目次
• 積込場所に車両が集中する原因
• 待機順の乱れが切土・盛土管理へ与える影響
• 管理ツール導入前に 決める運用条件
• 機能1|車両受付と待機順の自動登録
• 機能2|到着予測による入場時刻の調整
• 機能3|混雑通知と待機場所への自動誘導
• 機能4|積込実績と運搬土量の自動記録
• 切土・盛土の体積計算と車両実績を照合する方法
• 車両台数から土量を計算するときの注意点
• 工区別・材料別に運搬実績を管理する方法
• 管理ツールを現場へ定着させる運用ルール
• 待機時間と積込能力を分析する改善手順
• LRTK Phoneで施工前後の土量を確認する方法
• まとめ
積込場所に車両が集中する原因
造成工事、道路工事、河川工事、宅地開発、基礎工事などでは、切土によって発生した土砂を場外へ搬出したり、別の工区へ運搬したりします。盛土工事では、購入土や場内流用土を複数の運搬車両で施工場所へ届けることもあります。このとき、積込機械の処理能力を超える数の車両が短時間に到着すると、積込場所の周辺に長い待機列が発生します。
車両集中が起きる代表的な原因は、配車計画を一日の総台数だけで決めていることです。たとえば、一日に必要な運搬回数を満たすために十分な台数を確保していても、各車両の到着時刻が調整されていなければ、朝礼直後や休憩終了後に車両が集中します。積込機械が一度に対応できる車両は基本的に一台であるため、到着台数が処理台数を上回ると、待機時間 は急速に長くなります。
運搬経路の違いも集中の原因になります。搬出先までの距離が同程度であっても、信号、交差点、交通量、道路幅、右左折の回数、搬出先での受付時間などによって往復時間は変わります。当初は一定間隔で積込場所へ戻る予定だった車両が、道路状況や荷下ろし待ちの影響でまとまって帰着することがあります。
積込作業そのものに時間差が生じることもあります。掘削対象が均質な土砂であれば、比較的一定の時間で積み込めます。しかし、粘性土が荷台へ付着する場合、大きな土塊や転石を含む場合、湧水によって掘削面が軟弱になった場合などは、一台当たりの積込時間が長くなります。法面付近や構造物周辺では慎重な作業が求められるため、通常時と同じ処理能力を維持できないこともあります。
待機順を口頭連絡や運転者同士の判断に任せている現場では、先着順が崩れやすくなります。現場入口へ先に着いた車両、指定待機場所へ先に入った車両、受付担当者へ先に連絡した車両のうち、どれを先着とする のかが明確でなければ、順番に対する認識が食い違います。積込場所が見えにくい現場では、呼び出された車両が進入中なのか、まだ待機しているのかも分かりにくくなります。
さらに、場内運搬車両と場外搬出車両が同じ積込場所を使用すると、優先順位が複雑になります。単純な先着順では施工工程に支障が出る場合がありますが、担当者がその場の判断で順番を頻繁に変更すると、運転者から見て不公平な運用に映る可能性があります。
車両集中を防ぐには、総台数を減らすだけでは不十分です。受付時刻、待機順、積込開始時刻、積込完了時刻、退出時刻、次回到着予定を一つの流れとして管理し、積込場所の処理能力に合わせて車両を動かす必要があります。
待機順の乱れが切土・盛土管理へ与える影響
積込場所の待機順は、安全や交通整理だけでなく、切土・盛土の体積計算や運搬実績の管理にも影響します。車両ごとの受付、積込、搬出、荷下ろしの履歴が曖昧であれば、計測した土量と実際の運搬量を正確に照合できません。
切土量を求める方法には、施工前後の地形データを比較する方法、横断面を一定間隔で作成して断面積から求める方法、対象範囲を格子状に分けて高低差を積算する方法などがあります。これらの方法で算出する切土体積は、掘削前の地山状態を基準とすることが一般的です。
