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膨張率・収縮率を反映した切土・盛土量の計算6手順

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

• 膨張率・収縮率を土量計算へ反映する理由

• 切土・盛土計算で区別する3種類の土量

• 手順1 計算対象範囲と基準面を確定する

• 手順2 地山状態の切土量と締固め後の盛土量を算出する

• 手順3 土質ごとに膨張率・収縮率を設定する

• 手順4 切土量をほぐし土量と利用可能盛土量へ換算する

• 手順5 盛土に必要な地山土量と運搬土量を逆算する

• 手順6 土量収支と搬出入量を区間別に集計する

• 膨張率・収縮率を使った切土・盛土量の計算例

• 計算結果が合わないときに確認したいポイント

• 土質が混在する現場での集計方法

• 設計段階と施工段階で計算値を更新する方法

• 現場計測と土量管理を効率化する考え方

• まとめ


膨張率・収縮率を土量計算へ反映する理由

切土と盛土の体積を計算するときは、地形データから求めた体積をそのまま差し引くだけでは、実際の搬出入量や盛土可能量を正しく把握できないことがあります。土は掘削すると空隙が増えて体積が大きくなり、盛土として敷きならして締め固めると体積が小さくなるためです。


掘削前の地山状態、掘削後のほぐれた状態、締固め後の状態では、同じ土でも体積が異なります。この変化を考慮するために使用するのが膨張率と収縮率です。膨張率は、地山を掘削したときに体積がどの程度増えるかを示します。収縮率は、地山状態の土を盛土として締め固めたときに、体積がどの程度小さくなるかを示します。


たとえば、地山状態で1,000立方メートルの土を掘削し、膨張率を20%とした場合、運搬時のほぐし土量は1,200立方メートルになります。一方、収縮率を10%とした場合、その土を盛土に使用して締め固めた後の体積は900立方メートルです。同じ土を扱っていても、計算の段階によって300立方メートルの差が生じます。


この違いを考慮せず、切土量1,000立方メートルと盛土量1,000立方メートルを同量として扱うと、盛土材が不足する可能性があります。また、搬出車両の台数や仮置き場の容量を地山土量だけで計画すると、実際には想定以上のスペースや運搬回数が必要になることもあります。


切土・盛土の体積計算では、単に体積を求めるだけでなく、その体積がどの状態を表しているのかを明確にすることが重要です。地山土量、ほぐし土量、締固め後土量を区別し、適切な膨張率・収縮率で換算することで、土量収支、運搬計画、仮置き計画、工程計画を現実に近づけられます。


ただし、膨張率や収縮率は土質、含水状態、掘削方法、締固め方法、締固め度、施工機械などによって変化します。土質名だけを見て一律の数値を当てはめるのではなく、設計図書、現地調査、土質試験、試験施工、過去の施工実績などを踏まえて設定する必要があります。


切土・盛土計算で区別する3種類の土量

膨張率・収縮率を反映した計算を行うには、最初に3種類の土量を区別します。それが地山土量、ほぐし土量、締固め後土量です。


地山土量は、掘削前の自然な状態で存在している土の体積です。現況地盤面と計画面の差から算出する切土量は、通常、この地山土量として扱います。測量データや地形モデルから求めた切土体積も、特別な換算をしていない限りは地山状態の体積です。


ほぐし土量は、地山を掘削して土粒子の配列が乱れ、空隙が増えた状態の体積です。掘削した土をダンプトラックなどで運搬するときの積載量、仮置き場で必要となる容量、掘削土を一時保管するヤードの規模を検討するときに関係します。


締固め後土量は、盛土材を敷きならし、所定の方法で締め固めた後の完成形に近い体積です。計画地盤面と現況地盤面の差から算出する盛土量は、一般に締固め後の完成体積として取り扱います。


この3種類の土量は、同じ単位である立方メートルを使用するため、集計表では混同しやすくなります。数字の横に単位だけを記載しても、それが地山状態なのか、ほぐし状態なのか、締固め後なのかは分かりません。そのため、土量集計では「地山立方メートル」「ほぐし立方メートル」「締固め立方メートル」のように、状態が分かる名称を付けて管理することが大切です。


