。
搬入した良質土の全量が、その日のうちに置換箇所へ施工されるとは限りません。仮置き場へ残る材料、運搬路へ使用した材料、こぼれや付着、試験盛土へ使用した材料などがあれば、搬入量と置換施工量に差が生じます。
仮置き場を使用する場合は、期首在庫、期間中搬入量、期間中使用量、期末在庫の収支を確認します。計算上は、期首在庫に搬入量を加え、期末在庫を差し引いた数量が使用量の目安になります。ただし、仮置き中の締まり、降雨による含水変化、地盤へのめり込みなどもあるため、定期的な現地測量が必要です。
管理基準6 設計変更と施工変更の履歴を数量へ反映する
六つ目の管理基準は、設計変更、現場協議、施工方法の変更を数量計算へ確実に反映することです。不良土撤去工事では、掘削して初めて地盤状態が確認できることが多く、当初計画と施工実績に差が生じや すい傾向があります。
変更履歴を残さず最終数量だけを更新すると、当初設計から何が変わったのか説明できません。数量管理表では、当初設計数量、変更予定数量、施工実績数量、精算対象数量を区分します。
追加撤去が発生した場合は、追加範囲、追加深さ、発生理由、確認日、協議内容を記録します。追加分を当初数量に含めて再計算するだけでなく、差分数量を算出します。
置換材料が変更された場合も同様です。当初は全量を良質土で置換する計画であっても、施工途中で砕石置換や地盤改良へ変更されることがあります。この場合、不良土撤去量が変わらなくても、良質土置換量は減少します。
施工範囲の一部へ構造物が追加された場合は、その占有体積を良質土置換量から控除します。一方、構造物施工のために余掘りが増えれば、不良 土撤去量と埋戻し量が増える可能性があります。変更内容を項目ごとに分解して計算することが重要です。
施工変更には、設計者や発注者の指示によるものだけでなく、施工者の施工方法によって生じるものもあります。例えば、重機の進入路を確保するために掘削範囲を広げた場合、その数量が精算対象になるとは限りません。物理的な施工数量と契約上の出来高数量を分けて管理します。
変更前後の図面や計測データには、版番号や計測日を付けます。ファイル名だけで管理すると、どのデータが最新か分からなくなることがあります。施工範囲、標高データ、計算条件、除外範囲を一つの記録として関連付けます。
点群や三次元モデルを更新する場合は、施工前、撤去後、置換途中、完成後のデータを上書きせず保存します。計算結果だけでなく、計算に使用した面データと境界線も残します。
数量変更の協議では、増減した体積だけでなく、その体積が地山、ほぐし、締固め後のどの状態かを明確にします。撤去追加量が100立方メートルと記載されていても、それが設計面との差なのか、搬出伝票上の数量なのかによって意味が異なります。
変更履歴を適切に管理すると、不良土撤去量と良質土置換量の差を合理的に説明できます。また、追加材料の手配、運搬車両の調整、処分先の受入容量確認などにも早期に対応できます。
不良土撤去量を計算する基本手順
不良土撤去量を計算する際は、施工前地盤面と撤去完了面の差を求めます。基本式は、施工前地盤面より下側にあり、撤去完了面より上側にある空間の体積です。
一定の面積を一定深さで撤去する単純な形状であれば、平面積に平均撤去深さを掛けて概算できます。例えば、施工 面積が500平方メートル、平均撤去深さが0.8メートルであれば、概算撤去量は400立方メートルです。
ただし、深さが場所によって変化する場合や、施工前地盤に勾配がある場合は、単純な平均深さだけでは誤差が大きくなることがあります。測点ごとの標高差を用いるメッシュ法、連続する断面積から求める平均断面法、三次元面同士を比較する方法などを選択します。
平均断面法では、隣接する二つの断面積を平均し、断面間距離を掛けて区間体積を求めます。各区間の体積を合計することで、全体の撤去量を算出します。断面間で地形が急変する場所では、断面間隔を狭くする必要があります。
