目次
• 掘削土の余剰量と搬出量を分けて考える基本
• 確認項目1 現地盤と計画面から掘削体積を求める
• 確認項目2 地山・ほぐし・締固めの体積変化を整理する
• 確認項目3 埋戻しや盛土へ転用できる土量を確認する
• 確認項目4 仮置き・選別・土質変化を数量へ反映する
• 確認項目5 搬出量を車両台数と工程へ落とし込む
• 掘削土の余剰量と搬出量を求める計算例
• 切土・盛土の体積計算で起こりやすい誤差
• 現場計測と実績管理で算定精度を高める方法
• まとめ
掘削土の余剰量と搬出量を分けて考える基本
掘削工事の土量管理では、掘削によって発生する土の量と、現場外へ実際に搬出する土の量を分けて考える必要があります。現地盤から1,000立方メートルを掘削したとしても、その全量を現場外へ運び出すとは限りません。掘削土の一部を構造物周辺の埋戻し、造成盛土、施工ヤードの整地、仮設道路の造成、法面のすり付けなどに再利用できる場合があるためです。
一方で、掘削土をすべて現場内で使用できるとも限りません。含水状態が高く締め固めにくい土、有機物を多く含む表土、大きな転石や異物を含む土、設計上の品質条件を満たさない土などは、用途によって転用できないことがあります。このような土は、掘削量の中から分けて搬出対象として管理しなければなりません。
掘削土の余剰量は、基本的には掘削によって発生する土量から、現場内で再利用する土量を差し引いて求めます。ただし、単純に設計図書の掘削体積から盛土体積を引けばよいわけではありません。掘削体積は地山状態、運搬時の土はほぐされた状態、盛土や埋戻しは締め固めた状態で数量を扱うことが多く、それぞれの体積基準が異なるからです。
地山状態とは、掘削前に自然の地盤として存在している状態です。ほぐし状態とは、バックホウなどで掘削し、土粒子や土塊の間に空隙が生じた状態です。締固め状態とは、盛土や埋戻しとして敷き均し、転圧して所定の形状に仕上げた状態です。同じ土であっても、状態が変われば見かけの体積は変化します。
したがって、余剰量と搬出量を算定する際には、最初にどの数量がどの状態を示しているのかを明確にします。掘削量、盛土量、埋戻し量、仮置き量、搬出量のすべてに対し、地山体積、ほぐし体積、締固め体積のいずれであるかを記録しておくことが重要です。
余剰量は、同じ体積基準に換算した掘削発生量と現場内利用量の差として求めます。搬出量は、その余剰量を搬出時の状態に換算した数量です。運搬車両の必要台数を求める場合は、さらに一台当たりの実効積載量、土の単位体積質量、道路条件、搬出先の受入能力などを反映します。
余剰量と搬出量を正しく把握できれば、仮置き場の必要面積、運搬車両の手配時期、搬出先の受入量、盛土材の不足、工事工程の遅れなどを早い段階で検討できます。逆に、計算条件が曖昧なまま施工を始めると、工事後半に土が余り過ぎたり、埋戻し材が不足したりする可能性があります。
切土・盛土の体積計算を実務で活用するには、図面上の数量だけで完結させず、現地の土質、施工順序、仮置き条件、運搬実績までを一つの土量収支として管理する必要があります。ここからは、掘削土の余剰量と搬出量を算定するために確認したい五つの項目を順に解説します。
確認項目1 現地盤と計画面から掘削体積を求める
最初に確認するのは、掘削によって発生する地山体積です。余剰量や搬出量の計算は、元となる掘削量が正しくなければ成立しません。掘削体積は、施工前の現地盤面と、床付け面や計画地盤面との差を対象範囲内で積み上げて求めます。
道路や水路などの線状工事では、横断図を用いた平均断面法が使われることがあります。隣り合う横断面の掘削断面積をそれぞれA1、A2、断面間の距離をLとすると、その区間の体積は、おおむね「A1とA2の平均値にLを掛けた値」として算定できます。複数区間の体積を合計すれば、対象区間全体の掘削量になります。
ただし、平均断面法では断面間の形状を直線的に変化するものとして扱うため、地形や掘削深さが急激に変わる場所では誤差が大きくなる可能性があります。法面の始点や終点、拡幅部、曲線区間、構造物との取り合い、掘削底面の高さが変わる場所では、必要に応じて補助断面を追加します。
面的な造成工事では、メッシュ法や三次元地形面の比較によって体積を求める方法が適しています。施工前の現況地形を測量し、測点や点群から現地盤面を作成します。次に、設計標高や計画線を基に計画面を作成し、二つの面の高低差を計算します。現地盤面が計画面より高い部分は切土、低い部分は盛土として集計できます。