膨張率を小数で表した値をr、収縮率を小数で表した値をsとすると、地山土量Vbからほぐし土量Vlを求める基本式は、Vl=Vb×(1+r)です。地山土量Vbから締固め後土量Vcを求める基本式は、Vc=Vb×(1-s)です。


膨張率20%であればrは0.20、収縮率8%であればsは0.08です。地山土量が1,000立方メートルの場合、ほぐし土量は1,000×1.20で1,200立方メートル、締固め後土量は1,000×0.92で920立方メートルとなります。


ここで注意したいのは、膨張率・収縮率の名称や計算方法が、資料や組織によって異なる場合があることです。割合ではなく換算係数として示されていることもあります。たとえば、膨張後の体積を地山体積で割った1.20という数値が、そのまま膨張係数として示される場合があります。


収縮についても、地山体積に対する減少率として8%と示す方法と、締固め後体積を地山体積で割った0.92を換算係数として示す方法があります。数値の意味を確認せずに式へ代入すると、結果が大きくずれるため、採用する資料の定義を必ず確認します。


手順1 計算対象範囲と基準面を確定する

最初の手順は、切土・盛土量を計算する範囲と、体積比較に使用する基準面を確定することです。膨張率や収縮率を正しく設定しても、計算範囲や面データが誤っていれば、結果は正しくなりません。


切土・盛土の体積は、基本的に現況地盤面と計画地盤面の高低差から求めます。現況地盤面より計画地盤面が低い部分は切土、現況地盤面より計画地盤面が高い部分は盛土です。ただし、実務では工事区域全体を単純に比較するだけでは不十分な場合があります。


道路工事では、路床面、路盤面、舗装面など、どの高さを計画面として採用するかによって土工量が変わります。造成工事では、宅地仕上げ面を使うのか、表土や路盤を控除した土工仕上げ面を使うのかを決める必要があります。構造物周辺では、基礎掘削、床掘り、埋戻し、置換土などを一般土工と分けて計算することもあります。


計算範囲の境界も重要です。工区境、施工区画境、用地境、法肩、法尻、構造物外周などを基準に、どこまでを対象とするのかを明確にします。隣接工区と範囲が重複すると二重計上が発生し、反対に境界間に空白があれば計上漏れが生じます。


現況地盤データについては、測点の密度だけでなく、地形の変化を適切に表現できているかを確認します。法面、段差、側溝、擁壁、盛土端部などの変化点が不足していると、実際とは異なる滑らかな地形面が作られ、体積に誤差が生じます。樹木や資材、車両、仮設物などを地表面として取り込んでいないかも確認が必要です。


計画面については、設計変更や施工条件の更新が反映されているかを確認します。古い計画面を使ったまま計算すると、数式や換算率が正しくても、現在の施工内容とは一致しません。データの作成日、改訂番号、座標系、標高基準、単位を記録し、計算に使用した面を後から追跡できる状態にしておきます。


また、表土剥ぎ、軟弱土の除去、地盤改良、路盤材、構造物体積などをどの段階で控除または加算するのかを決めておきます。これらを後から追加すると、膨張率・収縮率の適用対象が曖昧になりやすいためです。


この段階では、体積を求める対象を「掘削される地山」「盛土として完成する部分」「構造物や材料によって置き換えられる部分」に分けます。計算対象を整理してから体積を算出することで、後工程の換算が分かりやすくなります。


手順2 地山状態の切土量と締固め後の盛土量を算出する

対象範囲と基準面を確定したら、現況地盤面と計画面を比較し、切土量と盛土量を算出します。この時点では、切土量を地山状態、盛土量を締固め後の完成状態として整理します。


切土量は、現況地盤面が計画面より高い部分の体積です。掘削前の地形から求めるため、地山土量として扱います。盛土量は、計画面が現況地盤面より高い部分の体積であり、施工後に確保すべき完成体積として扱います。


体積計算には、平均断面法、メッシュ法、三角網による地形面比較など、さまざまな方法があります。どの方法を使用する場合でも、計算間隔や地形の表現精度が結果に影響します。地形変化が急な箇所では、断面間隔やメッシュ寸法を細かくし、境界付近の形状を適切に反映させる必要があります。