一方、運搬車両へ積み込まれた土砂は、掘削によってほぐれた状態です。地山から掘り起こされた土砂には空隙が生じるため、同じ土砂であっても地山状態と運搬時では体積が異なる場合があります。そのため、車両台数に一台当たりの想定積載量を掛けた値と、施工前後の計測から求めた切土体積が一致するとは限りません。
待機順が混乱すると、同じ車両が二重に受付されることがあります。反対に、受付を行わず積込場所へ入った車両があれば、実際には搬出しているにもかかわらず運搬回数へ反映されません。受付後に運行 を中止した車両が積込済みとして残ることもあります。
こうした記録のずれは、切土量の確認時に問題になります。計測結果より車両換算量が多い場合、土砂の体積変化による差なのか、車両記録の重複なのか、別工区の土砂が含まれたのかを判断しにくくなります。計測結果より車両換算量が少ない場合も、受付漏れ、場内仮置き、場内流用など複数の原因が考えられます。
盛土工事でも同様です。荷台上の土砂体積と、敷きならし後の体積、締固め後の完成体積は同じではありません。車両の搬入台数だけを盛土体積として扱うと、締固めによる体積変化や施工基盤への押込みを考慮できません。
また、どの車両がどの盛土区画へ材料を運んだか記録されていなければ、区画別の施工実績を追跡できません。現場全体では予定台数を満たしていても、一部の区画で搬入不足が生じている可能性があります。材料区分を誤って荷下ろしした場合も、車両履歴がなければ原因の特定に時間がかかります。
積込場所の待機順を整理する管理ツールは、単に車両を順番に並べるためのものではありません。受付から積込完了までの履歴を土量情報と関連付けることで、切土量、搬出量、場内流用量、盛土量を確認するための基礎資料を作る役割があります。
管理ツール導入前に決める運用条件
管理ツールを導入する前に、現場で何を受付とみなすかを決める必要があります。現場入口への到着、指定待機場所への到着、運転者による到着操作、受付担当者による確認など、複数の基準が混在すると、正しい待機順を作れません。
公道に面した現場では、入口前への到着を受付基準にすると、公道上で車両が待機する原因になります。車両を安全に収容できる場外待機場所や場内受付地点を設け、その地点へ到着した時刻を基準とする運用が必要です。
次に、待機順の決定方法を明確にします。原則として受付時刻順にするのか、積込対象や搬出先によって待機列を分けるのか、特定の車両へ優先条件を設定するのかを決めます。
複数の積込場所がある現場では、すべての車両を一つの待機列へ並べると効率が低下します。表土を積み込む場所、再利用土を積み込む場所、場外処分土を積み込む場所などが分かれている場合は、受付時に運搬目的を登録し、対応する待機列へ自動的に振り分ける必要があります。
優先車両を設定する場合は、その理由を限定します。搬出先の受入時間が決まっている車両、工程上の緊急性が高い車両、特定材料専用の車両などが考えられます。ただし、担当者の判断だけで優先順位を頻繁に変更すると、自動整理の効果が薄れます。優先条件を事前に定義し、変更理由を記録することが大切です。
積込場所の処理能力も把握します。一台当たりの積込作業が平均六分であれば、計算上は一時間に十台を処理できます。しかし、実際には車両の入替、誘導、荷台確認、飛散防止措置、積込機械の小移動などが必要です。平均積込時間だけでなく、積込場所への進入から退出までの時間を測る必要があります。
処理能力を最大値で見積もるのも避けるべきです。通常時に一時間十台を処理できても、土質の変化や掘削位置の移動によって一時間七台程度へ低下することがあります。最大能力に合わせて配車すると、小さな遅れが後続車両へ連鎖し、長い待機列につながります。
通信環境も確認します。山間部、谷部、地下掘削部などでは通信が不安定になる可能性があります。通信が切れるたびに受付や呼出が止まる仕組みでは、現場運用を継続できません。通信できないときの記録方法、復旧後の同期方法、手動で順番を補正する権限を決めておく必要があります。
