目次
• 3次元測量で道路側溝の通水断面を確認する目的
• 手順1 現地条件と確認範囲を整理する
• 手順2 側溝まわりを安全に計測できる状態 に整える
• 手順3 3次元測量で側溝の形状を漏れなく取得する
• 手順4 点群から通水断面を確認する
• 手順5 記録結果を維持管理と施工判断に活かす
• まとめ 3次元測量で側溝確認を現場判断につなげる
3次元測量で道路側溝の通水断面を確認する目的
道路側溝は、道路表面に降った雨水や周辺から流入する水を集め、集水桝や排水管、放流先へ導くための重要な排水施設です。舗装や路肩、法面、民地側からの雨水が適切に流れなければ、道路冠水、路肩の洗掘、舗装下への浸水、凍結、歩行者通行への支障、周辺敷地への流出など、さまざまな問題につながります。側溝本体に大きな破損が見えない場合でも、土砂の堆積、落ち葉やごみの詰まり、蓋の沈下、底版の変形、勾配不良、接続部の段差などによって、実際に水が流れ る断面が小さくなっていることがあります。
通水断面とは、側溝の中で水が流れるために使える断面のことです。設計上の内幅や内高だけで判断するのではなく、底部に堆積した土砂、側壁の欠け、草の根、流入した砕石、蓋掛かり部のずれ、既設補修材の出っ張りなどを含めて、現時点でどれだけの空間が残っているかを確認する必要があります。特に道路側溝は延長が長く、部分的に詰まりや変形が起きていても、平常時の目視だけでは見逃されやすい施設です。豪雨時や連続降雨時になって初めて水があふれ、原因箇所を探すことも少なくありません。
従来の確認では、側溝蓋を開けてスタッフや巻尺で寸法を測り、写真を撮影し、野帳や図面に記録する方法が中心でした。この方法は今でも有効ですが、測点ごとの局所的な記録になりやすく、側溝全体の連続的な変化を把握しにくい場合があります。また、蓋の開閉作業、交通規制、狭い場所での姿勢、暗い内部の確認など、現場負担も大きくなります。測った寸法がどの位置のものか、写真と図面が正しく対応しているか、後から説明しにくいという課題もあります。
3次元測量を活用すると、側溝やその周辺の形状を点群として立体的に記録できます。内幅、深さ、底面の高さ、蓋天端、路肩との段差、集水桝との接続、堆積物の位置などを、後から画面上で確認しやすくなります。すべての条件で側溝内部を完全に取得できるわけではありませんが、取得できる範囲を明確にしながら記録すれば、現地確認の精度と説明性を高められます。特に、改修前調査、清掃前後の比較、排水不良箇所の原因確認、道路補修後の引き継ぎ、災害後の復旧調査では、3次元測量による記録が有効です。
ただし、3次元測量は機器を向ければ自動的に正しい通水断面が分かるものではありません。現地条件の整理、計測範囲の設定、安全確保、取得方法、点群処理、断面確認、結果の読み取りまでを一連の手順として進める必要があります。この記事では、道路側溝の通水断面を3次元測量で確認する実務担当者に向けて、現地で迷いやすいポイントを5つの手順に分けて解説します。
手順1 現地条件と確認範囲を整理する
最初に行うべきことは、いきなり計測を始めるのではなく、なぜ通水断面を確認するのかを整理することです。側溝の確認といっても、目的によって見るべき範囲や精度の考え方は変わります。道路冠水の原因を調べたいのか、清掃前後の堆積量を確認したいのか、舗装修繕に伴って側溝の高さを把握したいのか、改修設計の基礎資料を作りたいのか、維持管理台帳に現況を残したいのかを明確にします。目的が曖昧なまま計測すると、後で必要な断面位置が不足したり、不要な範囲ばかり細かく記録したりすることがあります。
通水断面を確認する場合は、道路縦断方向のどの区間を見るのか、横断方向にどこまで含めるのかを決めます。側溝本体だけを見ればよい場合もあれば、路面の排水勾配、路肩の沈下、民地側からの流入、集水桝、横断管、吐口まで含めて確認しなければ原因が分からない場合もあります。側溝の途中で水が滞留しているように見えても、実際には下流側の桝や管の詰まりが影響していることがあります。逆に、下流側に問題がなくても、上流側の落ち葉や土砂の堆積によって局所的に断面が狭くなっていることもあります。そのため、計測範囲は問題箇所だけでなく、上流側と下流側に一定の余裕を持たせて設定することが大切です。
