目次
• 盛土材の含水比と運搬土量を分けて考える
• 補正計算の前に統一すべき土量の基準
• 補正1 含水比の変化を乾燥土質量へ換算する
• 補正2 湿潤密度の変化を運搬体積へ反映する
• 補正3 地山・ほぐし・締固めの状態差を補正する
• 補正4 締固め後の必要土量から搬入量を逆算する
• 補正5 降雨・乾燥・散水による時間変化を反映する
• 補正6 車両の容積上限と積載質量上限を照合する
• 切土・盛土・運搬土量を一連の計算で管理する方法
• 含水比補正を用いた運搬土量の計算例
• 現場で補正値を更新する実務手順
• 含水比補正で起こりやすい計算ミス
• まとめ
盛土材の含水比と運搬土量を分けて考える
切土や盛土の体積計算を行う実務では、設計図から求めた盛土量と、実際に現場へ搬入した土量が一致しないことがあります。その差が大きいと、盛土材が不足して追加搬入が必要になったり、反対に余剰土が発生して仮置場や搬出先の調整が必要になったりします。
差が生じる主な理由の一つが、土の状態による体積と質量の変化です。掘削前の地山、掘削してほぐれた土、運搬車両に積み込まれた土、敷き均した土、締め固めた土では、土粒子の量が同じでも見かけの体積が異なります。さらに、降雨や乾燥によって含水比が変わると、土粒子の量が変わっていなくても湿潤状態の質量が増減します。
含水比が高くなれば、同 じ乾燥土質量に対して含まれる水の質量が増えるため、運搬車両へ積載される湿潤土の総質量は重くなります。車両の荷台に空間が残っていても、積載できる質量の上限へ先に達することがあります。一方、土が乾燥して軽くなった場合は、積載質量には余裕があっても、土がかさ高くなり荷台容積の上限へ先に達する可能性があります。
ここで注意したいのは、含水比が増えた割合を、そのまま運搬体積へ掛けてはいけないことです。含水比は水の質量と乾燥土質量の関係を示す値であり、体積の増加率を直接表す値ではありません。運搬体積を求めるには、含水比による湿潤土質量の変化に加えて、運搬時の湿潤密度を確認する必要があります。
例えば、含水比が十パーセントから十五パーセントへ上がった場合、含水比は五ポイント増えています。しかし、湿潤土質量が一律に五パーセント増えるわけでも、運搬体積が五パーセント増えるわけでもありません。乾燥土質量を基準に湿潤土質量を求め、さらに湿潤密度で割って体積へ換算する手順が必要です。
盛土材の運搬土量を適切に管理するには、切土体積、盛土体積、湿潤土質量、乾燥土質量、含水比、密度、車両台数を別々の項目として整理しなければなりません。これらを一つの数字として扱うのではなく、それぞれの状態と単位を明確にしたうえで換算することが、運搬計画の精度を高める基本です。
補正計算の前に統一すべき土量の基準
含水比による補正を始める前に、計算に使用する土量がどの状態を表しているかを確認します。同じ千立方メートルでも、地山状態の千立方メートルと、締固め後の千立方メートルでは、含まれている土粒子の量が同じとは限りません。
地山土量は、掘削前の自然な状態にある土の体積です。現況地盤と計画地盤の高低差から求めた切土量は、一般に地山状態を基準として扱われることが多いものの、数量算出条件や工事ごとの取り決めによって異なることがあります。計算書へ数値を入力する前に、設計数量が地山、ほぐし、締固めのどの状態を示しているかを確認する必要があります。
ほぐし土量は、掘削によって土の構造が乱れ、土塊の間に空隙が生じた状態の体積です。地山から掘削した土は、一般に掘削前より大きな見かけ体積になります。ただし、どの程度増えるかは、砂質土、粘性土、礫質土などの土質、掘削方法、土塊の大きさ、積込み方法によって変化します。
締固め土量は、盛土材を所定の層厚で敷き均し、転圧した後の体積です。完成形の盛土数量は、この締固め後の体積を示すことが一般的です。運搬時のほぐし土量と完成後の締固め土量には状態差があるため、設計盛土体積をそのまま車両の荷台容積で割っても、適切な必要台数にはなりません。