管理ツールは、曖昧な現場ルールを自動的に解決するものではありません。受付地点、待機場所、順番の基準、処理能力、優先条件、通信障害時の対応を決 めたうえで、それらを正確に運用するために使用します。
機能1|車両受付と待機順の自動登録
一つ目の機能は、到着した車両を受付し、待機順へ自動登録する機能です。受付時刻が自動で記録されれば、手書きによる時刻の記入漏れや読み間違いを減らせます。
受付情報には、車両を識別する情報、運搬会社、積込場所、土砂区分、搬出先または荷下ろし先、予定積載量などを登録します。毎回変わらない情報は事前に登録し、当日は運搬対象や行き先だけを選択できるようにすると、入力の負担を抑えられます。
切土現場では、表土、普通土、軟岩、混合土、場内流用土、場外搬出土などを分けて管理することがあります。受付時に土砂区分を登録しておけば、積込担当者が対象を確認しやすくなり、異なる材料を同じ車両へ誤って積み込むリスクを抑えられます。
盛土現場では、路体、路床、埋戻し、置換、仮設道路など、使用場所によって材料を分ける場合があります。荷下ろし先を受付情報へひも付ければ、車両を正しい施工区画へ誘導しやすくなります。
待機順の画面では、単に車両番号を並べるだけでなく、受付済み、呼出済み、進入中、積込中、積込完了、退出済みといった状態を表示できることが重要です。呼び出した車両がどこにいるか分からなければ、次の車両を進入させる判断が遅れます。
同じ車両が短時間に複数回登録されたときに、重複を警告する機能も必要です。運転者と受付担当者がそれぞれ登録した場合や、通信が遅れて操作を繰り返した場合でも、二重計上を防ぎやすくなります。
受付を取り消した車両については、記録を削除するのではなく、取消状態として残します。なぜ取り消したのか、積込前だったのか、 途中で運行を中止したのかを確認できれば、日報の台数と受付台数が一致しない原因を追跡できます。
待機順の自動登録は、先着順を機械的に作るだけの機能ではありません。積込場所、土砂区分、搬出先、優先条件などを基に、車両を適切な待機列へ振り分けることが重要です。
機能2|到着予測による入場時刻の調整
二つ目の機能は、車両の到着予定時刻を予測し、積込場所へ向かう時刻を調整する機能です。車両が到着してから順番を整理するだけでは、すでに発生した混雑へ対応することしかできません。車両集中そのものを防ぐには、到着前の段階で間隔を整える必要があります。
到着予測には、積込場所からの出発時刻、搬出先までの移動時間、受付時間、荷下ろし時間、帰路の所要時間などを使用します。過去の運行履歴が蓄積されれば、経路別、時間帯別、曜日別の傾向を反映できま す。
複数の車両が同じ時間帯に戻ると予測された場合は、指定待機場所での時間調整や、搬出先からの出発時刻変更を通知します。積込場所の直前に到着してから待たせるのではなく、安全に停車できる地点で間隔を調整することが大切です。
公道上での待機は、周辺交通の妨げや事故の原因になります。到着予測を利用する場合は、場外待機場所、搬出先の待機区域、休憩場所、十分な広さがある構内など、停車可能な地点を事前に決めておきます。
積込機械の稼働予定とも連携させます。給油、点検、作業場所の移動、掘削面の整形、障害物の撤去などで積込を停止する場合、その時間帯に車両を到着させないようにします。
切土工事では、掘削が進むにつれて積込位置が変わります。掘削機械と車両の距離が離れたり、旋回範囲が狭くなったりす ると、処理能力が低下します。管理ツール上で一時的に積込可能台数を下げれば、現場の能力に合わせて到着台数を調整できます。