現地条件としては、側溝の種類を確認します。開渠型、蓋付き側溝、自由勾配側溝、縁石一体型、落蓋式、暗渠化された区間など、構造によって取得できる範囲が変わります。開渠であれば上から内部を確認しやすい一方、蓋付き側溝では蓋を外さない限り内部の断面を直接取得できない場合があります。グレーチング部や点検口、集水桝の開口部から内部が見える場合でも、奥行き方向は死角が生じやすいため、取得結果の限界を理解しておく必要があります。
また、側溝の寸法だけでなく、高さの基準も重要です。通水断面を評価する際には、底面の高さ、堆積物の上面、側壁天端、蓋天端、道路面、集水桝との接続高さなどを比較します。ローカルな相対高さで十分な場合もありますが、設計図や台帳、既存測量成果と重ねる場合は、公共座標や既知点との整合を確認した方がよい場合があります。特に道路の縦断勾配や水の流下方向を確認する場合、高さの基準が曖昧だと、点群上ではそれらしく見えても、実際の排水判断に使いにくくなります。
事前資料として、道路台帳、排水計画図、平面図、縦断図、横断図、過去の補修履歴、苦情や冠水の記録、清掃履歴、施工写真などがあれば確認します。古い図面と現況が一致しないことは珍しくありませんが、事前資料があると、どの位置を重点的に計測すべきかを決めやすくなります。例えば、過去に冠水が発生した交差点付近、勾配が緩い区間、落ち葉が集まりやすい街路樹付近、出入口の乗入部、側溝蓋が連続する区間、桝が少ない長い区間などは重点確認の候補になります。
計測計画では、断面を確認する代表位置も考えておきます。上流端、下流端、桝の前後、勾配変化点、道路勾配が変わる位置、堆積が目立つ位置、破損や沈下がある位置、流入が集中する位置などです。3次元測量では後から任意断面を切り出せる利点がありますが、点群が十分に取得できていなければ後から補えません。現地でどの位置を必ず見たいのかを決め、その位置で側溝内部や周辺が見えるように計測することが重要です。
この段階で、計測の限界も整理しておきます。水が溜まっている場合、底面や堆積物の形状は見えにくくなります。蓋が重く開閉できない場合、内部断面は部分的な確認にとどまります。交通量が多い道路では、車道側からの計測が制限されます。草やごみが多い場合は、点群に写る形状が側溝本体なのか堆積物なのか判断しづらくなります。こうした条件を 事前に把握し、必要に応じて清掃前の状態として記録するのか、清掃後に本体断面を記録するのかを分けて考えます。
手順2 側溝まわりを安全に計測できる状態に整える
道路側溝の計測は、道路上または道路際で行うことが多いため、安全確保が最優先です。通水断面の確認は側溝の内部に意識が向きやすい作業ですが、実際の現場では車両、自転車、歩行者、沿道出入口、段差、蓋の開口、ぬかるみ、雨天、夜間視認性など、多くの危険要因があります。3次元測量を行う場合でも、測定者が立つ位置や機器を構える位置を誤ると、交通や転落のリスクが高まります。計測精度より先に、作業範囲を安全に確保することが欠かせません。
蓋付き側溝を確認する場合は、蓋を開けるかどうかを慎重に判断します。蓋を開ければ内部断面を取得しやすくなりますが、開口部が生じるため、歩行者や作業者の転落リスクが高まります。車両が近接する場所では、蓋を一時的に外したままにすること自体が危険です。蓋の重量、劣化、割れ、固定状態、周囲の交通、作業人数、仮設養生の可否を確認し、無理に開けない判 断も必要です。開口部を作る場合は、カラーコーンやバリケードなどの区画、監視、作業終了後の復旧確認を行い、写真や点群記録だけを優先しないようにします。
3次元測量で側溝内部を取得するには、対象が見えていることが前提になります。泥水や濁水があると、底面や堆積物の表面を正確に取得しにくくなります。落ち葉や草が覆っている場合も、本体形状ではなく表面の障害物を測ってしまうことがあります。ただし、通水断面の現況確認では、堆積物や詰まりそのものが重要な情報です。清掃してから測るのか、清掃前の詰まり状態を測るのかを混同しないようにします。清掃前後の比較を目的にする場合は、同じ区間、同じ基準、同じ断面位置で記録することが重要です。
