目次
• 暗渠排水層を盛土体積から分ける理由
• 計算基準1:盛土本体と排水施設の数量区分を先に固定する
• 計算基準2:総盛土形状から重複体積を二重計上しない
• 計算基準3:延長・幅・厚さの変化を断面ごとに反映する
• 計算基準4:排水材・管路・フィルター材を単位別に集計する
• 計算基準5:設計体積と搬入・施工数量を混同しない
• 計算基準6:設計数量と出来形数量を同じ境界で照合する
• 切土・盛土の土量配分へ反映する手順
• 計算ミスを防ぐ確認ポイント
• まとめ
暗渠排水層を盛土体積から分ける理由
切土・盛土の体積計算では、完成後の地形だけを見て盛土量を算出すると、盛土の内部に設ける暗渠排水工の周囲材、基盤排水層、水平排水層などの体積まで、一般の土砂として集計してしまうことがあります。これらの排水施設には、透水性を確保した粒状材料、排水管、目詰まり防止材、フィルター材などが使われ、一般の盛土材料とは材料区分、施工方法、品質管理、数量単位が異なる場合があります。したがって、盛土全体の外形体積を求めた後、内部を占める排水施設を別項目として整理し、同じ空間を土砂と排水材の双方へ重複計上しないことが重要です。
盛土内部の排水施設は、単に空間を埋める材料ではありません。原地盤からの湧水、地下水、盛土内へ浸透した雨水などを排除し、盛土内水位の上昇を抑える役割を持ちます。公的な技術基準では、地下水排除工として暗渠排水工や基盤排水層を、盛土内排水層として水平排水層を区分して扱う考え方が示されています。数量計算でも、構造上の役割と材料区分が異なる部分を一括して「盛土」と呼ばず、設計図書に合わせて境界を明確にする必要があります。
実務で混乱しやすいのは、「完成形の外形体積」と「 土砂材料が占める完成体積」が必ずしも同じではない点です。たとえば、完成した盛土の外形体積が一万立方メートルで、その内部に百立方メートルの粒状排水層が含まれているとします。材料別の完成体積を整理する目的では、土砂が占める体積を九千九百立方メートル、排水材が占める体積を百立方メートルと区分する考え方になります。ただし、契約数量として何を控除するかは、適用する数量算出要領、設計内訳、特記仕様書、発注者との協議条件などによって異なります。
排水管が埋設されている場合も同様です。管の外形容積を周囲の砕石量から控除するのか、管を含む暗渠断面全体を一つの施工単位として計上するのかは、計算目的によって変わります。設計数量、積算数量、資材発注数量、出来形数量を同じ欄で管理すると、控除の有無が担当者ごとに変わりやすくなります。最初に数量の用途を定め、用途ごとに計算条件を分けることが安全です。
ここで大切なのは、どの現場でも一律に控除することではありません。少量構造物を控除しない基準、材料込みの施工単位、施工数量を延長で計上する工種などが採用されている場合は、単純な幾何学計算による材料別体積と契約数量が一致しないことがあります。この記事では、計画、積算、施工管理、出来形確認の各段階で混乱を防ぐため、暗渠排水層を盛土体積から分けて整理する六つの計算基準を解説します。
計算基準1:盛土本体と排水施設の数量区分を先に固定する
最初の基準は、計算を始める前に数量区分を固定することです。図面から寸法を拾いながら区分を考えると、同じ材料を複数の項目へ入れたり、途中で集計方法が変わったりします。まず、盛土本体、暗渠排水工の周囲材、基盤排水層、水平排水層、排水管、フィルター材、透水シート、流末保護、埋戻し材など、設計図書に現れる構成要素を整理します。
盛土本体は、土砂、改良土、購入土などを所定の形状に敷き均し、締め固めて形成する部分です。一方、暗渠排水工は、原地盤の谷部や湧水箇所などから水を集め、盛土外へ排出するために設けられます。基盤排水層は盛土底部付近に面的に設けられることがあり、水平排水層は盛土内の一定高さや小段付近に設けられます。位置と機能が異なるため、図面上でどの範囲がどの施設に属するかを先に明確にします。