含水比の補正では、乾燥土質量を共通の基準にすると整理しやすくなります。乾燥土質量とは、対象となる土から水分の影響を除いた土粒子の質量です。降雨や乾燥によって含水比が変化しても、流出、こぼれ、異物混入、材料選別などがなければ、対象となる乾燥土質量は基本的に変わりません。
含水比は、水の質量を乾燥土質量で割った値です。含水比をw、水の質量をMw、乾燥土質量をMdとすると、関係は「w=Mw÷Md」と表せます。含水比を百分率で示す場合は、この値へ百を掛けます。
湿潤土質量Mは、乾燥土質量と水の質量の合計です。そのため、含水比を小数で表すと、「M=Md×(1+w)」となります。含水比十五パーセントならwは〇・一五であり、乾燥土質量百トンの湿潤土質量は百十五トンです。
含水比十五パーセントという値は、湿潤土全体の十五パーセントが水であるという意味ではありません。含水比は乾燥土質量を分母にしているため、湿潤土質量を求める際には一へ含水比を加える必要があります。この定義を誤ると、その後の密度換算や台数計算もすべてずれてしまいます。
計算に使用する数値には、単位だけでなく、土の状態、測定位置、測定日時、対象区画を併記することが重要です。含水比は採取地の表面と内部で異なる場合があり、湿潤密度も積込み直後と運搬後で変わることがあります。異なる時点や異なる区画の数値を組み合わせないよう、記録条件をそろえます。
補正1 含水比の変化を乾燥土質量へ換算する
一つ目の補正は、含水比が異なる湿潤土質量を、乾燥土質量へ換算する方法です。運搬時の質量だけを比較すると、土粒子が増えたのか、水分が増えただけなのかを区別できません。そこで、最初に水分の影響を取り除きます。
湿潤土質量をM、含水比を小数で表した値をw、乾燥土質量をMdとすると、乾燥土質量は「Md=M÷(1+w)」で求められます。
例えば、含水比十パーセントの土が湿潤状態で千百トンある場合、乾燥土質量は千百トンを一・一〇で割った千トンです。この土の含水比が降雨によって十八パーセントへ上昇したとしても、土粒子の流出や異物の混入がなければ、乾燥土質量は千トンのままです。
含水比十八パーセントでの湿潤土質量は、千トンに一・一八を掛けた千百八十トンです。含水比十パーセントのときと比べると、湿潤土質量は八十トン増加しています。土粒子の量は増えていませんが、運搬対象としては水分を含んだ分だけ重くなります。
補正前後の湿潤土質量を直接換算する場合は、「補正後湿潤土質量=補正前湿潤土質量×(1+補正後含水比)÷(1+補正前含水比)」という式で計算できます。
含水比十パーセント、湿潤土質量千百トンの土を、含水比十八パーセントの状態へ換算するなら、千百トンへ一・一八を掛け、一・一〇で割ります。結果は千百八十トンです。
この補正で求められるのは質量です。含水比が十パーセントから十八パーセントへ増えたからといって、運搬体積も同じ割合で増えるとは限りません。水分が土粒子間の空 隙へ入れば、外形の体積はほとんど変わらず質量だけが増えることがあります。反対に、粘性の増加や土塊の形成によって積込み時の空隙が増え、見かけ体積が変わる場合もあります。
複数の採取場所から盛土材を運ぶ場合は、採取場所ごとに乾燥土質量へ換算します。含水比が異なる土を湿潤土質量だけで合算すると、土粒子量の構成が分からなくなります。
例えば、含水比十パーセントで湿潤土質量五百五十トンの土と、含水比二十パーセントで湿潤土質量六百トンの土があるとします。前者の乾燥土質量は五百トン、後者も五百トンです。湿潤土質量は五十トン違いますが、土粒子の量は同じです。
平均含水比を求める場合も、二つの含水比を単純に足して二で割るのではなく、それぞれの水分質量と乾燥土質量を合算します。この例では水分質量が五十トンと百トンであり、合計水分質量は百五十トン、合計乾燥土質量は千トンです。したがって、混合後の含水比は十五パーセントとなります。
乾燥土質量を共通基準にすることで、採取地、運搬時、仮置場、盛土施工時という異なる状態の数量を比較できます。切土と盛土の収支を確認する場合も、最初に乾燥土質量へ統一すると、水分変化による見かけの増減を除外できます。
補正2 湿潤密度の変化を運搬体積へ反映する