メッシュ法では、施工範囲を格子に分け、各格子の施工前標高と撤去後標高の差から体積を求めます。地形変化が大きい場所では、格子を細かくすることで形状を反映しやすくなります。
三次元計測を利用する場合は、施工前地盤面と撤去完了面をそれぞれ作成し、同じ境界内で差分体積を計算します。両方の面で座標系、高さ基準、対象範囲を統一することが重要です。
撤去量には、設計対象の不良土だけでなく、表土、既設路盤、異物、構造物撤去部などが含まれていないかを確認します。処分区分が異なる材料を一つの数量にすると、搬出管理や費用精算が複雑になります。
施工前地盤の測量時点から撤去開始までに、盛土、整地、降雨侵食、車両通行による変形が起きた場合は、基準面が変わっている可能性があります。施工前データを取得した日付と、その後の現場変化を記録します。
撤去完了面は、良質土を投入する直前の状態で測定します。底面整形のために追加掘削を行った場合は、整形後の面を最終撤去面とします。
良質土置換量を計算する基本手順
良質土置換量は、撤去完了面と良質土の完成面との差から算出します。ただし、撤去空間内に別材料や構造物がある場合は、その占有体積を除外します。
一定面積を一定厚さで置換する場合、完成状態の良質土置換量は、平面積に置換厚を掛けて求められます。施工面積500平方メートル、完成置換厚0.8メートルであれば、完成状態の置換量は400立方メートルです。
実際の撤去底面に不陸がある場合は、設計置換厚ではなく、撤去完了面から完成面までの実測差を用いることで、実施工量に近い数量を求められます。
排水層が50立方メートル、基礎砕石が30立方メートル施工される場合、撤去空間が400立方メートルであっても、良質土が占める完成体積は単純計算で320立方メートルになります。ただし、各材料の境界面が重複していないことを確認する必要があります。
良質土を層ごとに管理する場合は、各層の完成面を計測し、層間体積を合計します。最終完成面だけを使う方法より作業量は増えますが、施工途中の数量確認が容易になります。
材料発注量を求める場合は、完成状態の置換体積を搬入状態へ換算します。換算率は、材料の試験結果や施工実績を基に設定します。初期施工時に、搬入量、施工面積、締固め後厚さを記録して実績値を求める方法があります。
例えば、一定区画へほぐし状態で120立方メートルを搬入し、締固め後の完成体積が100立方メートルだった場合、その区画では完成体積1立方メートル当たり1.2立方メートルの搬入が必要だったことになります。ただし、この結果を全区間へ適用できるかは、材料や含水状態、施工機械が同じかを確認して判断します。
良質 土の搬入量には、仮置き場へ残った数量や他用途へ使用した数量を含めないようにします。現場へ搬入した総量と、置換箇所へ使用した量を分けて管理します。
完成体積は、締固め後の地盤面を基準に求めます。仕上げ後に路盤や基礎砕石を施工した場合、良質土の完成面が隠れてしまうため、次工程へ移る前に計測します。
数量差が生じる代表的な原因
不良土撤去量と良質土置換量が一致しないこと自体は、必ずしも計算ミスではありません。施工条件によって合理的な差が生じます。
代表的な原因は、撤去空間の一部を良質土以外の材料が占めることです。排水材、砕石、コンクリート、地盤改良体などが施工されれば、その分だけ良質土置換量は少なくなります。
過掘り部分を良質土で埋めた場合は、設計置換量より実施工量が増加します。一方、過掘り部分をコンクリートなどで処理した場合は、撤去量だけが増え、良質土置換量は同じか減少します。
撤去法面を形成し、置換後にその法面を残す場合も数量差が生じます。撤去時の上部面積が大きくても、完成形が段状または別形状になれば、同体積を埋め戻しません。
締固めによる体積変化も大きな要因です。搬出量、搬入量、完成体積を比較する場合は、土量状態をそろえなければなりません。