数量区分は、少なくとも「土砂の完成盛土体積」「粒状排水材の完成体積」「排水管の延長」「シート類の面積」に分けると整理しやすくなります。粒状排水材でも、材料規格、使用箇所、施工方法が異なる場合は別集計にします。すべてを立方メートルへ換算して一つの数量にまとめるより、工種と単位を分けて管理したほうが、積算、発注、検収、設計変更との整合を取りやすくなります。
区分を固定するときは、数量名称だけでなく境界面も決めます。たとえば暗渠断面が、床掘り、基礎材、排水管、周囲の砕石、目詰まり防止材、埋戻し土で構成される場合、どこまでを排水材へ含めるかを断面図へ明示します。管より下の材料を排水材へ含めるのか、別の基礎材として集計するのか、管上部の埋戻しを盛土本体へ戻すのかを決めます。境界が曖昧なままでは、計算式が正しくても集計結果は一致しません。
設計段階と施工段階で名称が変わることにも注意が必要です。設計図では「暗渠排水層」とまとめて示されていても、工事内訳では「排水材設置」「暗渠 排水管」「フィルター材設置」などに分かれている場合があります。この場合は、図面上の一つの構造を内訳上の複数項目へ対応付けます。対応関係を数量計算書の冒頭に記載しておけば、設計変更や出来形精算の際に、どの数量を修正すべきか判断しやすくなります。
三次元モデルを用いる場合も考え方は同じです。盛土本体、排水層、管路、構造物を別の部材または属性として保持し、材料別に数量を抽出できる状態にします。排水層を盛土モデルへ一体化したまま総体積だけを出すと、後から土砂量と排水材量を分ける作業が増えます。モデル作成時点で数量区分と境界を設定しておくことが重要です。
計算基準2:総盛土形状から重複体積を二重計上しない
二つ目の基準は、外形から求めた盛土総体積と、材料別に求めた内訳体積の関係を明確にすることです。計画盛土面と原地盤面の差から算出する体積は、通常、完成した盛土の外形内にある排水層や埋設構造物の占有空間も含みます。その外形体積をすべて土砂盛土量として扱い、さらに排水材を別途加算すると、同じ空間が二重に計上されます。
材料別の完成体積を整理する場合の基本関係は、「盛土外形総体積=土砂が占める体積+別材料が占める体積+構造物が占める体積」です。この関係から土砂体積を求めるなら、「土砂が占める完成体積=盛土外形総体積-別材料の占有体積-構造物の占有体積」となります。ただし、これは材料別の空間収支を確認する式です。契約上の控除対象や控除下限は適用基準によって異なるため、積算数量へそのまま適用する前に設計図書を確認します。
暗渠排水層を長方形断面で近似できる場合、排水材の外形体積は「断面積×延長」で求められます。たとえば、幅一・二メートル、平均厚さ〇・五メートル、延長八十メートルであれば、暗渠断面の外形体積は四十八立方メートルです。この四十八立方メートル全体を別材料の占有体積として扱うなら、材料別の空間収支では、盛土外形総体積から同じ四十八立方メートルを差し引きます。
ただし、暗渠内部に排水管がある場合は、排水材数量の定義を確認します。施工単位として暗渠断面全体を計上する場合、管の占有容積を排水材数量から控除しないことがあります。一方、実際に必要な粒状材料の概算量を求める場合は、「暗渠外形体積-管外形容積-その他の非粒状材料の占有体積」とするほうが実態に近くなります。円形管の外形容積を単純化して求める場合は、外径をD、延長をLとして「円周率×Dの二乗÷4×L」を用います。異形管、継手部、二重管などは、製品寸法や設計形状に合わせて別途確認します。
この違いは、積算数量と資材発注数量を分ける理由にもなります。契約数量では暗渠断面全体を一つの施工数量として扱い、資材手配では管が占める分を除いた砕石量を求める場合があります。数量表には「設計計上数量」「材料所要量」「搬入予定量」などの欄を分け、計算目的を明記します。
基盤排水層や水平排水層が盛土断面の全幅に連続していない場合、控除または材料別集計の対象は、実際に排水材が配置される範囲だけです。始点、終点、幅員変化、法面へのすり付け、流末部の拡幅などを反映します。排水層が途中で分岐する場合は、本線と支線を分け、交差部を二重に加算しないようにします。