二つ目の補正は、湿潤土質量を運搬体積へ換算するための湿潤密度補正です。含水比補正によって湿潤土質量を求めても、それだけでは荷台に積まれる体積は分かりません。運搬時の湿潤密度を使って質量から体積へ換算します。
湿潤土質量をM、運搬時の湿潤密度をρt、運搬体積をVtとすると、「Vt=M÷ρt」です。
例えば、補正後の湿潤土質量が千百八十トンで、運搬時 の湿潤密度が一立方メートル当たり一・四七五トンであれば、運搬体積は八百立方メートルです。
一方、同じ湿潤土質量でも、湿潤密度が一立方メートル当たり一・四〇トンなら、運搬体積は約八百四十三立方メートルになります。質量は同じでも、積込み状態の密度が低ければ必要体積は大きくなります。
湿潤密度は含水比だけで決まるものではありません。粒度、土粒子密度、間隙、土塊の大きさ、粘着性、積込み方法、荷台内での締まり方などによって変化します。そのため、含水比が上がったから湿潤密度も必ず一定の割合で上がるとは限りません。
運搬時の湿潤密度を把握するには、現場で採取した土を既知容積の容器へ入れて質量を測定する方法や、実際の積載質量と荷台内の土の体積から算出する方法があります。どの方法を採用する場合も、土の状態をそろえる必要があります。
積込み直後の土は、掘削と投入によって空隙を多く含むことがあります。運搬中に車両の振動を受けると、土塊が移動して空隙が減り、荷台内の土の高さが下がる場合があります。このとき、土の質量は変わっていなくても、見かけ体積は小さくなります。
積込み側では荷台上の土量を十立方メートルと判断し、受入側では運搬後の沈下した土量を九立方メートルと判断すると、同じ一台でも記録が一致しません。計測する時点を統一するか、積込み時と荷下ろし時を別の状態として管理する必要があります。
粘性土では荷台への付着も考慮します。荷下ろし後に土が荷台へ残れば、積込み時の質量すべてが盛土へ供給されたわけではありません。付着量が小さくても、運搬回数が多い工事では累計差が大きくなる可能性があります。
礫や大きな土塊を含む材料では、荷台内に大きな空隙ができる場合があります。荷台容積を満たしていても、乾燥土質量は想定より少ないことがあります。このような 材料を細粒土と同じ湿潤密度で換算すると、搬入量を過大に評価する可能性があります。
湿潤密度は、土質区分、採取場所、含水比、測定時刻と関連付けて記録します。採取層が変わった場合や、降雨後に土の状態が変わった場合は、従来の密度をそのまま使用せず、再確認することが重要です。
補正3 地山・ほぐし・締固めの状態差を補正する
三つ目の補正は、地山、ほぐし土、締固め土という状態の違いを運搬土量へ反映することです。切土量と盛土量を単純に差し引くだけでは、実際の運搬量を正しく求められないことがあります。
掘削前の地山は、長期間にわたって自然な状態で締まっています。掘削すると土の骨格が乱れ、土塊の間へ空気が入るため、一般に体積が増加します。これがほぐしによる体積変化です。
掘削後の土を盛土箇所へ運び、敷き均して締め固めると、土塊間の空隙が減り、体積が小さくなります。したがって、地山切土量千立方メートル、運搬土量千立方メートル、締固め盛土量千立方メートルは、それぞれ同じ量の土粒子を表しているとは限りません。
土の状態差を扱う方法には、体積換算係数を用いる方法と、乾燥土質量を基準に換算する方法があります。体積換算係数を用いる場合は、係数の定義を確認する必要があります。
地山体積千立方メートルが掘削後に千二百立方メートルになる場合、地山からほぐし土への体積比を一・二と表すことがあります。一方、増加分だけを二十パーセントと表す場合もあります。数値だけを転記すると意味を取り違えるため、「地山体積に掛ける係数」などの定義を明記します。
体積換算係数は、土質や施工条件によって変わります。砂質土、粘性土、礫質土、岩塊を含む材 料では、掘削後の土塊や空隙の状態が異なります。同じ採取地でも、深度や地層が変われば係数が変化する可能性があります。
含水比の変動が大きい場合は、体積換算係数だけで運搬土量を決めると誤差が出やすくなります。係数を設定した時点と実際の運搬時点で含水比や密度が違えば、荷台へ積まれる土の質量と体積の関係も変わるためです。