盛土工事では、荷下ろし場所や敷きならし範囲の変更によって、車両の場内滞在時間が長くなることがあります。積込場所だけでなく荷下ろし側の処理能力も考慮しなければ、搬入車両が施工区画内で滞留します。
到着予測は、一分単位で正確な時刻を当てることが目的ではありません。早着や遅延を含めた時間帯として捉え、同じ時間に多数の車両が集中する傾向を事前に把握するために利用します。
機能3|混雑通知と待機場所への自動誘導
三つ目の機能は、積込場所の混雑状況を関係者へ通知し、車両を適切な待機場所へ誘導する機能です。待機順が整理されていても、運転者が現在の状況を確認できなければ、予定より早く現場へ向かう可能性があります。
通知には、自車の待機順位、推定待ち時間、呼出予定、積込機械の稼働状態、進入先などを表示します。運転中の画面操作は避け、停車中に確認する運用を徹底します。通知内容は簡潔にし、呼出、待機継続、進入停止など、取るべき行動を明確にします。
現場入口へ到着した車両には、積込位置へ直接進むのか、場内待機場所へ入るのか、場外で待機を続けるのかを案内します。積込場所が複数ある場合は、受付情報に基づいて適切な進入路を示します。
車両誘導では、単に距離が短い経路を選ぶのではなく、安全上の制約を優先します。重機の旋回範囲、歩行者動線、軟弱な路肩、幅員不足、急勾配、架空線、後退が必要な区間などを確認し、通行可能な経路だけを使用します。
入場車両と退出車両が同じ経路を使用する場合は、両者が向かい合わないよ うに進入時刻を調整します。狭い場内道路では、待機順だけを管理しても、退出車両との交錯によって渋滞が発生することがあります。
積込機械の操作者や誘導員にも、次に進入する車両の情報を共有します。車両の大きさ、積込対象、搬出先などを事前に確認できれば、掘削位置や積込方法を準備しやすくなります。車両が積込位置へ到着してから材料を確認する時間を減らせるため、一台当たりの処理時間の短縮につながります。
混雑状況を段階で表示する場合は、各段階の意味と行動を統一します。待機なし、入場調整中、積込停止中といった状態を区別し、それぞれで車両がどこに待機するかを決めます。
通知を多く送りすぎると、重要な情報が埋もれます。運転者には自車の行動に関係する内容を中心に伝え、現場管理者には全体の待機台数や処理能力を表示するなど、利用者ごとに情報を分けることが有効です。
機能4|積込実績と運搬土量の自動記録
四つ目の機能は、車両ごとの積込実績を記録し、切土・盛土の体積管理に利用できる形で保存する機能です。待機時間を減らすだけでなく、どの車両が、どの土砂を、いつ、どこへ運んだかを残せることが重要です。
記録する内容には、受付時刻、呼出時刻、積込開始時刻、積込完了時刻、退出時刻、車両識別情報、積込場所、土砂区分、搬出先、荷下ろし先などがあります。必要に応じて、施工区画、積込を担当した機械、天候なども関連付けます。
車両の想定積載量を登録しておけば、運搬回数との掛け合わせによって概算土量を算出できます。ただし、想定積載量と実際の積載量が毎回一致するわけではありません。土質、含水状態、荷台への付着、積み方、空隙、飛散防止条件などによって変化します。
そのため、車両実績から求める運搬量は概算値として扱い、施工前後の計測から求める切土・盛土体積と区別します。車両記録は、搬出入の流れを確認し、計測結果に大きな異常がないかを検証する資料として有効です。
積込実績を記録すると、一台当たりの平均積込時間や時間帯別の処理台数も確認できます。午前中は一台六分だったものが午後は九分になった場合、掘削対象の変化、積込位置の移動、重機動線の交錯などが考えられます。
待機時間だけを見ていると、車両台数が多すぎるように見えることがあります。しかし、積込時間を分析すると、特定の工区へ移動した後に処理能力が低下していることが分かる場合があります。車両台数を減らす前に、積込位置や場内動線を見直すべきケースもあります。