三次元モデルを使う場合は、盛土外形モデルから排水層モデルを差し引いて土砂部を作る方法と、外形体積と排水層体積を別々に集計して表計算上で収支を確認する方法があります。どちらを採用しても、「外形総量」と「材料別内訳」の合計が一致するか確認します。この収支確認を数量計算書の最後に置くと、二重計上や控除漏れを見つけやすくなります。
計算基準3:延長・幅・厚さの変化を断面ごとに反映する
三つ目の基準は、暗渠排水層を一定断面として一括計算できる区間と、断面変化を考慮すべき区間を分けることです。排水層は、平面線形、縦断勾配、原地盤の起伏、盛土高、湧水位置、流末構造によって幅や厚さが変わります。代表断面一つだけに全延長を掛けると、拡幅部、すり付け部、分岐部、曲線部の数量が抜ける可能性があります。
一定断面区間では、「幅×厚さ×延長」で計算できます。断面が台形の場合は、「上幅と下幅の平均×高さ」で断面積を求め、その断面積に延長 を掛けます。側面勾配が左右で異なる場合は、長方形と三角形へ分割して断面積を求めると確認しやすくなります。排水層が原地盤の傾斜に沿って設置される場合は、平面上の水平延長と実際の施工延長のどちらを使うかを、図面の寸法定義と数量基準に照らして判断します。
断面が連続的に変化する区間では、区間両端の断面積を用いた平均断面法が扱いやすい方法です。区間体積は「始点断面積と終点断面積の平均×区間長」で求めます。断面が急変する箇所、分岐が始まる箇所、材料規格が変わる箇所、施工区分が変わる箇所には追加断面を設定します。断面間隔を機械的にそろえるより、形状変化点を押さえるほうが数量の再現性は高まります。
水平排水層は、盛土内の一定高さや小段付近に設け、透水性の高い材料で浸透水を排出する構造です。設計基準や手引きに標準的な厚さ、配置範囲、排水勾配が示される場合がありますが、数量計算では一般的な標準値をそのまま使わず、当該工事で承認された設計断面の厚さ、幅、勾配を採用します。標準例と設計値が異なる場合は、設計値を優先し、計算条件を数量計算書へ記載します。
勾配を持つ排水層では、厚さの定義にも注意が必要です。鉛直厚で図示されているのか、排水層面に直角な厚さで図示されているのかによって断面積が変わります。勾配が小さい場合は差がわずかでも、長い区間や広い基盤排水層では差が積み上がります。設計図の寸法線がどの方向を示すかを確認し、計算書にも「鉛直厚」「層直角厚」などの条件を記載します。
平面上で幅が変化する場合は、始点幅と終点幅の平均に延長と厚さを掛ける方法が使えます。厚さも同時に変わる場合は、単純に平均幅と平均厚を掛けると誤差が生じるため、短い区間へ分割するか、始点と終点の断面積を求めて平均断面法を用います。曲線区間で排水層幅が大きい場合は、内側と外側の延長差も考慮し、平面面積に平均厚を掛ける方法も検討します。
分岐暗渠では、本管と支管を個別に計算し、接続部の重複を整理します。支管延長を本管中心まで計測し、本管も連続して計算すると、交差部が二重になることがあります。支管延長を本管外面までとするか、交差部を別形状として控除するか、ルールを統一します。流末の集水桝や保護工が暗渠断面 を置き換える場合も、その占有範囲を暗渠延長から除くか、体積で整理します。
計算基準4:排水材・管路・フィルター材を単位別に集計する
四つ目の基準は、構成材料をそれぞれ適切な単位で集計することです。暗渠排水層を盛土から分ける目的は、単に土砂量を減らすことではありません。施工に必要な排水材、管、シート、フィルター材などを、発注、施工、出来形確認に使える形で整理することが目的です。
粒状の排水材は、設計上の完成体積を立方メートルで集計することが一般的です。断面積と延長から求める場合は、完成形の設計体積であることを明記します。材料の納入が質量管理で行われる場合でも、設計数量を安易に重量へ置き換えず、採用材料の単位体積質量、含水状態、締固め状態などを確認して別途換算します。材料の密度は種類や粒度、含水状態で変わるため、一般値だけで発注量を確定しないことが重要です。
排水管は、設計内訳に従い、管種や管径ごとの延長で集計する方法が一般的です。材質、孔の有無、継手形式、施工位置が異なる場合は区分します。曲管、継手、端末処理、流末接続が別数量となる設計では、直管延長だけで完結させません。平面図の延長と縦断上の実延長が異なる場合は、どちらを採用するかを数量基準に合わせます。勾配が急な区間では、高低差を含む実延長の確認が必要です。