三次元面を使う方法では、複雑な地形や不規則な掘削範囲を表現しやすい反面、元データの品質が結果に大きく影響します。草木、資材、重機、人、仮設物などを地盤として採用すると、現況面が実際より高くなります。水面や急斜面などで測点が不足している場合は、不自然な補間面が作られることもあります。
現地盤面を作成する際には、地表以外の点を除外し、欠測範囲がないか確認します。計測範囲の境界付近では、面が意図しない方向へ延長されることがあるため、土量計算に使用する境界を明確に設定します。境界線が閉じていない場合や、隣接する工区が重複している場合は、体積が正しく集計されません。
掘削範囲をどこまで含めるかも重要です。構造物の外形だけを対象とするのか、施工に必要な余掘りや作業幅を含めるのか、法面や土留め背面の掘削を含めるのかによって数量が変わります。設計数量、積算数量、施工計画数量、出来高数量では、対象範囲が異なる場合があります。
例えば、基礎工事では、構造物本体の寸法よりも広い範囲を掘削することがあります。作業員の作業空間、型枠の設置、土留め、排水設備などに必要な余裕を見込むためです。一方、契約上の設計数量には、そのすべてが含まれているとは限りません。どの範囲を土量へ含めたのかを図面や数量表で明示する必要があります。
現地盤の取得時期も確認します。伐採、表土すき取り、舗装撤去、仮設造成などを行った後に測量すると、着工前の地盤とは異なる面になります。降雨による洗掘、土砂流入、重機走行による地盤変形が生じた場合も、測量時点によって地形が変わります。
そのため、測量データには計測日、施工状況、対象範囲、使用した基準点を記録します。施工前、表土撤去後、掘削途中、掘削完了後など、各時点のデータを混同しないように管理します。ファイル名だけに頼らず、どの施工段階の地形であるかを確認できる記録を残します。
掘削土の性状が場所によって異なる場合は、掘削体積を土質別に分けて集計します。表土、砂質土、粘性土、礫質土、転石混じり土、軟弱土などを一つの数量にまとめると、転用できる量と搬出すべき量を判断しにくくなります。
設計段階で地層境界が明確でない場合は、既存の地質資料、試掘結果、施工中の観察などを基に区分を更新します。掘削が進んで想定と異なる土質が現れた場合は、残りの余剰量と搬出量も再計算します。
掘削体積を算定した後は、別の方法による概算値と比較すると計算ミスを発見しやすくなります。対象面積に平均掘削深さを掛けた概算、代表断面を使った概算、車両実績から逆算した数量などと照合します。詳細計算値と概算値が大きく異なる場合は、単位、境界、標高、計画面、重複範囲などを見直します。
確認項目2 地山・ほぐし・締固めの体積変化を整理する
二つ目の確認項目は、土の状態変化に伴う体積の違いです。切土・盛土の体積計算で特に間違いやすいのが、地山体積、ほぐし体積、締固め体積を同じ数量として扱うことです。
地山状態の土を掘削すると、土塊の間に空隙が生じ、一般には見かけの体積が増加します。この変化を表すために、ほぐし係数や膨張を示す換算値を用いることがあります。地山体積をV、地山からほぐし状態への換算係数をSとすると、ほぐし体積は「V×S」という形で整理できます。
例えば、地山体積が1,000立方メートルで、説明上の仮定として換算係数を1.20とした場合、ほぐし体積は1,200立方メートルです。ただし、この数値はすべての土に共通して使えるものではありません。土質、含水状態、掘削方法、土塊の大きさ、仮置き期間などによって変化します。
砂質土、粘性土、礫質土、岩塊を含む材料では、掘削後の状態が異なります。同じ土質区分でも、乾燥している場合と降雨後では、荷台に積み込んだときの密度や付着状態が変わります。長期間仮置きした土は、自重や降雨によって締まり、掘削直後より体積が小さくなることもあります。
締固め体積は、盛土や埋戻しとして敷き均し、転圧した後の完成形の体積です。完成後に必要な盛土体積から、掘削土として必要な地山量を求めるには、締固めによる体積変化を考慮します。
締固め後の体積をVc、地山体積から締固め体積への換算係数をCとすると、「Vc=V×C」と整理できます。必要な締固め体積から地山体積を求める場合は、「V=Vc÷C」となります。
例えば、締固め後に900立方メートルの盛土が必要で、説明上の換算係数を0.90と仮定した場合、必要となる地山体積は1,000立方メートルです。掘削土が地山基準で900立方メートルしかなければ、完成盛土900立方メートルを施工するには不足する可能性があります。