平均断面法では、隣接する測点や測線の断面積を平均し、その間の距離を掛けて体積を求めます。線状に延びる道路や水路などでは扱いやすい方法ですが、断面間で地形が大きく変化する場合には、測点を追加する必要があります。


メッシュ法では、対象範囲を一定寸法の格子に分け、各格子内の平均高低差から切土・盛土量を求めます。計算手順を統一しやすい一方、メッシュが粗すぎると小さな起伏や境界形状を捉えられません。


地形面同士を比較する方法では、現況面と計画面を立体的な面として作成し、その間の体積を求めます。複雑な地形にも対応しやすい方法ですが、面の穴、異常な三角形、重複点、外れ値などが残っていると、局所的に大きな誤差が発生することがあります。


算出した切土量と盛土量は、まだ直接比較しません。切土は地山土量、盛土は締固め後土量であり、状態が異なるためです。たとえば切土が5,000立方メートル、盛土が4,800立方メートルであっても、単純に200立方メートル余るとは限りません。


収縮率が設定されている場合、地山状態で5,000立方メートルの切土を盛土へ転用しても、締固め後に5,000立方メートルの盛土を形成できるわけではありません。収縮率8%なら、利用可能な締固め後土量は4,600立方メートルです。この場合、盛土量4,800立方メートルに対して200立方メートル不足します。


したがって、この手順では切土量と盛土量を別々に確定し、それぞれの状態を明記します。切土欄には地山土量、盛土欄には締固め後土量と記載し、換算前の基礎数量として保存しておきます。


手順3 土質ごとに膨張率・収縮率を設定する

切土量と盛土量を算出した後は、土質ごとに膨張率と収縮率を設定します。ここで一つの現場に一つの率だけを設定すると、土質の違いが大きい現場では土量収支が実態から外れることがあります。


砂質土、粘性土、礫質土、岩塊を含む土、改良土などでは、掘削後の体積変化や締固め後の密度が異なります。同じ土質分類であっても、含水状態や締固め条件によって結果は変わります。したがって、率の設定は土質名だけで機械的に決めるのではなく、現場条件と合わせて判断します。


膨張率は、掘削前の地山土量に対して、掘削後のほぐし土量が何%増えるかを示します。地山土量がVb、膨張率がrの場合、ほぐし土量VlはVb×(1+r)で求めます。


収縮率は、地山土量に対して、締固め後の体積が何%減るかを示します。地山土量がVb、収縮率がsの場合、締固め後土量VcはVb×(1-s)で求めます。


ただし、実務で受け取る資料には「土量変化率」「換算係数」「ほぐし率」「締固め率」など、異なる名称で数値が示される場合があります。たとえば1.20という数値が示されている場合、それが膨張率20%を表すのか、地山土量からほぐし土量への換算係数1.20を表すのかを確認します。


収縮についても、0.92という係数を掛ける形式と、8%を差し引く形式では、意味は同じでも入力方法が異なります。一方で、資料によっては締固め土量を基準に地山必要量を求める逆数の係数が示されていることもあります。係数の定義を確認せずに使用すると、掛け算と割り算を逆にしてしまうおそれがあります。


膨張率と収縮率の設定根拠としては、設計条件、土質調査結果、土質試験結果、試験施工、過去の類似工事の実績、掘削土の実測運搬量、締固め後の出来形などが考えられます。設計初期に十分な情報がない場合は暫定値を設定し、施工中の実績に基づいて更新する方法もあります。


設定値には根拠と適用範囲を記録します。「土質Aは膨張率20%、収縮率8%」と数値だけを書くのではなく、対象となる区間、土層、採用理由、確認日、改訂履歴を残します。これにより、設計変更や土質変更があったときに、どの数量を再計算すべきか判断しやすくなります。


切土の一部が盛土に適さない場合は、収縮率を設定する前に流用可能土と流用不可土を分けます。軟弱な土、異物を多く含む土、含水状態が施工条件に合わない土などを、すべて盛土へ転用できるものとして計算すると、実際の必要土量を過小評価する可能性があります。