フィルター材は、粒状材料なら体積、シート状材料なら面積で集計します。シート状の目詰まり防止材や透水シートは、設計された被覆範囲に基づき、断面方向の敷設長と延長から面積を求めます。重ね代、立上がり、端部の巻込み、施工ロスが設計数量へ含まれるかは、設計図書や数量基準によって異なります。完成形の設計面積と資材発注面積を分け、発注面積では承認された施工方法に必要な重ね代などを考慮します。
暗渠周囲の床掘りと埋戻しも、盛土本体とは分けて考える必要があります。盛土施工前に原地盤を掘り込んで暗渠を設置する場合、掘削量は床掘りや溝掘りとして計上され、排水材を設置した後の上部は埋戻しとなることがあります。一方、盛土施工の進行に合わせて排 水層を構築する場合は、床掘りを伴わず、盛土材料の置換として整理されることがあります。同じ断面でも施工順序によって数量項目が変わるため、施工計画と設計内訳を確認します。
目詰まり防止材、遮水材、保護砂、基礎材などがある場合も、機能と材料区分に応じて分けます。フィルター材と排水材を同じ「砕石」としてまとめると、粒度規格や品質確認の対象が曖昧になります。数量計算書には、材料名だけでなく、設計図に記載された規格、使用箇所、断面記号を対応させます。
集計の最後には、数量単位の整合を確認します。立方メートルの排水材とメートルの管路を足し合わせることはできません。工事全体を一つの総数量にせず、土砂盛土、排水材、排水管、シート、フィルター材、桝類というように、施工と検収が可能な単位で並べます。こうすることで、管径だけが変わった場合や、排水層の延長だけが増えた場合にも、影響範囲を限定して修正できます。
計算基準5: 設計体積と搬入・施工数量を混同しない
五つ目の基準は、完成形を表す設計体積と、現場へ搬入する材料数量を分けることです。切土・盛土の体積計算では、地山状態、掘削後のほぐれた状態、締固め後の状態で体積が異なることがあります。暗渠排水材でも、設計断面の完成体積と、運搬時のかさ、敷き均し後の体積、締固め後の体積が一致しない場合があります。
数量計算書の基本値は、設計図に示された完成形の数量です。たとえば排水層の設計体積が百立方メートルであれば、まず百立方メートルを構造数量として整理します。そのうえで、資材発注や運搬計画では、材料の粒度、締まり具合、含水状態、施工ロスなどを考慮した所要量を別に算定します。設計体積へ根拠のない一律割増率を掛けるのではなく、仕様書、試験施工、材料供給者の資料、現場実績など、確認可能な条件を用います。
盛土本体についても、暗渠排水層を材料別に分離した完成体積を、そのまま切土発生量と比較しないことが重要です。切土側が地山体積、盛土側が締固め後体積で整理されている場合は、適用する土量変化率や試験結果などに基づいて同じ基準へ換算します。排水材は一般土砂と異なる材料であるため、切土からの流用対象に含めるのか、購入材として別に確保するのかを区別します。現場発生材を排水材へ流用する場合も、設計で要求される粒度、透水性、耐久性などを確認し、必要な承認を得ることが前提です。
施工ロスの扱いも分けます。こぼれ、敷き均し時の散逸、局部的な過掘りへの充填などは、資材手配上は考慮が必要でも、完成出来形の設計数量へ自動的に加算するものではありません。設計変更により過掘り範囲を排水材で置換することが承認された場合は、その追加体積を変更数量として記録します。予定外の使用量と、承認された出来形数量を混同しないことが重要です。
仮設排水に使用した材料も、本設暗渠排水層とは分けます。施工中だけ使用する排水管や排水材を本設数量へ含めると、完成形との照合ができません。施工時の中央縦排水などを本設の暗渠排水工とは別系統で設ける考え方が採用される場合もあるため、数量管理でも本設、仮設、撤去、転用を別欄にします。これにより、材料の所在と費用区分を追いやすくなります。
設計体積と搬入量を照合する際は、納入伝票だけで出来形を確定しないようにします。納入量には未使用材、仮置材、他工区への転用、施工ロスが含まれる可能性があります。出来形は、施工範囲、断面寸法、延長、測量結果、施工写真などから確認し、納入量は材料収支の補助資料として使います。