現地の明るさも大切です。側溝内部は影になりやすく、深い側溝や蓋の隙間から見る区間では、暗部が多くなります。写真を利用する方式では、暗い部分や反射の強い水面で形状の再現が不安定になることがあります。レーザーを使う方式でも、水面や濡れた面、黒く汚れた面、強い反射を持つ面では取得が不安定になる場合があります。必要に応じて補助照明を使い、影の位置や反射の状態を確認しながら、取得しやすい角度を選びます。照明を使 う場合は、作業者の視界を妨げたり、通行車両の運転者を眩惑したりしないように注意します。
計測前には、側溝周辺にある不要なものを確認します。仮設材、清掃道具、作業車両、歩行者誘導用品、作業者の足、測量用の棒や標識などが点群に多く入り込むと、後処理で側溝形状を見分けにくくなります。すべてを排除する必要はありませんが、断面確認に影響するものは一時的に移動するか、計測後に不要点として整理できるようにします。一方で、蓋のずれ、破損、落ち葉、土砂、草、路肩の沈下などは現況の一部として残すべき情報です。何を取り除き、何を現況として残すのかを現場で判断します。
基準となる位置の記録もこの段階で整えます。3次元測量の点群だけでは、後から見たときに区間の起点や終点、道路の上下線、桝番号、側溝の左右、流下方向が分かりにくくなることがあります。現地で目印になる桝、電柱、境界標、距離標、交差点名、施設名、出入口、構造物などを記録し、点群と写真、メモが結び付くようにしておきます。測点名やファイル名も、後から誰が見ても区間を特定できる表現にします。通水断面の確認では、位置の取り違えが結果の信頼性を大きく下げるため、現地整理は非常に重要です。
また、道路側溝は水の流れを扱う施設であるため、天候と計測タイミングも考慮します。降雨直後は水の流れや滞留箇所を確認しやすい一方で、底面や堆積物の形状は見えにくくなります。晴天が続いた後は断面形状を確認しやすい一方で、実際の流れ方や詰まりの影響を把握しにくいことがあります。目的が断面寸法の確認なのか、排水不良の現象確認なのかによって、適したタイミングは変わります。必要に応じて、雨天時の状況写真と晴天時の3次元測量結果を組み合わせて判断する方法も有効です。
手順3 3次元測量で側溝の形状を漏れなく取得する
3次元測量で道路側溝の通水断面を確認する際は、側溝の内側、周辺路面、桝や接続部を連続的に取得することが基本です。点群は、対象物の表面を多数の点として記録するため、計測したい面が見えていないとデータ化されません。側溝の底面や側壁、堆積物の上面、蓋掛かり部、路肩との段差などを確認したい場合、それぞれが見える方向から取得する必要があります。上から一度なぞるだけでは、側壁の立ち上がりや蓋下の奥まった部分が死角になるこ とがあります。
開渠型の側溝では、上方から内部が見えるため比較的取得しやすいですが、側壁が深い場合や幅が狭い場合は、底面の両端が影になりやすくなります。片側だけから計測すると、反対側の側壁や底部の隅に欠落が出ることがあります。可能であれば、側溝の両側または斜め方向から複数の視点で取得し、底面、左右の側壁、上端部をつなげて記録します。蓋付き側溝では、蓋を外した箇所、グレーチング部、桝開口部、点検口など、内部が見える場所を利用して取得します。連続した内部形状をすべて取得できない場合でも、代表断面を確実に記録し、取得できなかった区間を明確にしておくことが大切です。
計測時は、側溝の流下方向に沿って一定の速度で移動し、急な方向転換や近距離での振れを避けます。点群の密度が不均一になると、断面を切り出したときに底面や側壁の線が粗くなり、寸法を読み取りにくくなります。狭い場所で機器を近づけすぎると、視野が偏り、形状の一部が欠けることがあります。反対に遠すぎると、側溝内部の細かい凹凸や堆積物の上面が粗くなることがあります。計測方式によって適した距離や移動速度は異なりますが、実務では取得画面やプレビューを確認しながら、欠落が出 やすい部分を補う意識が必要です。