より整理しやすい方法は、地山体積を乾燥土質量へ換算し、その乾燥土質量から運搬時の湿潤土質量と体積を求める方法です。地山体積をVg、地山状態の乾燥密度をρdgとすると、乾燥土質量Mdは「Md=Vg×ρdg」で求められます。
地山体積が千立方メートル、地山乾燥密度が一立方メートル当たり一・六トンなら、乾燥土質量は千六百トンです。運搬時含水比が十五パーセントであれば、湿潤土質量は千八百四十トンです。運搬時湿潤密度が一立方メートル当たり一・四五トンなら、運搬体積は約千二百六十九立方メートルとなります。
同じ乾燥土質量を締固め後の体積へ換算する場合は、締固め後の乾燥密度で割ります。締固め後の乾燥密度が一立方メートル当たり一・七トンなら、締固め後体積は約九百四十一立方メートルです。
この例では、地山千立方メートルが運搬時には約千二百六十九立方メートルとなり、締固め後には約九百四十一立方メートルとなります。状態ごとの体積は異なりますが、乾燥土質量は千六百トンで共通しています。
ただし、掘削時に他の材料が混入した場合、選別によって不適合材を除去した場合、運搬中にこぼれた場合、仮設道路など別の用途へ使用した場合は、乾燥土質量が保存されません。その増減は、含水比や密度の補正とは別項目として計上する必要があります。
補正4 締固め後の必要土量から搬入量を逆算する
四つ目の補正は、完成後に必要な締固め盛土体積から、運搬時の搬入量を逆算する方法です。設計盛土体積をそのまま一台当たりの荷台容積で割ると、締固めによる体積減少や含水比による質量変化が反映されません。
最初に、設計上必要な締固め後体積へ、締固め後の乾燥密度を掛けます。これにより、完成した盛土に必要な乾燥土質量を求めます。
締固め後体積をVc、締固め後の乾燥密度をρdc、必要乾燥土質量をMdとすると、「Md=Vc×ρdc」です。
例えば、設計上の締固め後体積が二千立方メートル、締固め後の乾燥密度が一立方メートル当たり一・六五トンなら、必要乾燥土質量は三千三百トンです。
次に、運搬時の含水比を使って湿潤土質量へ換算します。運搬時含水比が十二パーセントなら、必要湿潤土質量は三千三百トンに一・一二を掛けた三千六百九十六トンです。
この湿潤土質量を、運搬時の湿潤密度で割ります。運搬時湿潤密度が一立方メートル当たり一・四八トンなら、必要運搬体積は約二千四百九十七立方メートルです。
設計盛土体積は二千立方メートルですが、運搬状態では約二千四百九十七立方メートルが必要になる計算です。この差は、締固め前後の密度差と、運搬時に含まれる水分の影響を反映した結果です。
現場内の切土を盛土材として流用する場合は、流用可能な乾燥土質量を求め、必要乾燥土質量から差し引きます。切土体積と盛土体積を直接差し引くのではなく、切土側も乾燥土質量へ換算することが重要です。
例えば、場内切土の地山体積が八百立方メートル、地山乾燥密度が一立方メートル当たり一・五五トンで あれば、流用可能な乾燥土質量は千二百四十トンです。必要乾燥土質量が三千三百トンなら、外部から追加搬入すべき乾燥土質量は二千六十トンとなります。
ただし、切土の全量を盛土へ流用できるとは限りません。表土、植物根、有機物、不適合土、大きな礫、廃材などを除去する場合は、その乾燥土質量を差し引く必要があります。流用率を設定する場合も、どの材料を除外した結果なのかを明確にします。
盛土の一部が仮設道路、施工ヤード、すり付け部、法面整形、沈下を見込んだ余盛りなどへ使用される場合は、本体盛土とは別に必要量を計上します。本体盛土の乾燥土質量だけを搬入すると、施工途中で不足する可能性があります。
締固め時の含水状態が適切でないと、所定の乾燥密度へ到達しにくくなることがあります。搬入量が計画どおりでも、過度に湿っている土や乾燥しすぎた土は、乾燥、散水、再混合、材料入替えなどの調整が必要になる場合があります。運搬土量の計算と締固め品質の管理を分離せず、連続した工程 として確認することが大切です。
補正5 降雨・乾燥・散水による時間変化を反映する