計算基準6:設計数量と出来形数量を同じ境界で照合する
六つ目の基準は、設計数量と出来形数量を同じ境界、同じ単位、同じ計算方法で比較することです。暗渠排水層は盛土完成後に見えなくなるため、施工後に外観だけで寸法を確認できません。施工前、施工中、埋戻し前の計測と記録が数量確定の鍵になります。
まず、設計数量の計算区間を測点や座標で区切ります。始点、終点、分岐点、断面変化点、流末接続点を設定し、それぞれに断面記号を付けます。出来形計測でも同じ区間を使い、実測した幅、厚さ、延長を対応させます。設計では本管と支管を分けているのに、出来形では全延長を一括集計する と、差異の原因を追えません。
埋設前には、排水層の底面高、上面高、幅、延長、勾配、管の位置などを記録します。厚さは、底面と上面の標高差から確認する方法と、施工中に直接測る方法があります。原地盤に不陸がある場合、一点の厚さだけでは体積を代表できないため、複数測点の標高から底面と上面の形状を把握し、区間ごとに体積を算出します。
施工写真は、寸法が読み取れるように撮影位置と対象範囲を整理します。延長方向の写真だけでは幅や厚さが分かりにくいため、断面方向の記録も残します。管径、材料規格、フィルター材の巻込み、シートの重ねなど、数量だけでは表せない品質項目も併せて記録します。写真番号と測点、数量計算書の区間番号を対応させると、後日の確認が容易です。
三次元計測を使う場合は、排水層施工前の面と施工後の面を取得し、その差分から体積を求める方法があります。ただし、管やシートの存在、遮蔽部、施工中の面の乱れ、点群密度などによって誤差が生じるため、点群だけで全数 量を確定するのではなく、設計断面、直接計測、施工写真などを組み合わせます。排水層と盛土本体を別の属性や別の面として管理すれば、出来形モデルでも材料別に数量を集計しやすくなります。
設計変更が生じた場合は、変更前数量、増減数量、変更後数量を区間単位で整理します。現場判断で幅を広げた、湧水箇所に支管を追加した、流末位置を変更したといった場合は、変更理由と承認記録を数量計算書へ結び付けます。完成後に総量だけを合わせる方法では、どの変更が数量差を生んだのか説明できません。
最終照合では、「盛土外形総体積」「土砂が占める完成体積」「暗渠排水材体積」「基盤排水層体積」「水平排水層体積」「その他構造物体積」を並べ、材料別の体積収支を確認します。次に、排水管延長、シート面積、フィルター材数量など、体積以外の項目を設計値と出来形値で照合します。体積収支と材料別収支の二段階で確認することで、盛土への重複計上と排水材料の計上漏れを同時に防ぎやすくなります。
切土・盛土の土量配分へ反映する手順
暗渠排水層の分離計算が終わったら、その結果を切土・盛土の土量配分へ反映します。最初に、現況地盤と計画盛土面から盛土外形の総体積を算出します。次に、盛土内部に配置される排水材や構造物の占有体積を、設計上の区分ごとに算出します。材料別の完成体積を求める目的では、盛土外形総体積から別材料の占有体積を差し引き、土砂が占める締固め後体積を整理します。
その後、土砂盛土体積を土質区分や施工区分へ分けます。路体、路床、法面部、改良土、購入土などが分かれている場合は、それぞれの境界面を基準に集計します。排水層が複数の盛土区分にまたがる場合は、どの区分の空間を置き換えているかを断面ごとに確認します。基盤排水層は盛土底部、水平排水層は盛土中間部にあるため、同じ排水材でも対応する盛土区分が異なることがあります。
切土の流用計画では、切土発生量を地山体積から必要な基準へ換算し、土砂盛土の必要量と比較します。暗渠排水材が購入材なら、切土・盛土の土量収支から分け、別の材料収支とし て管理します。現場発生材を排水材へ流用する場合は、品質確認と承認後に流用量を振り替えます。単に切土量が余るという理由だけで排水層へ使うのではなく、材料規格を満たすことが前提です。