側溝の通水断面確認では、断面を構成する線を意識して取得します。必要なのは、単に側溝が写っている点群ではなく、底面の高さ、左右側壁の位置、堆積物の高さ、蓋や上端の位置が読み取れる点群です。側溝の上端だけがきれいに取れていても、底面が欠けていれば通水断面の評価はできません。反対に底部だけを細かく取得しても、道路面や蓋天端との関係が分からなければ、沈下や段差の判断が難しくなります。側溝断面だけでなく、周辺の舗装面、路肩、縁石、桝天端なども一緒に取得しておくと、後の説明がしやすくなります。
集水桝や接続部は特に重要です。側溝の断面が十分にあっても、桝の入口で土砂が堆積していたり、側溝底と桝底に段差があったり、接続管の口元がふさがっていたりすると、排水不良が起きます。3次元測量では、側溝本体の直線区間だけでなく、桝の前後、桝内部の見える範囲、横断管や暗渠への接続部、吐口周辺を重点的に取得します。特に水が滞留している箇所では、水面の高さだけで判断せず、可能な範囲で周囲の堆積や流入口の形状を確認します。
堆積物を記録する場合は、土砂や落ち葉の表面が実際の通水断面を狭めている状態として残ります。点群上では、側溝本体の底面と堆積物の上面を区別しなければなりません。清掃前の点群だけでは、本来の底面高さが分からないことがあるため、既存図面や清掃後の点群、近くの堆積が少ない断面と比較して判断します。清掃後にも計測する場合は、清掃前後の断面位置を合わせることで、堆積厚や断面回復の状況を説明しやすくなります。
3次元測量では、計測時の基準合わせも重要です。短い区間で相対的な断面を確認するだけなら、現地内で分かりやすい基準を設定して高さ差を見る方法でも実務上足りる場合があります。しかし、設計図や施工成果、維持管理台帳と照合する場合は、既知点や基準点との整合を取る必要があります。道路側溝はわずかな勾配で排水することが多いため、高さ方向の扱いが曖昧だと、水が流れる方向の判断を誤る可能性があります。計測区間が長い場合や高低差が小さい場合ほど、基準点の確認、重複計測、既存高さとの照合を意識します。
現場では、取得直後の簡易確認を必ず行います。点群や プレビューを見て、底面が欠けていないか、側壁が片側だけになっていないか、桝付近が粗くないか、強い影や反射で抜けていないか、不要物で断面が隠れていないかを確認します。事務所に戻ってから欠落に気付くと、再訪問が必要になり、交通規制や蓋開け作業を再度行う負担が発生します。特に側溝内部は現場条件に左右されやすいため、その場で代表断面を切り出せる場合は、最低限の断面確認を行ってから撤収するのが望ましいです。
手順4 点群から通水断面を確認する
計測後は、取得した点群を整理し、道路側溝の通水断面を確認します。まず行うのは、不要点の整理と基準の確認です。作業者、車両、仮設材、草の揺れ、反射によるノイズなどが断面上に残っていると、寸法の読み取りを誤ることがあります。ただし、堆積物や詰まり、沈下、破損は現況を示す重要な情報であるため、不要点として消してよいものと残すべきものを区別します。清掃前の現況記録では、土砂や落ち葉を消してしまうと通水断面の評価ができなくなります。
点群から断面を確認するときは、流下方向に直交する 横断面を切り出すのが基本です。側溝が直線であれば比較的容易ですが、カーブ、交差点、乗入部、桝周辺、縁石の曲がり部では、断面方向を誤ると実際より広く見えたり、狭く見えたりします。断面は道路中心線に対してではなく、側溝の流れ方向に対して直角に切ることを意識します。曲線部では複数の短い区間に分けて断面を確認し、代表断面だけで全体を判断しないようにします。
通水断面の確認では、内幅、内高、底面幅、堆積高さ、水が通る有効高さ、側壁の傾き、欠損、蓋下の余裕、桝との段差などを見ます。設計図上の断面が分かっている場合は、現況点群の断面と比較し、どの部分が狭くなっているかを確認します。設計図がない場合でも、堆積が少ない正常と思われる区間を基準断面として、問題箇所と比較する方法があります。完全な水理計算まで行わない場合でも、断面がどこで狭くなっているか、底面に逆勾配がないか、流入口がふさがっていないかを把握するだけで、清掃や補修の優先順位を決めやすくなります。