施工中に発生した泥土や湧水処理土を別途撤去した場合、その数量は不良土撤去量へ加わりますが、同じ体積の良質土を戻すとは限りません。排水処理や基礎処理によって空間構成が変わるためです。
置換完成面が当初の地盤面より低い場合は、撤去量より置換完成量が少なくなります。反対に、計画高さまで盛り上げる場合や余盛りを行う場合は、置換量が撤去量を上回ることがあります。
計測時期の違いも数量差につながります。撤去完了面の一部が崩壊した後に測量した場合や、良質土施工後に沈下した状態を測量した場合は、施工直後の数量とは異なる結果になります。
境界線の設定差も確認が必要です。施工前面、撤去後面、完成面で使用した計算範囲が異なると、対象外の法面や周辺地盤が含まれ、数量差が拡大します。
計算例で確認する撤去量と置換量の違い
ここでは、単純化した条件で不良土撤去量と良質土置換量を分けて計算します。
施工対象の平面積を800平方メートル、設計上の不良土撤去深さを0.6メートルとします。単純な設計撤去量は、800平方メートルに0.6メートルを掛けた480立方メートルです。
施工後に撤去底面を測量したところ、局所的な追加撤去により平均撤去深さが0.65メートルになっていたとします。この場合、実測に基づく撤去量は、800平方メートルに0.65メートルを掛けた520立方メートルです。
設計数量との差は40立方メートルです。ただし、この40立方メートルがすべて精算対象になるとは限りません。追加撤去の原因と協議内容を確認します。
撤去空間520立方メートルのうち、下部排水層として40立方メートル、基礎砕石として20立方メートルを施工したとします。良質土が占める完成体積は、520立方メートルから60立方メートルを差し引いた460立方メートルです。
この時点で、不良土撤去量は520立方メートル、良質土置換完成量は460立方メートルとなります。差の60立方メートルは、排水層と基礎砕石の体積として説明できます。
良質土の搬入状態から締固め後状態への実績換算が、完成体積1立方メートル当たり搬入量1.15立方メートルだった場合、必要な搬入量の目安は460立方メートルに1.15を掛けた529立方メートルです。
ここで比較すべき数量は、不良土の地山撤去量520立方メートル、良質土の締固め後完成量460立方メートル、良質土のほぐし状態搬入量約529立方メートルです。それぞれ異なる意味を持つため、大小だけを見て過不足を判断できません。
不良土の搬出時換算が地山体積1立方メートル当たり1.2立方メートルであれば、搬出運搬量の目安は624立方メートルです。この数量も撤去実測量520立方メートルとは異なります。
この例では、不良土搬出運搬量624立方メートル、良質土搬入量約529立方メートルとなります。搬出量の方が多くても、良質土が不足しているわけではありません。材料区分と体積状態が異なるためです。
計測方法を選ぶときの注意点
不良土撤去量と良質土置換量を計算する方法は、施工範囲や要求精度に応じて選びます。小規模で形状が単純な場合は、幅、長さ、平均深さによる計算でも管理できます。
道路や水路のように延長方向へ連続する工事では、横断面を一定間隔で測定し、平均断面法で体積を求める方法が使いやすい場合があります。地形や深さが変化する位置では、追加断面を設定します。
面的な造成工事では、メッシュ法や三次元面比較が適しています。施工範囲を格子状に分け、各地点の標高差を積み上げます。
GNSSやトータルステーションを使用する場合は、基準点、座標系、標高基準を統一します。施工前測量と施工後測量で異なる基準を使用すると、全体へ一定の高さずれが生じ、体積誤差が大きくなる可能性があります。
写真測量やレーザ計測による点群を使用する場合は、地表面を正しく抽出できているか確認します。水面、草、重機、資材、作業員などを地盤点として残すと、計算面が実際より高くなります。
垂直に近い掘削面や構造物際は、上空からの計測だけでは形状を取得しにくい場合があります。必要に応じて地上からの計測や直接測量を組み合わせます。