このように、掘削地山量と完成盛土量が同じ数値であっても、土が不足する場合があり ます。反対に、締固め後の必要量が小さくても、掘削後のほぐし体積は大きくなるため、仮置き場や運搬車両には多くの容量が必要になることがあります。
体積換算を行う際は、係数の定義を必ず記録します。同じような名称であっても、資料によって「ほぐし体積を地山体積で割った値」なのか、「地山体積をほぐし体積で割った値」なのかが異なる場合があります。係数の数値だけを記載すると、掛けるべきところで割るなどの誤りが起こりやすくなります。
数量表には、係数名だけでなく、分子と分母の関係を明記します。「ほぐし体積÷地山体積」「締固め体積÷地山体積」のように定義を書けば、担当者が変わっても計算方法を確認できます。
土質が複数ある現場では、一つの平均係数だけで全体を換算しないことが大切です。例えば、表土、一般土、礫質土で掘削後の状態が大きく異なる場合、土質別に地山量とほぐし量を計算します。各土質の構成比が変わると、現場全体の平均的な換算値も変化します。
運搬計画では、体積だけでなく質量も確認します。荷台の容積に余裕があっても、含水量が多い土や密度の高い土では、積載できる質量の上限に先に達することがあります。反対に、軽くてかさばる土は、質量に余裕があっても荷台容積が先に上限となる場合があります。
車両の実効積載体積は、荷台の有効容積と、積載可能質量を土のほぐし単位体積質量で割った値を比較して検討します。二つのうち小さい方が、計画上の積載上限になりやすいと考えられます。
含水状態による変化も無視できません。雨天後の土は水分を含み、搬出時の質量が増えます。粘性土では荷台に付着しやすくなり、荷下ろし後に土が残ることもあります。乾燥すれば質量は減りますが、土塊が崩れて見かけの体積が変わる場合があります。
搬出先で質量を計測し、その結果を立方メートルへ換算する場合は、使用した単位体積質量と含水状態を記録します。一つの換算値をすべての期間と土質に適用すると、地山量との比較で大きな差が生じる可能性があります。
確認項目3 埋戻しや盛土へ転用できる土量を確認する
三つ目の確認項目は、掘削土のうち現場内で転用できる量です。余剰土量は、掘削総量から現場内利用量を差し引いて求めますが、現場内で必要な盛土量の全量を掘削土でまかなえるとは限りません。
掘削土の用途には、構造物周辺の埋戻し、造成盛土、法面整形、路体や路床、施工ヤード、仮設道路、植生用表土などがあります。それぞれ必要とされる土の性状や締固め条件が異なります。
まず、用途ごとに完成後の必要体積を求めます。構造物の埋戻しでは、掘削空間の体積から、構造物本体、基礎、配管、砕石層などが占める体積を差し引きます。造成盛土では、現地盤面 と計画面の差から締固め後の盛土体積を算定します。
埋戻し範囲では、構造物の形状が複雑な場合があります。基礎の段差、管路周辺の充填部、床付け面の勾配、作業幅などを適切に反映しなければなりません。単純な直方体として扱うと、構造物が占める体積を正確に控除できない場合があります。
盛土量には、完成形だけでなく、施工上必要となる余盛りや沈下を見込んだ数量を含める場合があります。ただし、完成後に撤去する一時的な盛土と、最終形に残る盛土を混在させてはいけません。設計盛土、施工余盛り、仮設盛土を分けて管理します。
次に、掘削土の品質が使用先の条件に合うかを確認します。粒径が大き過ぎる土、含水が高く締め固めにくい土、有機物を多く含む表土、異物を含む土などは、使用できる場所が限られることがあります。
表土は一般的な構造物埋戻しには適さない場合がありますが、植生基盤として再利用できる可能性があります。礫を多く含む土も、細かな埋設管周辺には適さなくても、用途によっては別の場所で利用できることがあります。土の性状に応じて使用先を分ければ、搬出量を減らせる場合があります。
転用可否は、見た目だけで判断せず、設計条件、品質管理基準、試験結果、施工方法などを踏まえて決めます。必要に応じて粒度、含水状態、締固め特性などを確認し、使用場所との適合性を判断します。
現場内転用量を計算するときは、完成後の締固め体積を地山基準へ換算します。掘削発生量が地山体積で示されている場合、転用量も地山体積へ換算してから差し引きます。
例えば、締固め後の造成盛土が600立方メートル、構造物埋戻しが300立方メートル必要であっても、それぞれの締固め条件や使用材料が異なる場合は、用途別に必要地山量を求めます。二つの完成体積を合計し、一つの係数でまとめて換算すると、条件の違いが反映 されません。