高さ方向の確認では、側溝底の連続性が重要です。水は低い方へ流れるため、側溝底が局所的に高くなっている箇所、沈下によって水が溜まりやすくなっている箇所、桝との接続で段差が ある箇所は注意が必要です。点群から縦断方向の高さを追うことで、勾配が緩い区間や逆勾配の疑いがある区間を見つけられます。ただし、点群の高さ精度や基準合わせに不安がある場合は、断定せず、追加の水準確認や既知点との照合を行う前提で整理します。3次元測量の結果は、現地判断を補助する有効な資料ですが、計測条件を超えた精度まで保証するものではありません。
堆積物がある場合は、堆積の厚さと範囲を確認します。底面全体に薄く堆積している場合と、片側だけに土砂が寄っている場合では、清掃や原因調査の考え方が変わります。上流から流入した土砂が桝手前で厚くなっている場合、流速の低下や桝の構造が関係している可能性があります。街路樹付近で落ち葉が集中している場合、季節的な清掃計画が必要になることがあります。乗入部付近で砕石や泥が入り込んでいる場合、沿道利用や施工履歴との関係を確認する必要があります。点群を使うと、こうした堆積の偏りを断面だけでなく平面的にも把握しやすくなります。
断面確認では、目視写真との組み合わせも有効です。点群は形状を把握するのに向いていますが、材質、ひび割れ、泥の状態、水の濁り、落ち葉、ごみの種類、鉄筋露出、蓋の破損などは写真の方が分かりやすい場合があります。点群上の断面位置と写真の撮影位置を対応させることで、後から関係者に説明しやすくなります。特に維持管理や補修判断では、数値だけでなく、現況が視覚的に分かる記録が求められます。
点群から得た断面結果は、過度に細かい数値だけで整理しないことも大切です。道路側溝の現場では、測定誤差、表面の凹凸、泥や水、蓋のずれ、施工時のばらつきが含まれます。小さな差をすべて異常と扱うのではなく、排水機能に影響する程度の変化かどうかを見ます。例えば、数値上わずかな凹凸よりも、桝前で大きく土砂が溜まり断面が連続的に狭くなっていることの方が実務上の重要度は高い場合があります。計測結果は、目的に応じて、清掃が必要な箇所、補修検討が必要な箇所、経過観察でよい箇所に整理すると使いやすくなります。
手順5 記録結果を維持管理と施工判断に活かす
3次元測量で通水断面を確認した結果は、現場で見て終わりにせず、維持管理や施工判断に使える形で残すことが重要です。道路側溝は、日常巡回、清掃、舗装修繕、占用工 事、宅地造成、災害復旧、道路改良など、多くの業務と関係します。点群や断面図を整理しておくことで、関係者間で同じ現況を共有しやすくなり、口頭説明や写真だけでは伝わりにくい高さ関係、断面不足、堆積範囲を確認できます。
まず、計測した区間の位置を明確にします。路線名、上下線、起点側と終点側、交差点名、桝番号、距離、周辺施設、流下方向などを整理し、点群ファイルや断面画像、写真と対応させます。通水断面の確認結果は、位置が曖昧になると再利用しにくくなります。例えば、同じような側溝が連続する住宅地や工業団地では、写真だけではどの桝の前後か分からなくなることがあります。3次元測量の成果を活かすには、形状データと位置情報を一体で管理することが大切です。
次に、確認結果を目的別に整理します。清掃を目的とする場合は、堆積が厚い区間、落ち葉やごみが集中する箇所、桝前後の詰まり、清掃機材が入りにくい箇所を明示します。補修を目的とする場合は、側壁の変形、底版の段差、蓋掛かり部の欠け、路肩沈下、桝との接続不良を整理します。設計や改修の基礎資料とする場合は、代表断面、縦断高さ、道路面との関係、既設構造物との取り合いを示します。災害後の確認では、土砂流入、洗掘、側溝の閉塞、流末側の閉塞状況を時系列で残すと、復旧方針の説明に役立ちます。
3次元測量の利点は、後から別の視点で確認できることです。現地で見落とした箇所でも、点群が取得されていれば、事務所で断面を切り直したり、縦断方向の高さを追ったりできます。道路側溝では、当初は堆積量だけを見ていたものの、後から蓋天端の不陸や路肩沈下が問題になることがあります。点群に周辺路面や縁石、桝天端まで含めて取得しておけば、追加確認の幅が広がります。これは、従来の点的な寸法記録や限られた写真だけでは得にくい利点です。