たとえば、盛土外形が一万二千立方メートル、基盤排水層が三百立方メートル、水平排水層が百二十立方メートル、暗渠排水材が八十立方メートル、その他の材料別控除対象が二百立方メートルであれば、材料別の空間収支上、土砂が占める完成体積は一万一千三百立方メートルです。ここで排水材合計五百立方メートルを土砂盛土にも含めると、必要土砂量を過大に見積もります。反対に、排水材を外形総量から分離したうえで別途計上し忘れると、資材不足や積算漏れにつながります。契約数量へ反映するときは、適用する控除基準と内訳条件を改めて確認します。
数量表では、外形総量と材料別内訳を並べる形式にすると確認しやすくなります。排水材の内訳は、基盤排水層、水平排水層、暗渠周囲材などへ分けます。計算根拠には図面番号、断面番号、測点範囲、使用した寸法を記載し、第三者が同じ条件で再計算できる状態にします。
施工の進行に合わせて数量を更新する場合も、基準となる設計数量は残します。起工時、変更時、出来形時の数量を上書きせず、版を分けて保存します。そうすれば、原地盤の変更、排水計画の変更、施工実績の差を切り分けられます。
計算ミスを防ぐ確認ポイント
暗渠排水層の計算で最も注意したいのは、盛土外形へ含まれている排水材を再度加算する二重計上です。外形体積が何を含む数字なのかを最初に確認し、土砂量と構造総量を同じ意味で使わないようにします。数量表の名称は、「盛土外形総体積」「土砂が占める完成体積」「排水材体積」のように、意味が区別できる表現にします。
次に注意したいのが、暗渠断面全体と実排水材量の混同です。積算上は暗渠断面の体積や延長を計上していても、資材発注では管やシートの占有分を除くことがあります。どの目的の数量かを計算式の近くに記載します。管容積を控除する場合は、排水材が置き換わる外形寸法を使い、管内 の空間だけを表す内径で計算しないようにします。
延長の取り方も誤差の原因になります。平面延長、縦断実延長、管中心延長、構造外面までの延長が混在しないようにします。分岐部、桝接続部、曲線部、法面からの流出部では、端点の定義を図面上で統一します。
厚さについては、設計厚、施工管理厚、平均出来形厚を区別します。局部的な過厚を全延長へ適用すると数量が過大になります。反対に、不陸の大きい原地盤へ一定厚で施工する場合は、底面形状を無視した平面積掛けだけでは実態と合わないことがあります。必要に応じて断面分割や三次元面差分を用います。
単位の取り違えにも注意が必要です。排水材は立方メートル、管はメートル、シートは平方メートル、桝は箇所数など、項目ごとに単位が異なります。数量集計の途中で単位を省略すると、合計欄で誤加算が起こります。小数処理の桁数や丸め方も、適用基準に合わせて統一します。
最後に、設計図、数量計算書、施工計画、出来形記録の名称と区分が一致しているかを確認します。図面では水平排水層、数量表では排水材、写真台帳では砕石層というように名称がばらばらだと、同一箇所の照合が難しくなります。共通の区間番号と構造番号を付け、図面から数量、数量から写真へ追跡できる状態にします。
まとめ
暗渠排水層を盛土体積から分けて集計するには、最初に盛土本体と排水施設の数量区分を固定し、盛土外形の総体積と、土砂や排水材が占める材料別体積を区別することが出発点です。材料別の完成体積を整理する場合は、同じ空間を土砂と排水材の双方へ計上しないように収支を確認します。ただし、契約数量の控除方法は、数量算出要領、設計図書、特記仕様書などに従って判断します。
計算では、延長、幅、厚さの変化を断面ごとに反映し、一定断面区間と変化区間を分けます。排水材は体積、排水管は延長、シートやフィルター材は面積 または体積というように、構成材料ごとの単位で整理します。また、設計体積と搬入数量、施工ロス、仮設材料を混同せず、出来形数量は設計と同じ境界で照合します。
切土・盛土の体積計算は、地形差分を求めるだけでは完結しません。盛土内部に何が配置され、どの材料がどの空間を占めるのかを整理して初めて、土量配分、資材手配、設計変更、出来形精算へ使える数量になります。暗渠排水層を独立した構成要素として管理すれば、盛土土砂の過大計上を防ぎ、排水材料の不足や計上漏れも減らしやすくなります。
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