五つ目の補正は、時間の経過による含水比の変化を運搬土量へ反映することです。採取時に測定した含水比が、積込み時、運搬時、敷き均し時まで同じとは限りません。
降雨があると、採取地や仮置場の表層から水分が増加します。ただし、土の山全体が均一に湿るわけではありません。表層だけが高含水となり、内部には比較的乾燥した土が残る場合があります。
表層から採取した一つの試料だけで、仮置土全体の含水比を代表させると、補正が過大になる可能性があります。反対に、内部の乾いた土だけを採取すると、運搬時の湿潤質量を過小に見積もる可能性があります。
採取位置は、表層、内部、低部など、含水状態が異なると考えられる場所に分けます。複数の試料を採取し、積込み時にどの範囲の土が混合されるかを考慮して代表値を設定します。
降雨後に含水比が上昇すると、同じ乾燥土質量を運ぶ場合の湿潤土質量が増加します。車両の積載質量上限を超えないよう、一台当たりの積込み体積を減らさなければならないことがあります。外見上は荷台に余裕があっても、質量では上限へ達している可能性があります。
晴天が続いて乾燥すると、湿潤土質量は減少します。ただし、乾燥によって土塊が崩れ、細かい粒子が増えると、荷台内の空隙が変化することがあります。質量が軽くなったからといって、一台当たりの乾燥土質量を必ず多く運べるとは限りません。
乾燥した細粒土では、積込みや運搬時の飛散も考慮する必要があります。飛散によって土粒子が失われれば、乾燥土質量自体が減少します。この減少は含水比の補正では説明できないた め、別の損失として管理します。
施工前に散水して含水状態を調整する場合は、散水量の全量が土へ残るとは限りません。表面流出、蒸発、下層への浸透があるため、散水量だけから補正後含水比を決めるのは適切ではありません。
散水前後の試料を採取し、実際の含水比を確認します。仮に乾燥土質量千トンの材料へ五十トンの水を追加し、その全量が土へ保持された場合、含水比は五ポイント増加します。しかし、実際には一部が流出や蒸発で失われることがあるため、実測値による確認が必要です。
時間変化を管理する場合は、含水比の測定日時、試料採取位置、天候、降雨の有無、仮置き期間、積込み開始時刻を記録します。運搬量の計画値と実績値に差が出たとき、これらの記録があれば、含水比の変化が原因なのか、密度設定や体積計測が原因なのかを検討できます。
含水比を測定する頻度は、土質や天候の変化に合わせて設定します。工事開始時に一度測った値を長期間固定して使うのではなく、降雨後、採取層の変更時、仮置き期間が長くなったとき、荷姿が変わったときなどに更新します。
季節による傾向も無視できません。乾燥しやすい時期と降雨の多い時期では、同じ採取地でも平均含水比が異なることがあります。長期間の工事では、月ごとや施工段階ごとに実績値を整理し、以後の運搬計画へ反映すると、搬入不足や過剰搬入を抑えやすくなります。
補正6 車両の容積上限と積載質量上限を照合する
六つ目の補正は、一台当たりの運搬量を、荷台容積と積載可能な質量の両方から確認することです。運搬台数を荷台容積だけで計算すると、含水比上昇による質量増加を見落とす可能性があります。
一台当たりの積載量には、 荷台へ収まる体積の上限と、安全かつ適切に運搬できる質量の上限があります。乾燥して軽い材料では体積上限が先に問題になり、湿って重い材料では質量上限が先に問題になることがあります。
体積基準の必要台数は、必要運搬体積を一台当たりの実積載体積で割って求めます。質量基準の必要台数は、必要湿潤土質量を一台当たりの実積載質量で割って求めます。
例えば、必要運搬体積が二千四百九十七立方メートル、一台当たりの実積載体積が八・五立方メートルであれば、体積基準の必要台数は約二百九十四台です。
同じ条件で必要湿潤土質量が三千六百九十六トン、一台当たりの実積載質量が十二トンなら、質量基準の必要台数は三百八台です。この場合、体積基準では二百九十四台ですが、質量基準では三百八台必要となるため、二百九十四台では必要な乾燥土質量を運び切れません。
反対に、乾燥してかさ高い土では、質量基準の必要台数より体積基準の必要台数が多くなることがあります。どちらか一方だけで計画せず、両方の結果を比較します。