盛土現場では、荷下ろし先の区画を記録することで、区画別の搬入実績を把握できます。完成形状の計測で盛土不足が見つかった場合、搬入台数が不足していたのか、別区画へ荷下ろししたのか、敷きならし範囲が計画と異なったのかを確認しやすくなります。
記録を修正できる仕組みも必要ですが、修正前の値を消去してはいけません。誰が、いつ、どの項目を、どのような理由で修正したかを残せば、日報や出来高を確認するときの信頼性が高まります。
切土・盛土の体積計算と車両実績を照合する方法
切土・盛土の体積計算と車両実績を照合する際は、最初に比較する土量の状態を確認します。掘削前の地山体積、掘削後のほぐれた体積、荷台上の体積、締固め後の盛土体積は、それぞれ条件が異なります。
施工前後の地形データを比較する場合は、同じ座標基準、標高基準、対象範囲を使用します。施工前の地表面と施工後の地表面の高低差を求め、その差を対象面積全体で積算することで、切土量と盛土量を計算できます。
計算方法には、横断面法、格子状に区切る方法、三角形で構成した地形面を比較する方法などがあります。どの方法を採用する場合でも、施工前後で計算条件をそろえることが重要です。
車両実績から概算する場合は、車両ごとの想定積載量と実運搬回数を掛け合わせます。車両の大きさが異なる場合は、すべてを同じ積載量として計算せず、車両区分ごとに集計します。
計測結果と車両換算量に差があっても、直ちにどちらかが誤っているとは判断できません。まず確認するのは対象範囲です。計測体積には場内仮置きや法面整形で移動した土砂が含まれていても、車両記録には場外へ搬出した土砂しか含まれていない場合があります。
次に、土砂の状態を確認します。掘削前の地山と、荷台上のほぐれた土砂は同じ体積にならない可能性があります。盛土では、敷きならし後と締固め後でも体積が変化します。
表土除去、余掘り、床掘り、排水溝、構造物部分、砕石層などの扱いも確認します。体積計算では含めていても、車両実績では別工種として集計している場合があります。
工区をまたいだ土砂移動にも注意が必要です。ある工区で掘削した土砂を別工区の盛土へ流用した場合、現場全体では収支が合っていても、工区別には切土量と搬出台数が一致しません。積込場所と荷下ろし先を関連付けて記録することが重要です。
日付の区切りもそろえます。夜間作業や日をまたぐ運搬がある場合、積込日と荷下ろし日が異なる可能性があります。計測日と運搬記録の対象期間を合わせなければ、正しい比較ができません。
車両実績は体積計算の代わりではありません。三次元計測、横断測量、施工日報、車両記録、搬出先の受入記録などを相互に照合し、差の原因を確 認するための資料として活用します。
車両台数から土量を計算するときの注意点
車両台数から土量を計算する方法は、日々の進捗を概算するうえで便利です。基本的には、一台当たりの想定積載量に運搬回数を掛けて求めます。ただし、結果をそのまま確定数量として扱うことには注意が必要です。
最初に、一台当たりの積載量が何を表しているかを確認します。荷台の容積、車両の積載能力、実際に積み込んだ土砂量は同じではありません。荷台に空隙があれば容積いっぱいの土量にはならず、土砂の密度や含水状態によって積載可能な量も変わります。
土砂が荷台中央に山状に積まれている場合、見た目だけで一定量と判断することは困難です。積込機械のバケット回数をそろえても、一回当たりの充填状態が異なれば実際の土量は変わります。
粘性土では荷台に土砂が付着し、荷下ろし後も一部が残ることがあります。次の積込時に残土が含まれた状態で積み込むと、一回ごとの実運搬量にばらつきが生じます。含水量が大きい土砂では、質量制限によって容積いっぱいまで積めないこともあります。