転用可能な掘削土の量にも余裕を持たせる必要があります。掘削前の調査では良質土と想定していても、施工時に含水の高い土や異物が確認され、転用できる割合が減ることがあります。計画段階では転用可能率を設定し、実際の土質が分かった時点で更新します。
土量収支では、数量だけでなく発生時期と使用時期も確認します。工事前半に大量の掘削土が発生し、埋戻しが後半になる場合は、再利用する土を保管する仮置き場が必要です。仮置き場が不足すると、転用できる土を一度搬出し、後から別の土を搬入することになりかねません。
反対に、埋戻し工程が先行し、転用可能な掘削土の発生が遅い場合は、土量上は足りていても工程上は不足します。土量収支表を作成する際には、工事全体の総量だけでなく、施工区画別、月別、週別などに発生量と使用量を整理します。
場内運搬と場外搬出も区別します。掘削場所から仮置き場へ運んだ土は、場内で移動しただけであり、現場外へ搬出した土ではありません。その後、仮置き土の一部を盛土に使用し、残りを場外搬出する場合は、同じ土を二重に計上しないようにします。
土の移動履歴として、発生元、仮置き先、使用先、搬出先を記録すると、現在どこにどれだけの土があるかを把握しやすくなります。工区ごとに識別名を付け、数量と移動日を関連付ける方法も有効です。
転用量を過大に見込むと、工事後半に不適土が残り、急な搬出手配が必要になります。一方、転用できる土を初めから全量搬出扱いにすると、運搬量が過大になり、現場内利用の機会を失います。施工前の計画と施工後の実績を継続的に比較し、転用可能量を現実に合わせて修正することが重要です。
確認項目4 仮置き・選別・土質変化を数量へ反映する
四つ目の確認項目は、掘削してから転用または搬出するまでの間に発生する数量変化です。実際の工事では、掘削土をそのまま荷台へ積んで搬出するとは限りません。仮置き、乾燥、選別、異物除去、転石除去、混合、土質改良などの工程を経る場合があります。
仮置き土の体積は、土の山の形状から求めます。底面積に高さを掛けるだけの直方体計算では、斜面部分を過大に評価しやすくなります。仮置き前の地盤面と仮置き後の表面を計測し、二つの面の差から体積を求めると、不規則な形状でも比較的整理しやすくなります。
ただし、仮置き前の基準面が正しく取得されていなければ、差分体積も正しくなりません。草木、資材、既存の土砂などが残った状態を基準面とすると、仮置き土量を過小または過大に算定する可能性があります。
軟弱な地盤に仮置きした場合は、土の重さで地盤が沈下することもあります。仮置き前の面を固定して比較すると、沈下した分だけ仮置き土の体積が小さく見える場合があります。周辺の基準点や地盤変位の状況を確認し、必要に応じて沈下の影響を考慮します。
仮置き中には、土が自重や降雨によって締まることがあります。掘削直後に1,000立方メートルあったほぐし土が、時間の経過とともに同じ体積を保つとは限りません。重機による走行や押土によって締まり、見かけの体積が減る場合もあります。
反対に、積替えや攪拌を行うと土塊が崩れ、空隙が増えて見かけの体積が変わることがあります。そのため、掘削直後に設定したほぐし係数を、長期間仮置きした土へそのまま適用することは適切でない場合があります。
仮置き土を実測できる場合は、計算上の搬入量だけでなく、測量による残量も確認します。搬入記録、場内利用記録、場外搬出記録と実測残量を比較し、土量収支に大きな差がないかを確認します。
選別を行う場合は、選別前と選別後の数量を分けて管理します。大きな転石、木根、構造物の破片、金属片などを除去すると、土として再利用または搬出する量は減ります。しかし、取り除いた材料そのものも現場からなくなるわけではありません。
掘削発生量から選別後の土量だけを差し引くと、除去した材料の数量が土量収支から消えてしまいます。掘削土、再利用土、搬出土、選別除去物をそれぞれ記録し、全体の関係を確認します。
土質改良を行う場合は、改良前の土量、添加する材料、改良後の使用量、残量を区分します。材料を混合すると質量が増加し、攪拌や締固めによって体積も変化します。改良後の土を元の掘削土と同じ数量として扱うと、添加分や施工中の損失が把握できません。
含水調整も数量へ影響します。含水の高い土を乾燥させると質量は減りますが、乾燥によって土塊が崩れ、体積の見え方が変化することがあります。降雨によって水分が増えると、同じ地山量でも搬出時の質量が増 えます。