撤去前後の計測範囲は同じ境界にそろえます。一方のデータだけ広い範囲を含むと、対象外部分が差分体積へ入る可能性があります。
点群密度が高いことと、数量精度が高いことは同じではありません。基準点精度、標定精度、死角、表面抽出、境界設定などを総合的に確認します。
計算ソフトから出力された体積は、使用した面や境界が正しければ有効ですが、設定誤りがあっても数値自体は表示されます。施工面積や平均深さから概算値を求め、桁や規模に大きな違いがないか確認することが重要です。
出来高管理と精算で確認する項目
出来高管理では、現場で動いたすべての土量が契約上の出来高になるとは限りません。施工数量と精算数量を区別します。
不良土撤去については、設計範囲内の撤去量、承認された追加撤去量、施工上の都合による余分な掘削量を分けます。良質土置換に ついても、設計対象量、承認された追加量、余盛りや仮設利用分を分けます。
数量計算書には、計算範囲、基準面、計測日、計算方法、使用したデータ、換算係数、除外対象を記載します。結果の数値だけでは、第三者が再確認できません。
撤去数量と置換数量を比較する収支表を作成する場合は、排水層、砕石、コンクリート、構造物、空隙など、差を構成する項目を整理します。
例えば、撤去空間が500立方メートル、良質土完成量が420立方メートルであれば、差の80立方メートルについて説明できる状態にします。排水層50立方メートル、基礎砕石30立方メートルであれば収支が対応します。
一方、差の原因が説明できない場合は、境界線、標高基準、重複計上、控除漏れ、仮置き在庫、伝票区分などを確認します。
施工写真は、数量計算の根拠を補強する資料として整理します。撤去前、撤去途中、撤去完了、排水材施工、良質土各層、完成の順に記録すると、空間がどの材料で埋められたか確認しやすくなります。
検査前には、図面上の範囲と実際の施工範囲、計算書上の数量と伝票集計、完成標高と設計標高を照合します。小さな不一致を放置すると、最終段階で複数の差が重なり、原因の特定が難しくなります。
まとめ
不良土撤去と良質土置換は、同じ施工範囲で連続して行われるため、一つの数量として扱われがちです。しかし、撤去量は施工前地盤面と撤去完了面の差、置換量は撤去完了面と置換完成面の差から求めます。基準面と土の状態が異なるため、両者は分けて計算する必要があります。
管理基準の一つ目は、撤去範囲と置換範囲の境界を別々に確定することです。二つ目は、地山、ほぐし、締固め後の土量状態を区別することです。三つ目は、過掘り、余掘り、不陸を実測して反映することです。
四つ目は、良質土の施工厚と締固め層数を管理することです。五つ目は、搬出入伝票と現地計測を別系統で集計し、同じ土量状態へ換算して照合することです。六つ目は、設計変更や施工変更の履歴を数量へ反映することです。
施工前地盤面、撤去完了面、置換途中面、置換完成面を適切な時点で記録すれば、数量差の原因を追跡しやすくなります。さらに、不良土の搬出量、良質土の搬入量、仮置き在庫、他材料の占有体積を区分することで、土量収支を明確にできます。
不良土撤去量と良質土置換量が一致しない場合でも、直ちに施工ミスとは判断できません。排水層や砕石の施工、締固めによる体積変化、過掘り、法面形状、完成標高の違いなどを確認する必要があります 。
重要なのは、すべての数量を一つの立方メートル表示でまとめるのではなく、何の状態を、どの範囲で、どの時点に計測した数量なのかを明確にすることです。撤去、搬出、搬入、敷均し、締固め、完成の各段階を分けて管理することで、材料不足や処分量超過を早期に把握でき、出来高確認や設計変更協議にも対応しやすくなります。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、
こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