車両換算量を利用する場合は、一律の積載量を長期間使い続けるのではなく、土質や運搬条件が変わった時点で見直します。掘削区画が変わり、普通土から粘性土へ移行した場合などは、同じ車両台数でも運搬土量が変化する可能性があります。
施工前後の計測結果と一定期間ごとに照合し、車両換算値がどの程度の差で推移しているかを確認します。一日のみの差では、仮置きや日をまたぐ運搬の影響を受けやすいため、複数日をまとめて比較する方法が適しています。
盛土では、搬入時の車両換算量をそのまま完成盛土量としないことが 重要です。敷きならし、締固め、沈下などによって体積が変化します。完成形状を計測し、設計面との差を確認する必要があります。
工区別・材料別に運搬実績を管理する方法
現場全体の車両台数だけを集計しても、どの工区でどれだけ土砂が動いたかは分かりません。切土・盛土の体積計算と照合するためには、工区別、材料別、搬出先別に運搬実績を分ける必要があります。
切土側では、積込位置を工区や施工区画に分けます。車両受付時に積込場所を登録し、積込完了時にも実際の場所を確認します。施工中に積込位置が変更された場合は、受付時の予定だけでなく実績側を修正します。
材料区分も統一します。同じ土砂を担当者によって異なる名称で登録すると、集計時に別材料として扱われます。現場で使用する分類を事前に決め、入力候補から選択できるようにします。
盛土側では、荷下ろし先の区画を記録します。路体、路床、埋戻しなどの用途に加え、施工層や施工範囲を識別できれば、区画ごとの搬入実績を確認しやすくなります。
場内流用土については、切土側と盛土側の両方を記録します。どこから掘削し、どこへ運んだかを関連付けることで、場内の土量移動を把握できます。場外搬出量だけを管理していると、計測した切土量との差が大きくなった理由を説明できません。
仮置き土も区別します。切土した当日に盛土へ使用せず、仮置き場へ運んだ場合は、その時点で切土側の移動実績には含まれますが、盛土施工量には含まれません。後日、仮置き場から盛土区画へ再運搬したときに、同じ土砂を新たな発生土として二重計上しないよう注意します。
工区別の集計では、日報の作業範囲と計測範囲を合わせます。計測 範囲が工区境界をまたいでいる場合は、車両実績も同じ範囲へ合わせるか、地形データを工区ごとに分割します。
管理単位を細かくしすぎると、入力負担が増えて記録漏れにつながります。体積計算や出来高確認に必要な単位を見極め、追跡可能性と操作性のバランスを取ることが大切です。
管理ツールを現場へ定着させる運用ルール
管理ツールを導入しても、担当者ごとに操作方法が異なれば正しいデータは蓄積されません。受付、呼出、積込開始、積込完了、退出の各操作を誰が行うか決めます。
運転者が受付操作を行い、積込担当者が積込完了を登録するなど、役割を分ける方法があります。すべての操作を一人の受付担当者へ集中させると、繁忙時間帯に記録が遅れる可能性があります。一方で、多くの人が自由に操作できると重複や誤変更が増えます。
操作項目は必要最小限にします。車両情報や所属会社など、事前登録できる内容を毎回入力させる必要はありません。当日に変わる積込場所、材料区分、搬出先などを選択する方式にすると、受付時間を短縮できます。
順番を変更できる担当者も限定します。車両故障、搬出先の受入停止、積込機械の不調など、変更が必要な場面はありますが、誰でも自由に順番を動かせる状態は避けます。変更理由を記録し、関係者へ通知します。
通信障害時の運用も準備します。簡易的な受付表へ車両番号と時刻を記録し、復旧後にまとめて入力できるようにします。障害中の記録と復旧後の自動記録が重複しないよう、対象時間帯を確認します。
運転者には、呼出前に積込場所へ進入しないこと、指定された待機場所を使用すること、運転中に画面操作をしないこと、通知を確認できない場合の 連絡方法を説明します。