流用率をuとする場合、地山切土量Vbのうち盛土へ利用できる地山土量はVb×uです。そのうえで収縮率を反映し、利用可能な締固め後土量をVb×u×(1-s)として求めます。流用率80%、収縮率8%なら、地山土量1,000立方メートルから得られる締固め後土量は736立方メートルです。


手順4 切土量をほぐし土量と利用可能盛土量へ換算する

膨張率・収縮率を設定したら、地山状態で算出した切土量を、運搬時のほぐし土量と、盛土へ転用した場合の締固め後土量へ換算します。


地山切土量をVb、膨張率をrとすると、掘削後のほぐし土量Vlは、Vl=Vb×(1+r)です。地山切土量が5,000立方メートル、膨張率が20%の場合、ほぐし土量は6,000立方メートルとなります。


この6,000立方メートルは、搬出車両の積載量、仮置き場の容量、土砂の場内移動量などを検討するときの基礎数量です。ただし、実際の車両台数を求める際には、車両ごとの積載条件、積み込み状態、過積載防止、運行条件などを別途考慮します。単純に荷台の容積だけで割った値が、そのまま必要台数になるとは限りません。


次に、切土を盛土へ流用した場合の利用可能量を求めます。収縮率をsとすると、締固め後土量Vcは、Vc=Vb×(1-s)です。地山切土量が5,000立方メートル、収縮率が8%の場合、締固め後土量は4,600立方メートルです。


切土の全量を流用できない場合は、流用率を掛けてから収縮率を反映します。流用率をuとすると、利用可能な締固め後土量は、Vc=Vb×u×(1-s)です。


たとえば地山切土量5,000立方メートルのうち、流用可能な割合が85%、収縮率が8%である場合、利用可能な締固め後土量は5,000×0.85×0.92で3,910立方メートルです。切土量だけを見ると5,000立方メートルありますが、実際に盛土へ使える完成体積は3,910立方メートルとなります。


流用不可土の搬出量についても、地山土量ではなくほぐし土量に換算して検討します。流用不可となる地山土量は5,000×0.15で750立方メートルです。膨張率20%を適用するなら、搬出時のほぐし土量は900立方メートルです。


場内で流用する土も、一度仮置きする場合はほぐし状態になります。そのため、盛土への利用可能量だけでなく、仮置き時の最大保管量も算出します。切土と盛土の施工時期が一致しない現場では、最終的な土量収支が均衡していても、工程途中で大規模な仮置きが必要になることがあります。


また、掘削後に選別、乾燥、混合、改良などを行う場合は、その工程で発生する土量変化や材料追加も考慮します。改良材などを混合した場合、完成する改良土の体積や質量は、元の掘削土だけから単純換算した値とは異なることがあります。設計条件や施工試験の結果に基づき、別の管理項目として扱います。


手順5 盛土に必要な地山土量と運搬土量を逆算する

盛土計画では、完成後に必要となる締固め後土量から、調達すべき地山土量と、実際に運搬するほぐし土量を逆算します。


締固め後に必要な盛土量をVc、収縮率をsとすると、必要な地山土量Vbは、Vb=Vc÷(1-s)です。盛土完成体積が4,800立方メートル、収縮率が8%の場合、必要な地山土量は4,800÷0.92で約5,217立方メートルです。


ここで4,800×1.08と計算すると5,184立方メートルとなりますが、これは正確な逆算ではありません。地山土量から8%収縮して4,800立方メートルになる数量を求めるためには、0.92で割る必要があります。割合を足す方法と係数で割る方法を混同しないことが重要です。


必要な地山土量を求めた後、膨張率を反映して運搬時のほぐし土量を計算します。必要地山土量が約5,217立方メートル、膨張率が20%の場合、運搬時のほぐし土量は約6,261立方メートルです。


つまり、完成後の盛土量4,800立方メートルを施工するために、約5,217立方メートルの地山土量を確保し、掘削後の状態では約6,261立方メートルを運搬する計画になります。