搬出先で質量による受入管理が行われる場合、降雨前後で一台当たりの計量値が変わることがあります。地山体積は同じでも、含水状態によって総質量が異なるためです。日々の計量結果と天候、土質、積込み場所を関連付けて記録すると、計画との差を分析しやすくなります。
仮置き場が複数ある場合は、土質の混合にも注意します。良質土と不適土を同じ場所に仮置きすると、後から分離できず、全量を搬出しなければならなくなる可能性があります。転用予定の土、搬出予定の土、表土、選別待ちの土などを区画分けし、境界を明確にします。
仮置き場の容量は、予定する最大保管量から検討します。工事全体の余剰量だけでなく、掘削の発生速度と搬出速度の差を確認します。一日の掘削発生量が搬出可能量を上回る期間が続けば、仮置き量は増加します。
例えば、一日にほぐし状態で300立方メートルの土が発生し、搬出できる量が200立方メートルであれば、一日当たり100立方メートルが仮置き場へ蓄積します。この状態が五日続けば、単純計算で500立方メートルの保管能力が必要です。降雨による搬出停止や受入先の休業も考慮し、余裕を持った容量を確保します。
理論上の土量と実測土量に差が生じた場合は、係数だけで調整せず、原因を分けて確認します。掘削量の増減、転用記録の漏れ、仮置き場の沈下、選別物の未計上、含水変化、計測範囲の違いなどが考えられます。
計算値を実測値へ無理に合わせるのではなく、どの工程で差が発生したのかを記録することが重要です。その結果を残しておけば、次の工区や類似現場で使用する換算条件を改善できます。
確認項目5 搬出量を車両台数と工程へ落とし込む
五つ目の確認項 目は、算定した余剰土量を実際の運搬計画へ変換することです。余剰量が分かっても、一台当たりの積載量、運搬時間、搬出先の受入能力を考慮しなければ、必要な車両台数や日数は求められません。
まず、地山基準で求めた余剰量を、搬出時のほぐし体積へ換算します。次に、ほぐし体積を一台当たりの実効積載体積で割り、必要な運搬回数を求めます。端数の運搬が必要になるため、回数は原則として切り上げて考えます。
ただし、車両の荷台容量をそのまま一台当たりの実効積載量とするのは適切でない場合があります。土の積み方、山積み形状、こぼれ防止、荷台への付着、含水状態、土質、積載質量の制限などによって、実際に積める量は変わります。
体積に余裕があっても、重い土では質量の上限に達します。一方、軽くてかさばる土では、質量に余裕があっても荷台が先に満杯になります。運搬計画では、荷台の容積と許容される積載質量の両方を確認します。
土のほぐし単位体積質量を把握できる場合は、積載可能質量を単位体積質量で割り、質量制限から見た積載可能体積を求めます。その値と荷台の有効容積を比較し、小さい方を計画上の上限とします。
一台当たりの積載量にはばらつきがあるため、過去の実績や試験運搬を基に平均値を設定すると、計画と実績を合わせやすくなります。実績がない場合は安全側の仮定を置き、施工開始後の計量結果から見直します。
必要回数を一日の搬出量へ換算するには、一台が一日に何往復できるかを確認します。往復時間には、積込み、現場内走行、出入口での確認、一般道路の走行、搬出先での受付、計量、荷下ろし、荷台確認、帰路を含めます。
単に現場と搬出先の距離だけで往復時間を決めると、待機時間を見落とします。朝夕の交通混雑、搬出先での待ち時間、現場内の重機との干渉、車両洗浄、周辺道路の清掃なども必 要です。
積込み場所が一か所しかない場合、車両を増やしても積込み機械の処理能力が上限になります。積込みに一台当たり何分かかるのか、車両の入替えにどの程度必要か、待機場所を確保できるかを確認します。
搬出先の受入条件も重要です。受け入れられる土質、粒径、含水状態、異物混入の制限、受付時間、一日の受入上限などを確認します。計算上は一日に多く搬出できても、搬出先の受入能力を超えることはできません。
複数の搬出先を利用する場合は、土質区分ごとに振り分けます。表土、一般土、礫質土、選別物などで受入条件が異なる場合、それぞれの搬出量と車両回数を別に計算します。
現場出入口の条件も工程へ影響します。狭い道路では車両同士のすれ違いが難しく、一台ずつ入退場させる必要がある場合があります。通学時 間帯や周辺施設の利用時間帯を避けるなど、通行時間が制限されることもあります。
搬出台数を記録するだけでは、正確な実績土量を把握できない場合があります。同じ車両でも積載量は毎回同じとは限りません。可能であれば、搬出先の計量結果、車両識別、搬出時刻、土質区分、積込み場所を関連付けます。