一台当たりの実積載体積には、荷台の内寸から求めた単純な容積ではなく、実際の荷姿を反映した値を使用します。土が荷台上で山形になる場合、土の上面が平らな直方体になるとは限りません。複数箇所の高さを測るなどして、平均的な実積載体積を把握します。
また、こぼれ防止や走行時の安定を考慮すると、荷台の上端まで常に積めるとは限りません。土質や運搬経路によって安全な積載状態は変わるため、実績に基づく有効積載体積を使用します。
積載質量も一律ではありません。含水比や湿潤密度が変化すると、同じ荷台高さでも質量が変わります。降雨後は一台当たりの積込み体積を減らし、乾燥時は容積上限を超えない範囲で調整するなど、状態に応じた管理が必要です。
複数規格の車両を使用する場合は、すべてを一台として同じ数量で集計してはいけません。車両区分ごとに実積載体積と実積載質量を設定し、乾燥土質量へ換算して合算します。
例えば、大きさの異なる車両が混在している日に百台搬入したとしても、前日と車両構成が違えば、搬入された土粒子の量は同じではありません。台数だけではなく、一台ごとの積載量または車両区分ごとの平均積載量を記録することが重要です。
運搬実績の管理では、車両台数、積載時刻、積込み場所、搬入先、含水比、湿潤密度、推定体積を関連付けます。すべての便で詳細測定できない場合でも、代表便を定期的に確認し、平均値を更新します。
切土・盛土・運搬土量を一連の計算で管理する方法
切土、運搬、盛土を別々の帳票で管理すると、各数量の状態が混在しやすくなります。土量収支を確認するには、地山状態から運搬状態、締固め状態までを一つの計算の流れとして整理します。
最初に、現況地盤と計画地盤から切土体積と盛土体積を区分します。切土と盛土が同じ工区内にある場合でも、区画ごとに数量を分けます。法面、段差、構造物、排水施設、置換範囲などがある場合は、控除や追加の対象を明確にします。
次に、切土側の地山体積へ地山乾燥密度を掛け、発生する乾燥土質量を求めます。表土や不適合土を除去する場合は、流用可能な乾燥土質量を区分します。
盛土側では、締固め後の必要体積へ目標とする乾燥密度を掛け、必要乾燥土質量を求めます。切土側の流用可能乾燥土質量と盛土側の必要乾燥土質量を比較することで、外部搬入量または余剰搬出量を算出できます。
外部搬入が必要な場合は、必要乾燥土質量へ搬入時の含水比を反映し、湿潤土質量へ換算します。その後、運搬時湿潤密度で割って運搬体積を求めます。
余剰土を搬出する場合も同じ考え方です。余剰となる乾燥土質量を求め、搬出時含水比から湿潤土質量を計算し、積込み時の湿潤密度で割って搬出体積へ換算します。
仮置場を経由する場合は、仮置き前後の含水比と密度を区別します。採取地から仮置場までの運搬状態と、仮置場から盛土箇所までの運搬状態が同じとは限りません。仮置き中に降雨や乾燥があれば、二回目の運搬前に補正値を更新します。
日々の施工では、計画乾燥土質量、搬入乾燥土質量、盛土内へ残った乾燥土質量、仮置き在庫の乾燥土質量を比較します。差がある場合は、含水比、密度、付着、こぼれ、選別、施工外使用、測量範囲などを確認します。
体積計測の基準面や範囲が異なると、含水比補正が正しくても土量収支は合いません。現況面、掘削面、仮置土、盛土面を比較する際は、座標系、基準高、対象境界、控除範囲を統一することが重要です。
含水比補正を用いた運搬土量の計算例
ここでは、設計盛土体積から運搬台数までを求める一連の計算例を示します。数値は計算手順を説明するための例であり、実際の工事では現場試験や設計条件に基づく値を使用します。
締固め後の設計盛土体積を三千立方メートル、締固め後の乾燥密度を一立方メートル当たり一・六八トンとします。必要乾燥土質量は、三千立方メートルに一・六八トン毎立方メートルを掛けた五千四十トンです。
現場内で流用できる切土の地山体積を千二百立 方メートル、地山乾燥密度を一立方メートル当たり一・五五トンとします。流用可能な乾燥土質量は、千二百立方メートルに一・五五トン毎立方メートルを掛けた千八百六十トンです。