場内切土を使用する場合は、利用可能な地山土量を先に差し引きます。たとえば、場内で利用できる地山土量が5,000立方メートルで、必要地山土量が約5,217立方メートルなら、地山換算で約217立方メートルが不足します。


不足分を外部から搬入する場合、その搬入量をどの状態で契約・管理するのかを確認します。搬入元で地山状態を基準にするのか、車両へ積み込んだほぐし状態で管理するのか、現場で締め固めた完成状態で管理するのかによって、同じ数字でも意味が変わります。


搬入不足量217立方メートルを地山状態とし、膨張率20%を適用する場合、運搬時のほぐし土量は約261立方メートルです。この区別をせず、地山不足量217立方メートルをそのまま運搬数量として扱うと、必要な搬入計画と一致しない可能性があります。


盛土材の一部を異なる材料で構成する場合は、材料ごとに完成体積を分けて逆算します。一般盛土、路床、構造物背面、埋戻し、置換層などは、要求される材料特性や締固め条件が異なるためです。一つの収縮率ですべてを計算せず、用途別に整理します。


手順6 土量収支と搬出入量を区間別に集計する

最後の手順は、切土、盛土、場内流用、場外搬出、外部搬入、仮置きの各数量を区間別・土質別に集計することです。


土量収支を計算するときは、切土量と盛土量を同じ状態へそろえて比較します。一般的には、地山土量に統一する方法か、締固め後土量に統一する方法が分かりやすいでしょう。


地山土量で比較する場合は、盛土完成体積を収縮率で逆算し、必要地山土量へ換算します。切土地山土量から流用不可土を除き、必要地山土量との差を求めます。この差がプラスなら地山換算で余剰、マイナスなら不足です。


締固め後土量で比較する場合は、流用可能な切土地山土量へ収縮率を反映し、盛土完成体積と比較します。この方法では、場内切土から実際にどれだけの盛土を形成できるかが分かりやすくなります。


搬出入計画では、地山換算の余剰・不足を、さらに膨張率によってほぐし土量へ変換します。場外へ搬出する土量や外部から搬入する土量は、運搬時にはほぐし状態になるためです。


集計は工事全体の合計だけでなく、施工区間や施工時期ごとに行います。工事全体では切土と盛土が均衡していても、前半工程で盛土を先行する場合は、その時点では材料が不足します。反対に切土が先行する場合は、仮置き場所が必要です。


区間別に集計すると、近い場所で切土と盛土を組み合わせ、場内運搬距離を短縮できる可能性も見えてきます。ただし、土質や用途が適合していることが前提です。数量だけが一致していても、盛土材として使用できなければ流用できません。


土量集計には、元となる現況・計画体積、土質区分、膨張率、収縮率、流用率、地山換算量、ほぐし換算量、締固め後換算量、搬出量、搬入量を関連付けて記録します。数値を手入力で転記する場合は、換算前後の数量を取り違えないよう注意します。


また、端数処理の方法を統一します。区間ごとに小数点以下を丸めてから合計すると、全体を合計してから丸めた場合と結果が異なることがあります。計算途中では十分な桁数を保持し、最終集計時に所定の単位で丸める方法が適しています。


最終的な土量収支は、体積だけで完結するものではありません。施工順序、仮置き可能量、運搬経路、土質適合性、含水状態、締固め条件、構造物施工との取り合いなども合わせて確認し、実行可能な計画へまとめます。


膨張率・収縮率を使った切土・盛土量の計算例

具体例として、地形比較の結果、地山状態の切土量が5,000立方メートル、締固め後の盛土量が4,800立方メートルと算出された現場を考えます。切土はすべて盛土に利用できるものとし、膨張率を20%、収縮率を8%とします。


最初に、切土を掘削した後のほぐし土量を求めます。計算式は5,000×1.20で、結果は6,000立方メートルです。切土を一時的にすべて仮置きする場合、単純な体積計算上は6,000立方メートル相当のほぐし土を扱うことになります。