台数によって体積実績を推定する場合は、公称容量ではなく、実際の平均積載量を使用します。一定期間の計量値から一台当たりの平均質量を求め、土質別の単位体積質量を用いて体積へ換算する方法もあります。
施工途中では、残りの搬出量を定期的に更新します。掘削済み量、転用済み量、搬出済み量、仮置き残量、未掘削範囲の予測量を整理し、完了時の搬出総量を再計算します。
初期計画との差が早い段階で分かれば、車両の増減、 搬出先の追加、仮置き場の拡張、工程変更などを検討できます。工事終盤で初めて不足や超過が判明すると、調整できる選択肢が少なくなります。
掘削土の余剰量と搬出量を求める計算例
ここでは、掘削土の余剰量から搬出回数までを求める基本的な流れを、説明用の数値で確認します。実際の工事では、設計条件、土質試験、施工方法、搬出先の条件などに基づいて数値を設定してください。
ある造成工事で、施工前の現地盤と計画面を比較した結果、地山基準の掘削量が2,500立方メートルになったとします。掘削土の内訳は、一般土が2,000立方メートル、表土が300立方メートル、転石混じり土が200立方メートルです。
表土300立方メートルのうち、200立方メートルは完成後の植生用として仮置きし、残り100立方メートルを搬出するとします。転石混じり土200立方メートルのうち、50立方メートルは選別後に仮設道路へ使用し、150立方メートルを搬出します。
一般土は、造成盛土と構造物埋戻しへ使用します。造成盛土の完成体積が900立方メートル、構造物埋戻しの完成体積が360立方メートル必要だとします。
説明上、地山体積から締固め体積への換算係数をどちらも0.90と仮定します。造成盛土900立方メートルに必要な地山量は、900を0.90で割った1,000立方メートルです。埋戻し360立方メートルに必要な地山量は、360を0.90で割った400立方メートルです。
したがって、一般土として必要な地山量は合計1,400立方メートルです。一般土の発生量は2,000立方メートルなので、すべてが転用可能であれば、一般土の余剰量は600立方メートルになります。
しかし、実際には含水状態や異物混入などにより、一般土の一部が転用できない可能性があります。一般土の うち10パーセントに当たる200立方メートルが転用不適になると仮定します。
転用可能な一般土は1,800立方メートルです。そのうち1,400立方メートルを盛土と埋戻しに使用するため、転用可能な一般土の残りは400立方メートルです。これに転用不適土200立方メートルを加えると、一般土として搬出する地山量は600立方メートルになります。
表土の搬出量は100立方メートル、転石混じり土の搬出量は150立方メートルなので、地山基準の搬出対象量は合計850立方メートルです。
次に、搬出時のほぐし体積を求めます。説明上、表土のほぐし換算係数を1.15、一般土を1.20、転石混じり土を1.25と仮定します。
表土は100立方メートルに1.15を掛け、115立方メートルです。一般土は600立方メートルに1.20を掛け、720立方メートルです。転石混じり土は150立方メートルに1.25を 掛け、187.5立方メートルです。
搬出対象となるほぐし体積は、合計1,022.5立方メートルです。地山基準の850立方メートルを車両容量で割るのではなく、搬出時の状態に換算した1,022.5立方メートルを使います。
一台当たりの実効積載体積を5.5立方メートルと仮定すると、必要回数は1,022.5を5.5で割った約185.9回です。端数を切り上げるため、計画上は186回となります。
ただし、転石混じり土は質量が大きく、一台当たり5.5立方メートルを積載できない可能性があります。その場合は、土質別に運搬回数を算定します。一般土と表土は5.5立方メートル、転石混じり土は4.5立方メートルなど、現場条件に応じて実効積載量を変えます。
一台が一日に四往復でき、五台を運用する場合、一日の運搬能力は20回です。186回を20回で割ると9.3日となるため、単純計算では10 日必要です。
しかし、搬出先の受入上限が一日15回であれば、一日の実行可能回数は15回です。この場合、186回を15回で割ると12.4日となるため、少なくとも13日程度を見込む必要があります。
さらに、雨天、交通規制、搬出先の休業、重機点検などによって搬出できない日が発生する可能性があります。工程には予備日を設け、仮置き場には搬出停止期間中の発生土を保管できる容量を確保します。