必要乾燥土質量五千四十トンから、流用可能乾燥土質量千八百六十トンを差し引くと、外部から搬入すべき乾燥土質量は三千百八十トンです。
当初計画時の搬入土の含水比を十パーセントとすると、湿潤土質量は三千百八十トンに一・一〇を掛けた三千四百九十八トンです。
当初想定した運搬時湿潤密度を一立方メートル当たり一・四六トンとすると、必要運搬体積は三千四百九十八トンを一・四六で割った約二千三百九十六立方メートルです。
一台当たりの実積載体積を八立方メートルとすると、体積基準の必要台数は約三百台です。一台当たりの実積載質量を十二 トンとすると、質量基準の必要台数は約二百九十二台です。この時点では体積基準の三百台が大きいため、三百台を基礎として計画します。
その後、降雨によって搬入時含水比が十六パーセントへ上昇したとします。乾燥土質量は三千百八十トンのままなので、補正後の湿潤土質量は三千百八十トンに一・一六を掛けた三千六百八十八・八トンです。
降雨後に確認した運搬時湿潤密度が一立方メートル当たり一・五〇トンであれば、補正後運搬体積は三千六百八十八・八トンを一・五〇で割った約二千四百五十九立方メートルです。
一台当たりの実積載体積が八立方メートルのままなら、体積基準では約三百八台です。しかし、湿った土によって一台当たりの積載体積を減らし、実積載質量を十一・五トンに抑える必要がある場合、質量基準では約三百二十一台となります。
当初計画は三百台でしたが、降雨後は質量基準で約三百二十一台が必要となります。含水比の上昇だけでなく、一台当たりの運用条件が変わったため、二十一台程度の差が生じています。
この例から分かるように、含水比の変化を運搬体積だけへ反映するのでは不十分です。湿潤土質量、湿潤密度、一台当たりの実積載体積、一台当たりの実積載質量を順番に確認する必要があります。
施工が進んだ後は、実際に完成した盛土体積と乾燥密度から、盛土へ使用された乾燥土質量を確認します。累計搬入乾燥土質量との差を計算し、仮置き在庫、法面整形、仮設利用、こぼれ、付着、材料除去などを照合します。
現場で補正値を更新する実務手順
含水比補正は、工事開始前に一度設定して終わるものではありません。土質、天候、採取場所、仮置き期間、車両構成が変わるたび に、補正値を見直します。
まず、採取地、仮置場、盛土施工箇所を管理区画に分けます。採取地では、地層や土質が変わる境界を意識します。盛土側では、施工層、施工日、工区、材料区分が追跡できるようにします。
次に、区画ごとに含水比、湿潤密度、乾燥密度を記録します。測定値には、日付、時刻、採取位置、土質、天候を付けます。数値だけが残っていても、どの運搬便や施工区画に適用すべきか分からなければ、補正へ使用できません。
運搬開始前には、当日の代表含水比と湿潤密度を確認します。前日までの値と大きく異なる場合は、一台当たりの積込み体積や必要台数を再計算します。
運搬中は、車両台数だけでなく、積込み場所、搬入先、車両区分を記録します。可能な範囲で代表車両の積載質量や荷台内の土量を確認し、一台当た りの換算値を更新します。
盛土側では、搬入材料の含水状態、敷き均し範囲、施工層厚、締固め後の密度、完成面の体積を関連付けます。搬入した乾燥土質量と、盛土へ使用された乾燥土質量を比較し、差の原因を確認します。
降雨後は、表層だけでなく内部の含水比も確認します。採取層を変更した場合や、仮置土の積込み位置が変わった場合も再測定します。見た目が同じ土でも、含水比や密度が異なることがあります。
補正値を更新する判断基準をあらかじめ決めておくと、担当者ごとの判断差を減らせます。降雨があった場合、採取区画が変わった場合、実積載質量が計画値から外れた場合、盛土進捗と搬入量の差が拡大した場合などを更新の契機にします。
測量による体積確認も定期的に行います。仮置土や施工中の盛土を三次元的に計測す れば、帳票上の累計運搬量と現場に存在する体積を比較できます。ただし、体積は含水比や密度によって状態が異なるため、測量体積だけで乾燥土質量を判断せず、測定時の密度と組み合わせます。
含水比補正で起こりやすい計算ミス