次に、切土5,000立方メートルから形成できる締固め後盛土量を求めます。計算式は5,000×0.92で、結果は4,600立方メートルです。


必要な盛土完成体積は4,800立方メートルなので、締固め後の状態では200立方メートル不足します。この時点で、切土5,000立方メートルから盛土4,800立方メートルを差し引き、200立方メートル余ると判断するのは誤りです。切土と盛土の状態が異なるためです。


不足する締固め後土量200立方メートルを、必要地山土量へ逆算します。200÷0.92で約217.4立方メートルです。したがって、地山換算で約217立方メートルの追加土量が必要です。


その追加土量を運搬時のほぐし土量へ換算すると、約217.4×1.20で約260.9立方メートルです。外部から搬入する数量をほぐし状態で管理する場合は、約261立方メートルが一つの計算上の目安になります。


同じ計算を盛土側からまとめて行うこともできます。盛土完成体積4,800立方メートルを収縮率8%で逆算すると、必要地山土量は約5,217.4立方メートルです。場内切土の地山土量5,000立方メートルとの差は約217.4立方メートルとなり、先ほどの結果と一致します。


さらに、盛土全量を外部から運搬すると仮定した場合のほぐし土量は、約5,217.4×1.20で約6,260.9立方メートルです。完成盛土4,800立方メートルに対し、運搬時には約6,261立方メートルの土を扱う計算になります。


実際の現場では、この計算に流用率を加えることがあります。切土5,000立方メートルのうち、盛土に使用できる割合が80%である場合、流用可能な地山土量は4,000立方メートルです。


この4,000立方メートルへ収縮率8%を反映すると、形成できる締固め後盛土量は3,680立方メートルです。必要盛土量4,800立方メートルとの差は1,120立方メートルとなります。


不足する締固め後土量1,120立方メートルを地山土量へ逆算すると、1,120÷0.92で約1,217.4立方メートルです。運搬時のほぐし土量は、約1,217.4×1.20で約1,460.9立方メートルとなります。


一方、流用できない地山土量は1,000立方メートルです。これを場外搬出する場合、ほぐし土量は1,000×1.20で1,200立方メートルです。つまり、この現場では約1,461立方メートルの搬入と、1,200立方メートルの搬出が同時に発生する可能性があります。


切土量と盛土量の合計だけを見ると、このような搬入・搬出の両方が必要になる状況を把握できません。土質ごとの流用可否と膨張率・収縮率を反映することが、実態に近い計画につながります。


計算結果が合わないときに確認したいポイント

設計段階の土量計算と、施工中の運搬実績や出来形計測が一致しない場合、まず確認したいのは土量の状態です。地山土量、ほぐし土量、締固め後土量のいずれを比較しているのかが一致していなければ、数字は合いません。


設計数量が地山状態である一方、施工実績が車両の運搬容積で記録されている場合、そのまま比較すると膨張分の差が生じます。また、完成後の出来形体積を地山切土量と直接比較すると、収縮分の差が生じます。


次に、膨張率や収縮率の定義を確認します。20%という数値を1.20倍と解釈すべきところで、0.20倍としていないかを確認します。収縮率8%についても、0.92を掛ける計算と、0.92で割る逆算を正しく使い分ける必要があります。


地形データの範囲や計画面も確認します。現況計測後に表土剥ぎや先行掘削が行われていれば、設計時の現況面と施工時点の地盤面は一致しません。計画面に路盤厚や構造物体積が含まれているかどうかによっても、土工量は変わります。


切土の流用率も差の原因になります。計算上は全量を流用する前提でも、実際には含水状態、異物混入、土質不良、材料区分などによって、使用できない土が発生することがあります。反対に、当初は搬出予定だった土を別区間で利用できることもあります。


運搬車両の記録を体積へ換算する際は、荷台容量と実際の積載状態が常に一致するとは限らない点に注意します。積載量を車両台数だけで推定すると、積み込み量のばらつきが累積します。可能であれば、質量記録、現場計測、仮置き量、出来形量など複数の情報を照合します。


土の含水状態も影響します。雨天後の土や地下水の影響を受けた土は、質量や取り扱い状態が変化します。体積だけで管理する場合でも、含水状態によって締固めや流用可否が変わり、結果として必要土量や搬出量へ影響します。