施工開始後は、実際の一台当たり積載量、往復回数、掘削土質、転用率を基に残りの搬出量を再計算します。計算例の係数を固定したまま使い続けず、現場実績に合わせて更新することが大切です。
切土・盛土の体積計算で起こりやすい誤差
掘削土の余剰量と搬出量を算定する際には、いくつかの典型的な誤差があります。最も注意したいのは、異なる状態の体積をそのまま加減算することです。
地山体積の掘削量から、締固め体積の盛土量を直接差し引き、残りをほぐし状態の荷台容量で割ると、体積基準が三つ混在します。計算前に、すべての数量を地山基準などの共通基準へ揃えます。
係数の掛け方を間違えるケースもあります。地山からほぐしへ換算すると体積が増える条件であるにもかかわらず、係数で割って体積を小さくしてしまうと、搬出台数を過少に見積もります。係数の定義と式を必ず併記します。
単位の違いにも注意します。図面寸法がミリメートル、測量座標がメートル、面積が平方メートル、体積が立方メートルで扱われることがあります。データ読込み時の単位設定を誤ると、形状が大きくずれる可能性があります。
代表距離や既知点間距離を確認し、現場の実寸と一致しているかを確認します。面積や体積の計算結果だけを見るのではなく、対象範囲の延長、幅、平均深さから概算した数量とも比較します。
座標系や標高基準の不一致も大きな誤差につながります。施工前地形と施工後地形で異なる基準を使用すると、全体が一定量ずれ、実際には存在しない切土や盛土が計算されます。
既知点で水平位置と標高を照合し、同じ基準で比較できていることを確認します。測量データを位置合わせした場合は、どのような補正を行ったのか記録します。
現況面に地表以外の点が混入することもあります。草木、資材、車両、仮設物などが残ると、地盤が実際より高くなります。施工後の面に重機や仮置き土が含まれていれば、掘削量が少なく計算される可能性があります。
境界の設定誤りも確認します。隣接工区の重複、対象範囲の欠落、境界線の閉じ忘れ、法面範囲の不足などがあると、計算結果が変わります。平面表示だけでなく、断面表示でも現況面と計画面の関係を確認します。
掘削土の移動を二重計上することもあります。掘削場所から仮置き場へ移動した時点で搬出として記録し、その後、仮置き場から場外へ運んだときにも搬出として記録すると、同じ土を二度計上します。
反対に、仮置き場から盛土へ使用した量を記録し忘れると、仮置き残量が計算上多く残ります。土の状態を、発生、場内移動、仮置き、転用、場外搬出に分けて記録します。
車両台数に公称容量を掛けただけで搬出実績を求める方法も、誤差が出やすい方法です。毎回同じ量を積めるとは限らず、含水状態や土質によって一台当たりの質量と体積が変わります。
台数による管理は概算として利用し、可能な範囲で計量結果や仮置き残量と照合します。台数、計量質量、仮置き実測体積、掘削出来形を組み合わせると、差の発生場所を特定しやすくなります。
丸め処理にも注意します。断面やメッシュごとに小数点以下を丸めてから合計すると、未丸め値を合計して最後に丸めた場合とは結果が異なります。内部計算に使用する桁数と、表示する桁数を分けます。
設計変更があった場合は、変更前と変更後の計画面を混在させないようにします。施工済み範囲、未施工範囲、追加掘削範囲、埋戻し変更範囲を分け、どの時点の計画面を適用したかを記録します。
現場計測と実績管理で算定精度を高める方法
掘削土の数量を継続的に管理するには、施工前測量、施工中測量、仮置き計測、搬出実績、盛土出来形を一つの流れとして整理します。
施工前には、現地盤面と計画面から予定掘削量と予定盛土量を求めます。土質区分、転用予定、搬出予定を重ね、地山基準の土量収支を作成します。その後、ほぐし体積や締固め体積へ換算し、仮置き場と車両の計画を立てます。
施工中は、工区ごとの掘削完了時に掘削面を計測します。施工前の面との差から実掘削量を求め、設計数量と比較します。掘削途中でも、土質が想定と異なる場合や余剰土が急増している場合は、計測範囲を追加します。
仮置き場も定期的に計測します。仮置き前の基準面と現在の土の表面との差から残量を求め、搬入量、転用量、搬出量と比較します。計算上の残量と実測残量が合わない場合は、記録漏れや体積変化を確認します。
現場を工区別に分けると、数量差の原因を追いやすくなります。各工区について、予定掘削量、実掘削量、土質、転用先、仮置き先、搬出先、搬出済み量を記録します。