一方で、成果の説明では、取得できた範囲と取得できなかった範囲を明確にします。蓋を開けていない区間、濁水で底面が見えなかった区間、草やごみに覆われていた区間、交通条件により近接計測できなかった区間は、結果の読み取りに制約があります。点群があるからすべて分かるという説明は避け、確認済みの範囲、推定を含む範囲、追加確認が必要な範囲を分けます。この整理があると、発注者、施工者、維持管理担当者、地元関係者との協議で誤解が生じにくくなります。
清掃前後や補修前後の比較にも3次元測量は有効です。同じ区間を同じ基準で計測し、断面を比較すれば、堆積物が除去されて通水断面がどの程度回復したか、補修によって段差が解消したか、側溝底の流下方向が改善したかを確認できます。写真では清掃されたことは分かっても、どれだけ断面が確保されたかを説明しにくい場合があります。点群と断面を組み合わせることで、維持管理作業の効果をより客観的に示せます。
施工判断に使う場合は、側溝単体ではなく道路全体との関係を見ます。舗装の切削やオーバーレイによって路面高さが変わると、側溝への流入状況や蓋との段差が変わります。乗入部の補修や縁石の据え直しでは、雨水が側溝へ流れ込む勾配が確保されているかを確認する必要があります。3次元測量で路面、側溝、桝、縁石を一体で記録しておくと、排水計画と出来形の整合を確認しやすくなります。側溝内部だけを見て断面が確保されていても、路面から水が流入しなければ排水機能は十分に発揮されません。
維持管理台帳や報告資料にまとめる際は、詳細な点群データそのものだけでなく、関係者が理解しやすい断面画像、位置図、写真、所見を合わせて残します。点群を扱い慣れていない人に対しては、任意の3D表示だけでは伝わりにくいことがあります。代表断面を示し、どの位置でどの程度通水断面が狭くなっているか、どの作業が必要かを文章で補足します。専門的なデータと現場判断をつなぐことで、3次元測量の成果が実務に活きます。
まとめ 3次元測量で側溝確認を現場判断につなげる
道路側溝の通水断面確認は、単に側溝の幅や深さを測る作業ではありません。水がどこから流入し、どこを通り、どこで滞留し、どこへ抜けるのかを現況として把握する作業です。側溝本体の内幅や内高が残っていても、土砂や落ち葉で実際の通水断面が狭くなっていれば排水機能は低下します。底面のわずかな段差や桝との取り合い、路肩の沈下、蓋のずれも、現場によっては排水不良の原因になります。
3次元測量を使うことで、道路側溝の形状を点ではなく面として、さらに区間全体の連続した状態として記録しやすくなります。現地で取得した点群から、任意の位置で断面を切り出し、堆積物 の範囲、底面高さ、側壁の変形、桝との接続、道路面との関係を確認できます。清掃前後や補修前後の比較にも使いやすく、維持管理の説明資料としても有効です。
ただし、3次元測量の成果は、計測計画と現地確認の丁寧さに左右されます。目的を整理せずに計測すると、必要な断面が欠けることがあります。蓋付き側溝や濁水、草、ごみ、暗所、交通条件などによって、取得できる範囲には限界があります。現地では、安全を確保しながら、側溝内部、周辺路面、桝、接続部、流下方向を意識して取得し、撤収前に欠落を確認することが大切です。
実務で重要なのは、点群を作ること自体ではなく、点群から判断できることを維持管理や施工に結び付けることです。どこで通水断面が狭くなっているのか、清掃で改善できるのか、構造的な補修が必要なのか、追加調査が必要なのかを整理して、関係者が同じ現況を見ながら判断できる状態にします。道路排水は、問題が起きてから原因を探すと対応が後手に回りやすい分野です。平常時から3次元測量で側溝の状態を記録しておけば、冠水や土砂詰まり、補修判断、災害後の復旧にも活用しやすくなります。
現場でより手軽に側溝まわりの形状や位置情報を記録したい場合は、スマートフォンを活用した3次元計測も選択肢になります。側溝、集水桝、路面、縁石、周辺構造物をその場で記録し、クラウド上で点群や写真を共有できれば、現地確認から報告、補修検討までの流れを短くできます。道路側溝の通水断面確認を、現場担当者だけの経験に頼る作業から、関係者が同じデータで確認できる業務へ変えていくために、スマートフォンを活用した記録方法を取り入れることが有効です。
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