計算区間の重複や欠落も確認が必要です。工区境、構造物周辺、法面端部などで、隣接する計算範囲が重複していないかを調べます。別々に算出した一般掘削と構造物掘削の両方へ同じ土量が入っていることもあります。


端数処理や単位の違いも見落とせません。メートルとミリメートル、平方メートルとヘクタールなどの単位変換を誤ると、結果が大きく変わります。計算式を確認するときは、入力値、単位、係数、出力単位を一つずつ追跡します。


土質が混在する現場での集計方法

実際の造成地や道路工事では、一つの計算範囲に複数の土質が存在することがあります。この場合、全切土量へ共通の膨張率・収縮率を掛けるよりも、土質ごとに数量を分けて計算する方が実態に近づきます。


たとえば、切土5,000立方メートルの内訳が、土質Aで3,000立方メートル、土質Bで2,000立方メートルだったとします。土質Aの膨張率を15%、収縮率を5%、土質Bの膨張率を30%、収縮率を12%とすると、それぞれ個別に換算します。


土質Aのほぐし土量は3,000×1.15で3,450立方メートル、締固め後土量は3,000×0.95で2,850立方メートルです。土質Bのほぐし土量は2,000×1.30で2,600立方メートル、締固め後土量は2,000×0.88で1,760立方メートルです。


合計すると、ほぐし土量は6,050立方メートル、締固め後土量は4,610立方メートルです。全切土量5,000立方メートルへ単純な平均率を掛ける方法でも近い結果を得られる場合がありますが、土質構成が区間ごとに変わる場合や、流用可否が異なる場合には誤差が大きくなります。


土質Bだけが盛土に使用できない場合、土質Aの2,850立方メートルだけが利用可能な締固め後土量となります。土質Bの2,000立方メートルは、ほぐし状態で2,600立方メートルの搬出対象として扱うことになります。


土質境界が明確でない段階では、地質調査位置や掘削予定深度をもとに暫定区分を設定します。ただし、点の調査結果だけで工区全体の土質を確定したと考えず、施工中の確認結果に応じて数量区分を更新します。


現場で想定外の土層が確認された場合は、その区間の膨張率・収縮率、流用可否、搬出入計画を見直します。変更前後の数量を比較できるように、初期計画値と更新値を分けて保存することが大切です。


土質別集計では、切土位置と盛土利用先を関連付けると管理しやすくなります。どの区間から発生した土を、どの盛土区間へ使用する予定なのかを整理することで、品質管理と数量管理を同時に行えます。


設計段階と施工段階で計算値を更新する方法

膨張率・収縮率を使った土量計算は、設計時に一度行って終わりではありません。施工が進むにつれて実測情報が増えるため、計画値と実績値を比較し、必要に応じて更新します。


設計初期では、現況測量、計画面、土質調査、過去実績などをもとに土量を推定します。この段階では、土質境界や施工時の含水状態が十分に分からないこともあるため、採用した率を暫定値として明記します。


施工開始後は、実際の掘削範囲、仮置き量、運搬量、盛土出来形などを確認します。たとえば、地山切土量1,000立方メートルに対し、掘削後の実測ほぐし土量が1,250立方メートルだった場合、実績上の膨張係数は1.25です。


ただし、一回の測定結果だけで工区全体の率を変更するのではなく、計測範囲、土質、計測誤差、仮置き形状、残土の混入などを確認します。同じ土質と施工条件で複数回の実績を蓄積し、傾向を見て判断します。


収縮率についても、盛土に投入した地山換算量と、締固め後の出来形体積を比較することで確認できます。ただし、盛土材の搬入状態、施工中の損失、材料の追加、地盤への食い込みなどがある場合は、単純な体積比だけでは評価できません。


施工中に率を更新した場合は、未施工区間の予測数量を再計算します。すでに施工済みの数量まで新しい率で上書きすると、実績との対応が分からなくなるため、施工済み区間は実績、未施工区間は更新後の予測として分けて管理します。