工区を細かく分け過ぎると記録作業が増えますが、全現場を一つの数量で管理すると、どこで差が発生したか分かりません。施工順序、地形、土質、使用する重機などを踏まえ、管理しやすい単位に分けます。
測量データには、計測日、座標系、標高基準、使用した基準点、対象範囲、除外した対象を記録します。同じ名称のデータであっても、施工時点や基準が異なれば比較できません。
現場写真も数量管理の補助になります。掘削範囲、土質の変化、仮置き状態、選別状況などを位置や日時とともに記録すれば、後から数量差の原因を確認しやすくなります。
搬出実績では、搬 出日、車両、積込み場所、土質、搬出先、計量結果などを記録します。計量結果が得られない場合は、実効積載量を用いた推定値で管理し、定期的に仮置き実測量と比較します。
土量収支を更新する頻度は、現場規模や搬出速度に応じて決めます。小規模な工事では主要工程の完了時、大規模な造成では日次または週次で確認する方法があります。
仮置き場の空き容量が少ない現場、搬出先の受入量が限られる現場、土質変化が大きい現場では、更新間隔を短くします。余剰量の増加を早期に把握できれば、搬出計画を調整しやすくなります。
計画と実績に差が出たときは、差を構成要素へ分けて確認します。掘削形状の変更、土質構成の違い、換算係数の違い、転用率の低下、選別量、含水変化、測量誤差、記録漏れなどが考えられます。
計算値を一 つの補正係数で合わせるのではなく、原因ごとに数量を整理します。その結果を次の工区の予測へ反映すれば、工事が進むにつれて搬出量の見込みを改善できます。
現場内で使う数量の表現も統一します。「残土が500立方メートルある」という表現だけでは、地山体積なのか、仮置き山の実測体積なのか、搬出時のほぐし体積なのか分かりません。
打合せや記録では、「地山換算で500立方メートル」「仮置き状態で600立方メートル」など、土の状態を添えます。担当者間で数量基準を共有すれば、車両台数や盛土不足の判断を誤りにくくなります。
三次元計測を活用すると、複雑な掘削面や仮置き土の形状を把握しやすくなります。ただし、点の数が多ければ自動的に正しい体積になるわけではありません。地表以外の点の除去、死角の補完、境界設定、座標基準の確認が必要です。
計測結果は、現場の既知寸法や代表断面と照合します。現場の感覚と大きく異なる数量が出た場合は、そのまま採用せず、標高、単位、境界、面の形状を確認します。
LRTK Phoneのように現場で座標付きの測点や点群を取得できる環境を活用すると、掘削前後や仮置き前後の地形を記録し、土量の変化を確認しやすくなります。計測したデータを日々の搬出実績と結び付けることで、余剰量の見込みを施工中に更新できます。
まとめ
掘削土の余剰量と搬出量を正しく算定するには、掘削体積だけではなく、土の状態変化、現場内転用、仮置き、選別、運搬条件までを一体的に確認する必要があります。
最初に、施工前の現地盤面と計画面から地山基準の掘削体積を求めます。次に、土質区分ごとに地山体積、ほぐし体積、締固め体積の関係を整理します。埋戻しや盛土に 必要な完成体積は地山基準へ換算し、掘削発生量と同じ状態で比較します。
そのうえで、現場内で転用できる量を差し引き、地山基準の余剰量を求めます。余剰量を搬出時のほぐし体積へ換算し、一台当たりの実効積載量で割れば、必要な運搬回数を算定できます。
ただし、実際の搬出工程は、積込み機械の能力、道路状況、搬出先の受入上限、車両の積載質量などに左右されます。理論上の台数だけでなく、一日の実行可能回数と必要日数を確認することが重要です。
仮置き、選別、乾燥、降雨、土質改良などによって、施工中の体積や質量は変化します。施工前の係数を固定して使い続けず、仮置き場の実測量、搬出台数、計量結果、盛土出来形を使って土量収支を更新します。
切土・盛土の体積計算では、地山、ほぐし、締固めという数量基準を 明示することが最も重要な基本です。同じ立方メートルであっても、土の状態が異なれば意味は変わります。数量表、施工計画、打合せ記録には、必ず基準状態を添えて管理します。
現場計測と搬出実績を継続的に照合すれば、仮置き場不足、車両手配の遅れ、搬出先の受入超過、埋戻し材不足などを早期に発見できます。掘削前後や仮置き前後の地形を現場で確認し、余剰量と搬出量を効率よく管理したい場合は、LRTK Phoneを活用した土量計測も有効な選択肢になります。
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