含水比補正で起こりやすいミスの一つは、百分率を小数へ直さず計算式へ入力することです。含水比十二パーセントは〇・一二として扱います。十二をそのまま一へ加えると、計算結果が大きくずれます。
次に多いのは、湿潤土質量から含水比の割合を単純に差し引いて乾燥土質量を求めるミスです。湿潤土質量百十五トン、含水比十五パーセントの場合、百十五トンから十五パーセントを引くのではありません。百十五トンを一・一五で割り、乾燥土質量百トンを求めます。
含水比の差と湿潤土質量の増加率を混同することもあります。含水比十パーセントから十五パーセントへの変化は五ポイントですが、湿潤土質量の変化は一・一五を一・一〇で割った比率で求めます。
乾燥土質量と湿潤密度を組み合わせるミスにも注意が必要です。体積を求める際は、乾燥土質量には乾燥密度、湿潤土質量には湿潤密度を対応させます。異なる状態の質量と密度を組み合わせると、求めたい体積になりません。
地山体積と締固め体積を直接差し引くことも、土量収支を崩す原因です。切土側と盛土側の状態が違う場合は、両方を乾燥土質量へ換算して比較します。
複数の含水比を単純平均するミスもあります。異なる量の土を混合する場合は、それぞれの水分質量と乾燥土質量を求め、合計水分質量を合計乾燥土質量で割ります。
測定日や採取位置が異なる含水比と密度を組み合わせることも避けます。降雨前の含水比と 降雨後の湿潤密度を組み合わせると、実際には存在しない状態の換算値になる可能性があります。
車両台数だけを運搬実績とすることも問題です。一台当たりの積載量は、車両規格、含水比、密度、荷姿によって変わります。同じ百台でも、搬入された乾燥土質量が同じとは限りません。
計算途中で小数を丸めすぎると、累計数量に差が生じます。含水比、密度、換算体積は計算途中では必要な桁を保持し、最終的な管理数量や台数を求める段階で整理します。
余裕量を一つの割合にまとめることにも注意が必要です。付着、こぼれ、選別、仮設利用、余盛りなどは発生理由が異なります。すべてを一律の余裕率にすると、差が出たときに原因を説明できません。可能な範囲で項目を分けて管理します。
まとめ
盛土材の含水比が変化すると、同じ乾燥土質量を運ぶ場合でも湿潤土質量が変わります。含水比が高くなれば水分の質量が増えるため、運搬車両の積載質量上限へ早く達する可能性があります。乾燥して軽くなった場合は、質量に余裕があっても荷台容積が先に上限となることがあります。
含水比の変化を運搬土量へ反映する際は、含水比の増減率をそのまま体積へ掛けてはいけません。まず湿潤土質量を乾燥土質量へ換算し、補正後の含水比から新しい湿潤土質量を求めます。その後、運搬時の湿潤密度で割って運搬体積へ換算します。
切土、ほぐし土、締固め盛土は、それぞれ状態が異なります。地山体積と締固め体積を直接比較するのではなく、乾燥土質量へ統一すると、含水比や密度の違いを整理できます。
完成後に必要な盛土量から搬入量を求める場合は、締固め後体積へ乾燥密度を掛けて必要乾燥土質量を算出します。場内切 土を流用する場合は、流用可能な乾燥土質量を差し引き、残りを外部搬入量として計算します。
車両台数は、運搬体積を一台当たりの実積載体積で割る方法と、湿潤土質量を一台当たりの実積載質量で割る方法の両方で確認します。含水比が変化すると、体積基準と質量基準のどちらが厳しい条件になるかも変わります。
含水比や密度は、降雨、乾燥、散水、採取層、仮置き期間によって変化します。工事開始時の値を固定して使うのではなく、状態が変わった時点で測定し直し、運搬計画を更新することが重要です。
土量管理の精度をさらに高めるには、含水比と密度の記録に加え、切土面、仮置土、盛土面の体積を同じ範囲と基準で継続的に計測する必要があります。LRTK Phoneを活用すれば、現場で位置を確認しながら計測対象を記録し、切土・盛土・仮置土の三次元的な変化を整理できます。含水比、密度、車両実績と組み合わせることで、設計土量と実際の運搬量の差を把握しやすくなり、盛土材の不足や過剰搬入を防ぐための判断につ なげられます。
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