土量の更新履歴には、計測日、対象区間、使用データ、採用した率、変更理由を記録します。これにより、搬出入量が当初計画から変化した理由を説明しやすくなります。


また、最新の切土・盛土量だけでなく、残工事量を把握することが重要です。現時点の地盤面と最終計画面を比較すれば、今後必要となる切土量と盛土量を再計算できます。これに実績から求めた膨張率・収縮率を反映することで、残りの搬出入計画や仮置き計画を見直せます。


現場計測と土量管理を効率化する考え方

切土・盛土の体積計算では、計算式だけでなく、現況データを継続的に更新できる仕組みが重要です。施工前の測量データだけを使い続けると、掘削や盛土の進捗に伴って現場の実態との差が広がります。


現場計測では、どの日時の地形を測ったのか、どの範囲を対象にしたのか、どの計画面と比較したのかを明確にします。複数回の計測結果を同じ座標基準で管理できれば、施工前、施工途中、完成時の体積変化を比較しやすくなります。


土量管理を効率化するには、計測値と換算値を分けて保存することが大切です。現況面と計画面から直接算出した切土・盛土体積は元データとして残し、膨張率、収縮率、流用率を適用した結果は別項目として管理します。


換算率を変更したときに元の体積まで変更してしまうと、以前の計算結果を再現できません。元数量と換算条件を分離しておけば、複数の条件で土量収支を比較できます。


たとえば、収縮率を5%、8%、10%とした場合の必要搬入量をそれぞれ試算すれば、率の不確実性が計画へ与える影響を確認できます。設計初期のように条件が確定していない段階では、一つの計算結果だけで判断せず、一定の幅を持たせて検討する方法が有効です。


現場で取得した位置情報や地形データを活用すれば、施工範囲の確認、計画面との高低差確認、施工途中の体積把握などへつなげられます。ただし、計測精度は周辺環境、衛星配置、通信状況、計測方法、基準点の設定などに影響されます。計測結果を無条件に確定値とせず、必要な精度や用途に応じて確認します。


LRTK Phoneを活用する場合も、現場条件に応じた測位環境の確認や、既知点との整合確認を行うことが重要です。取得した位置情報や現場データを土量計算へ利用する際は、座標系、標高基準、計測範囲、データ取得日をそろえます。


日々の施工状況を同じ基準で記録できれば、切土の進捗、盛土の残量、仮置き土の増減を確認しやすくなります。地山土量、ほぐし土量、締固め後土量を区別したうえで現場データと結び付けることが、計算と実績のずれを早期に発見するポイントです。


まとめ

膨張率・収縮率を反映した切土・盛土量の計算では、地山土量、ほぐし土量、締固め後土量の3種類を明確に区別する必要があります。切土量と盛土量が同じ立方メートルで示されていても、土の状態が異なれば直接比較できません。


計算は、対象範囲と基準面を確定し、地山状態の切土量と締固め後の盛土量を算出するところから始めます。その後、土質ごとに膨張率・収縮率を設定し、切土を運搬時のほぐし土量と利用可能な締固め後土量へ換算します。


盛土側からは、完成体積を収縮率で割り戻して必要地山土量を求め、さらに膨張率を掛けて運搬時のほぐし土量を算出します。場内切土だけで不足する場合は搬入量を求め、余剰や流用不可土がある場合は搬出量を計算します。


膨張率・収縮率は固定された数値ではなく、土質、含水状態、掘削方法、締固め条件などによって変化します。採用値の根拠と適用範囲を記録し、施工中の実測結果に応じて更新することが重要です。


また、工事全体の合計だけでなく、土質別、区間別、施工時期別に収支を確認します。最終的な収支が均衡していても、工程途中で仮置き場所や搬入土が必要になる場合があります。


正確な土量管理には、計算式と同じくらい現況データの更新が欠かせません。施工前後の地形を同じ基準で把握し、換算前の体積と膨張率・収縮率を適用した数量を分けて管理することで、計画と実績の差を確認しやすくなります。


現場での位置確認や地形情報の取得から、切土・盛土の進捗把握、土量計算の更新までを効率化したい場合は、現場計測とデータ管理を一体化する手段としてLRTK Phoneの活用を検討できます。


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