導入当初は、一つの積込場所や一つの運搬班で試行すると運用上の問題を見つけやすくなります。受付漏れ、通知の遅れ、待機場所の不足、進入経路の交錯などを確認し、設定を修正してから対象を広げます。
作業終了後には、受付台数、積込完了台数、取消台数、平均待機時間、最大待機時間を確認します。受付台数と積込完了台数が一致しない場合は、操作漏れや運行中止の記録を確認します。
待機時間と積込能力を分析する改善手順
管理ツールに記録が蓄積されたら、待機時間を減らすための分析を行います。最初に確認するのは、時間帯別の到着台数と積込完了台数です。
特定の時間帯だけ到着台数が大きくなる場合は、運行開始時刻や休憩終了時刻がそろっている可能性があります。車両ごとに出発時刻をずらし、積込場所へ戻る時間を分散させます。
次に、一台当たりの積込時間を確認します。積込時間が長くなった時間帯では、土質、掘削位置、機械配置、車両動線などに変化がなかったかを調べます。
積込機械の能力だけでなく、車両の入替時間も重要です。積込自体は短時間でも、後退誘導や方向転換に時間がかかっていれば、処理台数は増えません。進入と退出を一方通行にできないか、待機位置を積込場所へ近づけられないかを検討します。
車両の往復時間も分析します。同じ経路で大きな差がある場合は、搬出先での待機や道路混雑が影響している可能性があります。ただし、運転者へ無理な時間短縮を求めるのではなく、安全運行を前提に配車間隔を現実の所要時間へ合わせます。
待機時間をゼロにするために車両台数を減らしすぎると、積込機械が車両待ちになる可能性があります。反対に、積込機械を止めないために多数の車両を配置すると、運転者の拘束時間や場内リスクが増えます。
評価するときは、積込機械の待機時間、車両の待機時間、一時間当たりの運搬量、場内滞留台数を組み合わせます。現場全体で最も効率が良く、安全な台数を探ることが重要です。
切土・盛土の進捗も確認します。車両の回転数が高くても、予定範囲の掘削や盛土が進んでいなければ、必要な場所とは異なる土砂を動かしている可能性があります。車両実績と地形変化を合わせて確認することで、数量だけでなく施工成果を評価できます。
LRTK Phoneで施工前後の土量を確認する方法
車両管理ツールを使えば、 運搬回数や待機時間を整理できます。しかし、実際に現場からどれだけの土砂が掘削され、どの程度の盛土が完成したかを確認するには、施工前後の地形を計測する必要があります。
LRTK Phoneを活用して現場の位置や形状を計測すれば、切土・盛土の体積を確認するための三次元データを取得できます。施工前の現況地形を記録し、施工後に同じ範囲を再計測することで、地形面の差から土量を把握できます。
計測では、施工前後で同じ座標基準と標高基準を使用することが重要です。位置がずれた状態で二つの地形を比較すると、実際には変化していない場所にも高低差が発生します。
対象範囲の境界もそろえます。施工前は広い範囲を計測し、施工後は掘削部だけを計測した場合、そのままでは正しい比較ができません。工区境界や施工範囲を基準に、同じ外周で切り出します。
計測時に存在する車両、重機、資材、仮設物などは、土量計算へ影響する可能性があります。できるだけ対象物が少ない時間帯に計測し、含めない対象の処理方法を統一します。
切土現場では、施工前地形と掘削後地形を比較し、低くなった部分の体積を確認します。盛土現場では、基盤面と施工後の仕上がり面を比較し、高くなった部分の体積を確認します。
車両管理ツールに記録された運搬回数と、LRTK Phoneによる計測結果を日付や工区ごとに照合すれば、差の原因を確認しやすくなります。
切土体積に対して場外搬出台数が少ない場合は、場内流用や仮置きの有無を確認します。搬出台数から想定される量が切土体積より大きい場合は、表土や別工区の土砂が含まれていないか、受付が重複していないかを確認します。

